《物理I》 設問別分析
【第1問】小問集合
問1は波の速さについての基本問題で容易。問2は電流が作る磁場についての問題で、鉄粉による可視化は教科書にも掲載されている。問3では運動方程式から手早く加速度を求めるのがポイント。問4は昨年に引き続き波の屈折の問題。屈折の公式を覚えていなければ、波長と角度から図形的に確認すればよい。問5では三角形に着目しsin、cosの値を利用すること。問6は熱量計算に関する典型問題。数値が面倒だがミスなく計算したい。
【第2問】電磁気
Aは電流と磁場、電磁誘導に関する問題。誘導電流の向きに関しては2011年にも出題がある。問1はフレミング左手の法則から各辺が受ける力を間違いなく判断すること。問2では磁場が強い領域IIへの進入時と離脱時に誘導電流が生じる点に注目する。レンツの法則により向きをきちんと確認したい。磁気現象では空間内の向きの把握がミスをしやすく、このあたりで失点した受験生は意外に多いかもしれない。
Bは電流と抵抗に関する問題。類題として同様のすべり抵抗器の接点を移動させる問題は2010年に、針金の接続や合成抵抗を利用する問題は2008年に出題されている。問3では全体の合成抵抗を求めたうえで、さらにニクロム線と抵抗の並列部分に注目する。抵抗だけに着目しても筋道が見つからないので、少々厄介だったかもしれない。問4は銅線部分から右側の抵抗が実質ゼロになることを利用する。数値が単純なので、立式したうえでグラフのチェックをするとよい。こちらも悩んだ受験生が多かったように思われる。
【第3問】波動
Aは光波干渉、特に回折格子に関する問題。近年では2009年に出題がある。問1は干渉条件に数値を代入し、干渉次数の数を確認すればよい。問2は波長の大小関係だけでなく、干渉次数の違いも加味して可能な色の配置を考えれば、消去法から考えても(6)しかありえない。座標上の数値は、ここでは気にせずによい。本問は苦戦した受験生が多いであろう。
Bは気柱共鳴の問題。2009年の小問集合に、波長と振動数変化を問う同様の出題がある。問3は共鳴条件の変化を波長から求めて振動数に変換する。問4は速さと波長、振動数の関係において、波長が変わらず速さと振動数が変化する点に気付けばよい。
【第4問】力学、気体の状態変化
Aは弾性力と力学的エネルギーの問題。問1は力学的エネルギー保存則をきちんと立てられればよく容易である。問2では、ばねが自然長に達するまでの弾性力が働く区間と、はずれて重力だけ加わる区間を見抜くこと。
Bは、摩擦と力学的エネルギーに関する問題。問3は典型的な保存則の適用ができればたやすい。問4では、上昇する高さの変化から力学的エネルギー変化と、摩擦区間で小物体になされた仕事を関連付ける。問5が少々手ごわい。摩擦区間を通過するごとに問4と同じ大きさの仕事が摩擦からなされる点に気付くとよい。最後に途中で停止するまでは、仕事と力学的エネルギー変化に再度注目する。
Cは気体の状態変化に関する問題。2010年以来の出題である。問6は温度が一定であることより、ボイルの法則を用いればよい。問7では熱力学第1法則から、熱の出入りを考察する。計算は必要ないので、法則の概念がつかめていれば決して難しくはないであろう。