大学入試センター試験解答速報2012
《現代社会》 設問別分析



【第1問】国際社会
国際社会の諸問題に関して幅広く出題された。受験生の多くが苦手とする国際分野であり、単なる政治・経済的な観点のみならず、現代社会に特有の食料、栄養、貧困、人間開発指数、新型インフルエンザのパンデミック宣言など、全地球的な時事問題が多く出題された。問6では前年度第2問、問4に続き「人間の安全保障」に関する出題があった。教科書レベルだけでは拾いきれない頻出事項が特に国際分野では存在する。「人間」という観点から見た国際問題に注目していたかが問われた。

【第2問】青年期
現代社会の出題内容として典型である青年期に、日本社会での子どもと職業選択の現状を絡めたオーソドックスな出題である。この大問は確実に得点すべき大問だったと思われる。問1は「スチューデント・アパシー」という受験生にとって耳慣れない単語が出ているが、基礎的事項であるレヴィンの「境界人」を学習していれば落とさずにすむ。問2で調査形式に関する出題という、「現代社会」特有の出題がなされているが、一般的な理解で解答できる。問4では児童虐待や育児放棄(ネグレクト)の増加という社会問題、問5では学生のインターンシップと「った、最近の動きも問われている。

【第3問】日本と世界の政治制度
民主制を中心に社会保障制度や政府財政に関してなど多角的に出題されている。一般常識のみで解答できる問題は存在せず、政治・経済分野の正確な知識が問われている。民主制は政治分野の冒頭で出てくる分野だが、例年よりも問1、問7のように世界各国の政治制度がオーソドックスに複数回出題されているのが特徴といえる。2012年は世界各国で政治のトップが交代する年であることも意識していると考えられる。問4の統計問題はグラフを見比べれば予備知識なしで正解できる。

【第4問】日本社会
家族という切り口から、行政の対応を中心としつつ総合的に出題されている。問1は2011年の生活保護の被保護世帯が過去最多に達したという時事問題が背景にある。問4は生命倫理を現代社会的な視点から問う出題であり、2009年の臓器移植法改正で、本人の意思が不明な場合に家族の同意のみで移植が可能になったという時事問題が含まれている。問3の労働法制に関する出題は、条件よりも選ぶべき法律の数が多く、選択肢を見て吟味する解答行動が必要であった。問5の統計問題はグラフを見比べれば正解できる。

【第5問】日本、国際経済
経済分野からの出題だが、多くが企業に関する出題となっている。問3〜問5については、時事的要素に惑わされずに理論的事項から解答していくことが必要な設問となっているが、資本金1円の株式会社の設立が認められたという新会社法の内容も問われている。問2に関しては知的財産権に関する突っ込んだ理解が必要とされているが、特許権と著作権のひっかけでケアレスミスを誘う問題であった。

【第6問】日本国憲法と人権
非常にオーソドックスな司法制度に関する出題となっている。問4ではアクセス権の正確な定義、問5では裁判員制度の運用のしかたが問われている。きちんと学習していた受験者とそうでない受験者にかなりの差が出る大問である。
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