大学入試センター試験



総合的大問が増えたものの出題形式はオーソドックスな傾向を維持、幅広い分野での理解の正確さが求められる

大問数
減少 | 変化なし | 増加 
設問数
減少 | 変化なし | 増加 
マーク数
減少 | 変化なし | 増加 
難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 


出題形式は大問6問、小問36問と、過去5年と同様であった。昨年と若干変化し、第1問と第3問の小問が8問、その他が5問という形式であった。統計を読み取る形式の設問は例年通り2問出題された。両問とも読み取りだけでなく計算を要求されるが、落ち着いて取り組めば正解にたどりつける内容であった。3つの内容の正誤をすべて判別する問題が昨年は出題されなかったが、本年は3問出題され2018年の傾向に戻った。2019年になかった本文との内容合致を問う設問も復活している。一方、2018年の第3問問2のように、知識よりも条件を基にした論理的な思想力を問う、共通テストの傾向を先取りする出題といえる設問は昨年に引き続き明確には見当たらず、2018年まで2年連続で出題された選択肢ごとに写真が付く形態の出題も昨年に引き続きなかった。

バーゼル合意、民法における「契約」、比較生産費説など、前年取り上げられた事項が出題されているケースが目につく一方、分野が入り混じった総合的な出題の大問が増えた。ただ、時事的要素の占めるウエイトはリード文の第一印象の割に多くないといえる。また一部の設問で細かい学習が必要な事項も含まれているため、理論的事項の学習の徹底が要求されるものとなっている。倫理的要素は、マズローの自己実現論が昨年に続いて出題されるなど、ほぼ前年なみのウエイトであった。全体的に一般常識で判断できる設問は昨年同様ほぼ存在しないため、主として「政治・経済」分野での着実な学習が要求される出題となった。

政治・経済、および現代社会の諸問題に関する事項が融合した出題傾向が進んでいるものの、出題形式・内容自体は極めてオーソドックスであり、学習の達成度が点数に反映しやすい内容であった。また通常の設問形式よりも正答にたどりつきやすい適当でないものを選ぶ問題の減少傾向に歯止めがかかり、昨年より1問増加した。一部出題形式の変化はあったものの2018年の傾向の復活が多く、出題形式でとまどわない分、正確な知識が問われる出題傾向が維持され、全体の難易度は前年並みであったと言える。




年度 大問 出題分野 設問数 マーク数 配点
2020 第1問 オリンピック・パラリンピック(政治経済総合問題) 8 8 22
第2問 青年期・ライフスタイルの変化 5 5 14
第3問 学問領域・経済における課題の取り組み 8 8 22
第4問 ヒト・モノの移動・情報の流通 5 5 14
第5問 経済成長と経済危機 5 5 14
第6問 政治参加のあり方 5 5 14
2019 第1問 経済のグローバル化 8 8 22
第2問 人権保障と国家の役割 5 5 14
第3問 人の社会性 5 5 14
第4問 社会保障制度 8 8 22
第5問 地方創生 5 5 14
第6問 欧州の統合 5 5 14
2018 第1問 企業と労働、地域問題(会話文) 8 8 22
第2問 選挙権の18歳への年齢引き下げ 5 5 14
第3問 発達段階、環境問題 8 8 22
第4問 ロボットと社会問題 5 5 14
第5問 経済思想 5 5 14
第6問 環境問題 5 5 14
2017 第1問 環境 8 8 22
第2問 民主政治 5 5 14
第3問 日本の景気動向や経済情勢(会話文) 8 8 22
第4問 歴史的建造物と建築規制 5 5 14
第5問 国際機関 5 5 14
第6問 経済の仕組みと景気 5 5 14
2016 第1問 幸福の追求と社会 8 8 22
第2問 私たちの生きる社会 5 5 14
第3問 環境問題と行政(会話文) 8 8 22
第4問 GDP(国民総生産)と経済 5 5 14
第5問 青年期 5 5 14
第6問 グローバル化と現代社会 5 5 14

過去の平均点の推移

2020 2019 2018 2017 2016
59.06点 56.76点 58.22点 57.41点 54.53点
現代社会