大学入試センター試験

《現代社会》 設問別分析



【第1問】オリンピック・パラリンピック(政治経済総合課題)
リード文は、本年開催の東京五輪をテーマとしたものであった。設問は、政治・経済が織り交ぜられた総合的な出題であった。問3は若干の計算は必要なものの、特別な知識は必要ない資料読解問題であった。一方問4で昨年に続き民法の「契約」に関する出題があり、過去問の復習をしたかどうかで差がつく結果となった。その他、環境や情報といった現代社会的な分野の設問においても、法律をはじめとした制度や歴史に関する理論的事項の確実な理解が必要であった。

【第2問】青年期・ライフスタイルの変化
リード文はドゥンカーの「箱問題の実験」を素材に固定観念について取り上げた青年期に関する記述だが、出題の内容は青年期に関するものだけでなく家族や労働に関する内容も含んでいる。問5ではマズローの自己実現理論が昨年に続き出題されている。問2は課題追究学習の出題であった。

【第3問】学問領域・経済における課題の取り組み
前年は5問であったが8問の大問に戻った。「文系と理系」をきっかけとして、学問の専門領域の形成と現代社会の課題解決のために越境が求められているというリード文から、倫理分野だけでなく政治・経済分野が総合的に出題された。問6ではバーゼル条約が昨年に続き出題となっている。問8は特別な知識は必要ない資料読解問題だが、計算がやや煩雑と感じた受講生が多いことが想定される。

【第4問】ヒト・モノの移動・情報の流通
前年は8問であったが5問の大問に戻った。リード文はグローバリゼーションに伴うヒト・モノ・情報の移動について述べているが、倫理と経済分野に拠った出題となっている。問1は日本思想を広い時代スパンで問う内容で、確実な学習が必要であった。問4で昨年に続きリカードの比較生産費説が出題された。

【第5問】経済成長と経済危機
リード文は経済の成長と危機に関する内容であり、今回の大問の中では珍しく分野横断要素が薄く、オーソドックスな経済分野中心の出題となっている。問1は時事的要素があるように見えるが「デモンストレーション効果」という用語について正確な理解があるかどうかが分かれ目になるなど、理論的事項を正確に把握しているかが問われた。

【第6問】政治参加のあり方
リード文は投票をはじめとする政治参加のあり方を問う内容であり、政治分野に拠ったオーソドックスな出題となっている。問1でここ3年連続で出題されている各国の政治制度が出題された。また問5では、昨年にはなかったリード文本文との内容合致を問う出題が復活し、知識よりも正確な読解力が問われた。