大学入試センター試験

《化学》 設問別分析



【第1問】物質の構造・状態
問1 ハロゲンの原子に関する正誤問題であった。ハロゲンの性質に関する基本的な知識を基に判断する。
問2 純物質の状態図に関する正誤問題であった。臨界点に関する内容は盲点になっていた受験者も多かったと思われる。沸点、昇華点、融点の高低に関しては、図から判断できる。
問3 混合気体の密度に関する問題であった。H2とN2の物質量比から、この混合気体の平均分子量を求めることができたかがポイントである。
問4 液体の飽和蒸気圧に関する問題であった。水銀柱に関する問題は苦手とする受験者が多かったと思われる。また、mmHg単位で求めた蒸気圧を、Pa単位に変換する必要もあり、難しい。
問5 浸透圧に関する問題であった。半透膜の両側にかかる力の釣り合いが意識できていれば、浸透圧が分かるため、ファントホッフの法則よりモル質量を求めることができる。
問6 コロイドに関する正誤問題であった。コロイドに関する基本的な知識を基に判断する。

【第2問】物質の変化と平衡
問1 鉄の酸化物の化学式と生成熱に関する問題であった。aは、問題文と図1のグラフの情報からAを構成する鉄原子と酸素原子の物質量比を求めることができれば正解できる。bは、発生した熱量と生成したAの物質量を計算すれば、求めることができる。 
問2 反応熱に関する問題であった。熱化学方程式やエネルギー図を書くことで、Q、Q1、Q2の関係を調べることができる。なお、反応熱と生成熱に関する公式を覚えていれば、熱化学方程式やエネルギー図を書かなくてもすぐに解答できる。
問3 反応速度に関する問題であった。図2からaの値、図3からbの値が分かるため、それらの値を基に求めることができる。
問4 可逆反応における反応時間と生成物の生成量に関する問題であった。「反応速度」と「ルシャトリエの原理」を別々に考えることができたかがポイントである。
問5 中和滴定の指示薬に関する問題であった。電離定数の値からこの指示薬の変色域を求め、その変色域と中和点が重なっている滴定曲線を選べば解答できる。

【第3問】無機物質
問1 無機物質の性質に関する正誤問題であった。やや細かな知識を問う設問であったが、四択であることから消去法で解くことも十分可能である。
問2 酸化物に関する正誤問題であった。各酸化物の性質に関する基本的な知識を基に判断する。
問3 金属イオンの分離に関する問題であった。aは、塩化物イオンと沈殿をつくる金属イオンを覚えていれば正解できる。bは、錯イオンに関する基本的な知識を基に判断する。
問4 カルシウムの化合物に関する正誤問題であった。化合物A〜Dを決定し、これらの物質に関する基本的な知識を基に判断する。
問5 ニッケル水素電池に関する問題であった。A・h(アンペア時)という単位に戸惑った受験者が多いと思われる。ニッケル原子の酸化数の変化に着目し、計算する必要がある。


【第4問】有機化合物
問1 炭化水素に関する正誤問題であった。エタンとエチレンの炭素原子間の結合距離や、プロパンの分子構造については、盲点になっていた受験者もいたと思われる。
問2 有機化合物の分子式に関する問題であった。nを用いて、燃焼させた有機化合物の物質量と生成した水の物質量の関係式を作ればnを求めることができる。
問3 有機化合物の水溶液における酸性の強さに関する問題であった。酸性を示す官能基に関する基本的な知識を基に判断する。
問4 鏡像異性体(光学異性体)に関する問題であった。分子式を基に、不斉炭素原子を持つ構造を見つけられたかがポイントである。
問5 エステルの合成に関する問題であった。aは、エステルの合成実験に関する基本的な知識を基に判断する。bは、実験Uの文章を基に判断する。

【第5問】高分子化合物
問1 高分子化合物の原料(単量体)に関する問題であった。身のまわりの合成高分子化合物に関する基本的な知識を基に判断する。 
問2 アミノ酸のイオンの構造に関する問題であった。各アミノ酸の等電点を基に、pH 6.0におけるアミノ酸Aのイオンの構造、pH 7.0におけるアミノ酸Bのイオンの構造が分かったかがポイントである。

【第6問】合成高分子化合物(選択問題)
問1 合成高分子化合物に関する正誤問題であった。合成高分子化合物に関する基本的な知識を基に判断する。 
問2 合成高分子化合物を構成する単量体の物質量比に関する問題であった。mとnを用いて平均分子量を表す式と、炭素原子と塩素原子の物質量比を表す式を立てればmを求めることができる。

【第7問】天然高分子化合物(選択問題)
問1 天然高分子化合物に関する正誤問題であった。天然高分子化合物に関する基本的な知識を基に判断する。 
問2 糖類の反応に関する問題であった。デキストリンの平均分子量を基に、得られたマルトースの物質量を求めることができたかがポイントである。