宇宙飛行士、スペースマン
人類の未踏の地である宇宙に飛び立ち、様々なプロジェクトを実行する仕事
宇宙に関する仕事
宇宙飛行士の仕事とは?
宇宙飛行士は、有人の宇宙船などで宇宙へ行き、地球周回軌道上の宇宙船や宇宙ステーションなどで様々なプロジェクトに携わる専門職です。
従来、宇宙飛行士は、ほとんどがアメリカのスペースシャトルを利用して宇宙へ行き、任務に従事してきましたが、スペースシャトルの打ち上げが終了した現在では、ロシアのソユーズロケットによる打ち上げ・帰還が中心となります。
打ち上げられたロケットは、上空で宇宙飛行士を乗せた宇宙船部分を切り離します。宇宙船が地球周回軌道へ乗ったら、いよいよ宇宙での作業が始まります。これまでにスペースシャトルで行われた作業の一例には、運用中の人工衛星の修理作業があります。軌道上で目的の人工衛星へ接近し、ロボットアームを操作して人工衛星を捕獲・固定し、修理を行います。宇宙服を着て船外活動を行う場合もあります。
国際宇宙ステーションでは、乗員を乗せた宇宙船がドッキングしてから作業が始まります。国際宇宙ステーションの活動では、おもに微小重力や高真空といった特殊環境を利用した様々な実験や観測を行います。宇宙飛行士は、それらの実験をこなすと共に、宇宙ステーションの船体を含むすべての装置や機器類の修理も行います。
一方、宇宙飛行士にも地上任務があります。非常に厳しい環境である宇宙空間で、いかなるときにも冷静沈着に作業を進められるよう多岐にわたる訓練を受け、宇宙での滞在経験を活かした機器や装置類の開発アドバイス、安全審査などの支援業務にも携わります。
宇宙飛行士の役割・資質とは?
宇宙飛行士に求められるものは、多様な分野に対応できる柔軟な対応力です。誰でも得意分野であれば人より上手にできますが、宇宙飛行士の場合は不得手な分野でも与えられた時間内で安全かつ完璧に作業をこなし、成果を出さなければなりません。すべてにおいてエキスパートであると共に、高いレベルでのゼネラリストである必要があります。苦手な分野にも取り組み、マスターしていこうとする意欲のある人、たゆまぬ向上心のある人に向いています。
また、慎重さと根気強さを持つことも大切です。宇宙では危険な状態になってもすぐに逃げられるわけではありません。常に「大丈夫か」「これでいいのか」と自問自答を繰り返しながら、根気強く解決していくことが求められます。
INTERVIEW
現役の宇宙飛行士に聞きました

