大学入試センター試験解答速報2012
《倫理》 新高2生へのアドバイス



「基本重視」のセンター倫理
センター倫理の問題は決して易しくありません。思想の本質的な理解を問う問題、具体的事例を用いて考えさせる問題、現代社会分野の時事問題と、出題形式もバラエティに富んでいます。ただし、奇をてらった難問などは見受けられません。基本事項をきちんと理解していれば、確実に正解できる良問ばかりです。

そうした意味で、センター倫理は基礎力を重視していると言えるでしょう。2013年以降、出題形式に変化が加えられる可能性もありますが、「基本重視」という姿勢は変わらないと思います。選択肢文や資料文を読ませ、内容を判定させる問題が多いですので、2年生のうちから、教科書をじっくりと読んで、思想の大きな流れをつかんでおきたいところです。

倫理は「私」について考える科目です
現行のセンター倫理は、「青年期」「源流思想」「日本思想」「西洋近代思想」「現代社会」の5つの分野からなります。特に、「青年期」が第1問で独立して出題されるようになり、第5問の「現代社会」と合わせて比重が高いことが特徴です。

これは、倫理を〈今ここに生きる私〉に関わるものとして勉強してほしいという、出題者からのメッセージであると受け取れます。哲学も宗教も、自分の人生と無関係のものではありません。「私」とは何か、思想家や宗教家は誰でも、この問いを出発点としているのです。倫理には、単に試験科目であるというにとどまらず、大人になる前に考えてほしい内容が詰まっています。

2年生のうちは、まだ受験という意識を持たず、自分でいろいろと考える習慣を身につけてほしい時期です。鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』(講談社現代新書)・池田晶子『14歳からの哲学』(トランスビュー)といった、若者向けに書かれた本を読むことをお勧めします。そうしたことが土台として、受験向けの勉強に必ず生きてきます。


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