大学入試センター試験

《倫理、政治・経済》 設問別分析



【第1問】現代社会分野・青年期分野
リード文は「倫理」第1問と共通で、現代社会分野・青年期分野から出題された。5問中3問が文章の穴埋め、グラフ読解、資料文読解であり、解答に時間がかかるものが多かった。クワインについて問われた問1は、空欄Aは後に続く文章から推測することが可能であるが、空欄Bは学習量が十分でない学生には答えにくかったと思われる。問5はCで唐突に「リサイクル」という語が出てくるため、違和感を感じた受験生も多かったであろう。


【第2問】源流思想分野・日本思想分野
第2問は源流思想分野(諸子百家など)と日本思想分野(古代の日本や山鹿素行など)から出題された。リード文および設問のベースは「倫理」第3問であり(7題中5題が「倫理」第3問と共通)、2題が「倫理」第2問と共通問題であった。大乗仏教について問われた問1では、誰が「小乗仏教」と呼んだのかという点や、菩薩は出家しているかいないかという点を考えなければならず、深い理解が求められた。また、学習の及びにくい近代の思想家についての問題が2題出題された。その中でも徳富蘇峰について問われた問5は、他の選択肢も全員近代の思想家に分類される人の説明であるため、解答を選びにくい。


【第3問】源流思想分野・西洋近現代思想分野
第3問は源流思想分野(キリスト教など)と西洋近現代思想分野(スピノザやニーチェなど)から出題された。リード文および設問のベースは「倫理」第4問(西洋近現代思想)であり(7題中5題が「倫理」第4問と共通)、2題が「倫理」第2問(源流思想)と共通問題であった。問1や問2は平易であるが、問3から問5は、エピクロスの「死」に関する考え方や、ヘーゲルの人倫のような、一考を要する選択肢が含まれており、問題の難易度を引き上げている。


【第4問】政治・経済総合問題
リード文は「政治・経済」第1問と共通で、すべてそこから設問が抜粋されている。出題内容は、アダム・スミス、日本の労働法、需要・供給曲線、地方公共団体、難民問題など幅広いものであった。問3の寡占・独占に関する問題は、AやBの理論的な文章で惑わされるが、正答は管理価格という平易なものであった。一方、問4では消費者団体訴訟制度が正答になっているが、これは教科書の注の箇所に述べられていることが多い用語であるため、学習が及んでいなかった受験生もいたと思われる。


【第5問】基本的人権
リード文は「政治・経済」第3問と共通で、すべてそこから設問が抜粋されている。出題内容は、公共財、公共財の非排除性、発展途上国の経済など経済分野からのものであった。表の読み取りが2題出題されているが、問4は自己資本・他人資本、直接金融・間接金融の区分ができないと答えられず、問5もグラント・エレメントの意味を知っていなければ正解を選択できないというように、問題に工夫がなされている。また、問3は2012年度の「政治・経済」第2問とほぼ同じ問題であり、過去問を幅広く解いていた受験生は容易だったであろう。


【第6問】民主主義と各制度
リード文は「政治・経済」第4問と共通で、すべてそこから設問が抜粋されている。出題内容は、選挙制度、大衆民主主義、国民の自由や権利など政治分野からのものであった。問1は立憲主義と民主主義の関係をテーマにしたもので、選択肢中での「機関」が何を指すのかを見抜けるかが一つのポイントである。2014年度の第4問で同様の問題が出題されており、過去問をしっかり解いていた受験生は対応しやすかったと思われる。