倫理
新高3生へのアドバイス
◆センター倫理は「努力」が報われる
センター倫理の問題は決して易しくありません。思想の本質的な理解を問う問題、具体的事例を用いて考えさせる問題、現代社会分野の時事問題と、出題形式もバラエティに富んでいます。ただし、奇をてらった難問などは見受けられません。基本事項をきちんと理解していれば、確実に正解できる良問ばかりです。

そうした意味で、センター倫理は基礎力を重視していると言えるでしょう。そして、次のことは断言できます。倫理は「努力」が報われる科目です、「努力」が得点に直結します、と。1年間、それを信じて勉強に励んで下さい。

◆「読んで」理解することを心がける
センター倫理の特徴として、「読解力の重視」ということが挙げられます。まず、選択肢が他の地歴・公民の科目と比べて長く、言葉を知っている・人名を知っているというだけでは対処できません。また、第2問、第3問、第4問では資料文を用いた内容把握問題の出題が増加傾向にあります。
これらは、思想や宗教の基本的な内容の理解を問おうとする、出題者の意図の表れと受け取れます。暗記に頼らず、思想・宗教の本質的な理解を深めていくことが求められているのです。

そこですべきことは何か、文章を読んで理解するということを、つねに心がけて下さい。文章で理解していればこそ、選択肢の正誤もしっかりと判定できるのです。第一に、学校の教科書を腰をすえてじっくり読みましょう。第二に、用語集を引きながら言葉の意味を確実に押さえていって下さい。高得点を狙うには、細かな人名や用語も覚え込んでいくことが必要です。こうした地道な「努力」が、センター倫理では最終的に報われます。

◆問題演習で実戦を重ねる
自分では理解しているつもりなのに、問題になると選択肢の正誤がうまく判定できないという受験生の声を、毎年のように聞きます。センター倫理では、選択肢の文章をきちんと読んで解答することが求められているだけに、実践演習が欠かせません。また、先に述べたとおり、バラエティに富んだ出題形式という点からも、早い時期から問題に数多くあたり、実戦を積み重ねることが必要です。

東進のセンター試験本番レベル模試は、年間6回のカリキュラムでセンター試験と同一レベル・同一形式の問題演習を繰り返します。2か月おきの実施により、自らの学習到達度を測る物差しともなります。積極的に受験して、ライバルに差をつけて下さい。

新高2生へのアドバイス
◆2012年、センター「公民」は大きく変わる
まず、センターの公民科目について、新高2生の皆さんが受験する2012年から変更点があることに注意して下さい。現行のセンター公民では、「現代社会」「倫理」「政治・政治」から1科目選択ですが、2012年からは「倫理、政治・経済」という試験科目が新設されます。

また、地理歴史の6科目と合わせた最大2科目の選択が可能となります。これにより、「日本史B」と「世界史B」、「倫理」と「政治・経済」といった、現行ではできない科目の組み合わせもできるようになります。

「倫理、政治・経済」がどのような問題となるのか、大学入試センターからの発表は現時点でまだありません。また、多くの大学・学部がセンター試験で課す科目を変更します。今後の最新情報に注意して下さい。

◆「基本重視」のセンター倫理
センター倫理の問題は決して易しくありません。思想の本質的な理解を問う問題、具体的事例を用いて考えさせる問題、現代社会分野の時事問題と、出題形式もバラエティに富んでいます。ただし、奇をてらった難問などは見受けられません。基本事項をきちんと理解していれば、確実に正解できる良問ばかりです。

そうした意味で、センター倫理は基礎力を重視していると言えるでしょう。2012年以降、出題形式に変化が加えられる可能性もありますが、「基本重視」という姿勢は変わらないと思います。選択肢文や資料文を読ませ、内容を判定させる問題が多いですので、2年生のうちから、教科書をじっくりと読んで、思想の大きな流れをつかんでおきたいところです。

◆倫理は「私」について考える科目です
現行のセンター倫理は、「青年期」「源流思想」「日本思想」「西洋思想」「現代社会」の5つの分野からなります。特に、「青年期」が第1問で独立して出題されるようになり、第5問の「現代社会」と合わせて比重が高いことが特徴です。

これは、倫理を〈今ここに生きる私〉に関わるものとして勉強してほしいという、出題者からのメッセージであると受け取れます。哲学も宗教も、自分の人生と無関係のものではありません。「私」とは何か、思想家や宗教家は誰でも、この問いを出発点としているのです。倫理には、単に試験科目であるというにとどまらず、大人になる前に考えてほしい内容が詰まっています。

2年生のうちは、まだ受験という意識を持たず、自分でいろいろと考える習慣を身につけてほしい時期です。鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』(講談社現代新書)・池田晶子『14歳からの哲学』(トランスビュー)といった、若者向けに書かれた本を読むことをお勧めします。そうしたことが土台として、受験向けの勉強に必ず生きてきます。

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