宇宙航空研究開発機構(JAXA)
大西 卓哉さん
PROFILE
おおにし たくや
東京大学 工学部航空宇宙工学科卒業
宇宙が舞台の映画に感動し、宇宙への夢を広げた大西さん。社会人になってから偶然見つけた宇宙飛行士の募集広告が、夢をかなえる第一歩となりました。
アメリカで訓練に励む大西さんに、宇宙飛行士の仕事についてうかがいました。
01
お仕事の内容は?
現在私は、アメリカ・テキサス州のヒューストンに滞在し、来るべき宇宙飛行へ向けてNASAやロシアで訓練を続けています。国際宇宙ステーションの修理・保守点検を行うための船外活動訓練、複座式(2人乗り)のジェット飛行機での操縦訓練、機器の操作やロボットアームの操作訓練などと共に、様々なシミュレーション訓練にも取り組んでいます。
中でも特に厳しさを感じたのは、サバイバル訓練です。地球への帰還時にトラブルが発生し、予定外の場所へ着陸してしまったという想定で、救援が来るまでの間、どうやって生き延びるかという内容です。人が生活していない環境で、数日間にわたって行われるため、慣れるまでが非常につらかったです。
また、いったん宇宙空間に出ると、たとえ専門外の分野でも分刻みのスケジュールで多くの実験をこなしていかなければなりません。あらゆる実験機器を繰り返し操作することで、精通していくことも大切な任務です。
大規模な訓練に関しては運営側からスケジュールを指定されますが、それ以外の時間帯については個人でカリキュラムを組みます。私の場合、より高度なコミュニケーションができるように英語の習得やロシアの宇宙船ソユーズでの打ち上げを想定したロシア語の習得、体力の向上・維持のためのトレーニングなど、個人で積極的に取り組んでいます。
02
このお仕事の醍醐味は?
子どもの頃に宇宙が舞台の映画を観て、宇宙に魅せられてしまいました。それ以来、ずっと夢見てきた宇宙飛行士という立場に、今いるわけです。厳しい訓練ばかりで宇宙への扉がなかなか開かないと焦りを感じたこともあります。でも、それだけ宇宙は厳しく、ちょっとしたミスでも命に関わる場所なのです。将来の宇宙飛行へ向けて、今はスキルと精度を極限まで高めておくことが、私の任務だと思っています。
宇宙は、きっと想像をはるかに超えたすばらしい体験を私たちに与えてくれるでしょう。本当の醍醐味は、まだまだ先にあるのだと思います。
03
宇宙飛行士を目指す人にアドバイス
宇宙飛行士の訓練は非常に特殊で、普段できるようなトレーニングではありません。いきなり宇宙へ意識を向けるのではなく、宇宙飛行士の資格を得るための努力が先決です。
必要なことは、まず健康な体を作ることです。栄養バランスを考えた食事と基礎体力を向上させるための運動を日々積み重ねましょう。次に、英語力です。本格的な訓練はアメリカで行われます。専門用語も頻繁に飛び交い、聞き取りづらい無線での会話もあります。それらを瞬時に、スムーズに受け答えできるレベルを最終的には目指してください。

POINT
関連情報
オススメの1冊
『はやぶさを育んだ50年――宇宙に挑んだ人々の物語』
(的川泰宣著・宇宙航空研究開発機構編/日経印刷)
大きな感動を呼んだ「はやぶさ」を生んだ日本の宇宙開発の歴史を、豊富な写真と共に紹介
宇宙飛行士には「得意を伸ばす」よりも「苦手を克服する」力が問われる

東大:工学部航空宇宙工学科
技術集約性の高い航空宇宙技術について、多くの知識を活かしその発展をリードできる人材を育成する。 3年次冬学期から航空宇宙システム、航空宇宙推進の2つのコースに分かれる。どちらの分野も技術体系の全容を把握できるカリキュラム構成となっている。

慶應:理工学部機械工学科
学門A・Dから進級できる。ナノ・マイクロテクノロジー、宇宙・地球環境科学、ライフメカニクスの3つの分野を柱に教育を行う。2年次には国内外で実施される工場見学が必修である。3・4年次は選択科目が大半を占め、将来や進路に合わせて自由に履修する。


宇宙の物語を明らかにしたい
東京大学大学院理学系研究所
吉田直紀先生
今回は東京大学大学院理学系研究所で教授を務める吉田直紀先生をお招きし、「宇宙の探究」をテーマに講演いただいた。 吉田先生は東京大学大学院在学中に海外に留学、スウェーデン、ドイツ、アメリカで研究を続け、ビッグバン直後の宇宙に最初にできた星の姿をシミュレーションによって明らかにした。
詳しくはこちら
地球外生命体の可能性を科学する
国立天文台准教授
縣秀彦先生
今回は『面白くて眠れなくなる天文学』(PHP研究所)『地球外生命体は存在する』(幻冬社)などの著作で知られる国立天文台准教授の縣秀彦先生に登壇いただき「地球外生命体は存在するか?」をテーマにご講演いただいた。 果たして地球以外の星に我々のような知的生命体が存在する可能性はあるのか。最新の研究分野「アストロバイオロジー」を手掛かりとしながら果てしない宇宙の謎に迫った。
詳しくはこちら東進からのおすすめ
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