大学入試センター試験

《世界史A》 設問別分析



【第1問】王朝や君主
Aはイングランド王リチャード3世、Bは大清皇帝功徳碑、Cはアムール川河口付近に明朝が建立した石碑について述べたリード文をもとに、主に近世以降のアジア・ヨーロッパの政治に関する問題が出題された。Aでは2年連続となるルネサンス期の絵画の作者を問う問題、Bでは万里の長城の写真からその所在国を問う地図問題、Cでは明朝の支配領域を問う地図問題がそれぞれ出題され、普段から教科書・資料集・地図などの資料に触れて学習がされているかが問われた。

【第2問】産業や労働
Aは中世ヨーロッパの手工業や商業、Bは19世紀のロンドンの製造業、Cは上海への人の流入について述べたリード文をもとに、主に東アジア・ヨーロッパに関する問題が出題された。Aでは中世から近代にかけての中国・西ヨーロッパ・アメリカ合衆国の労働に関する問題が出題され、特定の地域に偏らない社会史の学習度合いが問われた。Bでは労働者と社会主義運動に関する年代整序問題が出題され、労働運動の歴史的な発展段階についての知識・理解が問われた。Cで中華人民共和国の死亡率の推移を示すグラフに関する問題が出題され、単に事項を覚えるのではなく歴史的事象と結びつけて因果関係を考察する能力が問われた。

【第3問】植民地とそれをめぐる対立や抗争
Aは北アメリカ大陸の先住民と入植者、Bは第二次世界大戦当時のフランス領植民地について述べたリード文をもとに、主に近代以降の欧米に関する問題が出題された。Aではオーストラリア・中南米の植民地化に関する2文正誤判定問題が出題され、植民地と宗主国の組合せとその過程に関する正確な知識が問われた。Bでは各国の文化事業に関する問題が出題され、文化事業とその当時の政治・社会情勢との関連を判断する能力が問われた。

【第4問】法と規範
Aは五代十国時代の刑罰、Bは中世アイスランドの復讐する女性について述べたリード文をもとに、主に各地の政治・法令に関する問題が出題された。Aでは公民科(現代社会、政治・経済)との関連の強い各国の法や宣言に関する問題が2問出題され、選挙権を獲得する18歳に主権者としての自覚を問うた問題に見える。Bでは三十年戦争とグロティウスによる国際法の確立を提唱した時期を問う年表問題が出題され、主権国家体制の成立段階を理解しているかが問われた。