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数学 河合正人先生の学習アドバイス

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数学

河合正人先生

河合正人先生

延べ20万人以上の生徒を指導し、数多くの締切講座を記録する予備校界を代表する数学講師。第一志望合格者は多数。大学別入試問題研究や入試情報にも数多く精通するなど高いプロ意識をもつ。「数学問題の解法の鍵は他者理論」と作問者の意図を理解した「流れを大切にする」授業を展開する。

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

共通テスト「場合の数と確率」数学ショックの原因を探る!

「場合の数と確率」は数学Aの3つの選択問題(「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」)の一つであり、第3問に配置される。ゲームや試行のルールの説明的な文章や、会話形式で問題が展開されるため、分量(文字数)が多く感じる単元となる。設問の流れとしては〔場合の数〕→〔確率〕→〔条件付き確率〕の順で聞かれることが多い。配点は20点で配点空欄数は7~11個程あり、理想の時間配分は14分間である。

今回、何故これ程レベルが上がったのか(平均点が下がったのか)の要因の一つとして、その素材について言及したい。数学Bの数列内容に完全順列(攪乱順列)という並べ方があり、今回これを数学Aの「場合の数と確率」で取り上げている。数学的背景の理解が得点を左右する出題であったと感じる。

完全順列とは、「整数1,2,3,…,nを要素とする順列において、i番目(1≦i≦n)がiでない順列」のことである。n個の完全順列の数をanと表したときに、3項間漸化式an=(n-1)(an-1+an-2)(n≧3)や一般項が成立する。直接このことを利用したり、また導いたことのある生徒にとっては苦労なく短時間に解くことができたかもしれないが、逆にそうでないとすれば理想の時間配分14分間程度ではかなり厳しいと言わざるをえない。深く重い記述向きの素材ともいえる。ちなみに2020年度京都大学(理系)入試問題にn=4のケースの完全順列が出題されている。

これまでの私の認識では、あくまで共通テストは基礎的な内容の確認であり、発展的または応用的な記述タイプとは一線を画していた。今後の課題としては、単に計算レベルだけをいくら訓練しても、それだけでは十分でないということである。これに対処すべくは、常に難度と分量を高め(多め)に設定し学ぶことが大切である。「共通テスト程度」などの文言はもはや使うべきではありません。