大学入試センター試験解答速報2012
《政治・経済》 設問別分析



【第1問】日本の政治と地方自治

現憲法を中心に旧憲法との比較、地方自治と地方交付税、社会保障とその国際比較、高度経済成長期の変化と地方自治改革、国会・内閣の権限、福祉と社会権について、広範囲の基本的事項が網羅的に出題された。問3は国民年金(基礎年金)と介護保険など高齢社会に関する出題。問4のグラフ読み取りは高齢化率の高い順が問われているが、日本は特定できてもドイツ、イギリスの区別に迷う出題だった。

【第2問】企業と経済学説

貿易決済の仕組み、炭素税、日本型雇用形態、NPO法人、労働形態、ケインズ学説、経済体制の歴史について、多岐にわたって出題された。問1の貿易決済の問題は一瞬戸惑うかもしれないが、具体的にイメージすれば解ける。問5のワークシェアリングは、最近、労働組合が不当なリストラを防止するために使用者側に要求している主張として話題となっている時事的な出題だった。

【第3問】現代の国際経済とバブル崩壊後の日本経済

為替変動による損益計算、EU経済統合、国際収支表、バブル経済、国債残高、日本の金融機関、各国の税制比較などが出題された。問1は2011年の円高を受けて、円高、ユーロ安の進行で日本の輸出企業がいくら損失を被るかを計算させる出題だった。問3は国際収支項目の推移(2007〜2009年)の図表読解が問われた。時事的な知識がなくても解けるが、所得収支(対外投資収益)が拡大している傾向を読み取らせる点で、最近の国際収支動向のポイントが問われている。問5も統計グラフ読解だが、国債依存度の高い年代や赤字国債の発行がゼロとなった1990〜1993年度、国債収入が租税収入を上回ったリーマンショック後の2009年度を知っているかがポイントとなっている。時事対策の重要性がわかる出題である。問7は税収が国民所得に占める割合から日本を選択させる統計、図表読み取り問題であるが、近似した数値があるため、受験生には判定は難しかっただろう。

【第4問】基本的人権と司法

自由権の二概念、社会契約説、精神的自由の保障、基本的人権の分類、マイノリティの人権、立法府と行政府の各国比較、公平な裁判について出題された。人権の種類を権利の性格で分類して当てはめる問1、問4のように、受験生の論理力を問う出題が最近のセンター試験で頻出である。

【第5問】国際組織

主権国家、国際連合組織、発展途上国、アジア地域協力、アメリカの対外政策、各国の選挙制度、各国の政権などについて出題された。問4のARF(ASEAN地域フォーラム)はかなり細かい出題だが、他の選択肢から消去法で正解に至ることができる。問5では、オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞する理由となった核廃絶演説(プラハ演説)という時事的な選択肢も見られた。

大学入試センター試験解答速報2012
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