大学入試センター試験



例年と変わらず大問数6題の出題。設問数に変化はなかったが、マーク数が2つ減少した。
第6問の選択問題では、ニホニウムに関する問題が出題されている。


大問数
減少 | 変化なし | 増加 
設問数
減少 | 変化なし | 増加 
マーク数
減少(-2) | 変化なし | 増加 
難易度
易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年と形式は変わらず大問数は6題で、分野は第1問が小問集合、第2問が電磁気、第3問が波動、第4問が力学、第5問が熱力学、第6問が原子物理であり、第5問と第6問が選択問題であった。すべての範囲からまんべんなく出題されている。

第3問Aで出題された水面波のドップラー効果の問題のように、ドップラー効果の式を暗記しているだけでは正解できない問題が出題されるなど、単に公式にあてはめるだけでなく、与えられた物理現象を理解したうえで立式しないと正解できない問題が多く見られた。

第1問の小問集合では、力のモーメント、2つの直線電流による磁力線の様子、クインケ管、理想気体の状態変化、2物体の衝突が出題された。
第2問の電磁気では、Aがコンデンサーの直列接続・並列接続に関しての出題で、図1(b)を図1(c)に描きかえる意味が正しく理解できるかどうかで差がつくだろう。これができれば決して難しくない。
Bでは、磁場中と電場中を運動する荷電粒子についての出題であった。難しくはないが、問3、4ともに組合せ問題のため、両方が正解の選択肢を選ばないと満点にはならない。
第3問の波動では、Aがドップラー効果、Bでは光の干渉が出題されている。Aでは音波ではなく水面波のドップラー効果であり、ドップラー効果の原理を理解しているかが求められている。また、Bでは問3でヤングの実験、問4でニュートンリングがテーマとされた。
第4問は力学の出題で、Aは小物体の衝突と鉛直円筒面内の小物体の運動について出題された。問題集などでよく見られる設定なので、しっかり演習していれば確実に正解できる問題である。また、Bは鉛直ばねでつながれた2物体のつりあいと運動を考察する出題であった。基本に忠実に力のつりあいの式や運動方程式を立てられるかどうかが問われている。
第5問の熱力学は、水槽中に浮かぶ円筒容器に封入された気体の状態変化が出題されたが、熱力学の出題としては例年より難度が高い出題であった。
第6問の原子物理は、原子核と放射線に関する出題で、問1では新元素であるニホニウムの生成と崩壊、問2では結合エネルギーと質量欠損、問3ではα線β線γ線3種類の放射線の軌道が問われた。問3では磁場中ではなく電場中の軌道であったことに注意したい。

全体として分量が少し減っており、やや易化した。



年度 大問 出題分野 設問数 マーク数 配点
2020 第1問 小問集合 5 5 25
第2問 電磁気 4 4 20
第3問 波動 4 4 20
第4問 力学 4 4 20
第5問 1問選択 熱力学 3 3 15
第6問 原子物理 3 3 15
2019 第1問 小問集合 5 5 25
第2問 電磁気 4 4 20
第3問 波動 4 6 20
第4問 力学 4 4 20
第5問 1問選択 熱力学 3 3 15
第6問 原子物理 3 3 15
2018 第1問 小問集合 5 5 25
第2問 電磁気 4 4 20
第3問 波動 5 6 20
第4問 力学、熱力学 5 5 20
第5問 1問選択 力学 3 3 15
第6問 原子物理 3 3 15
2017 第1問 小問集合 5 5 25
第2問 電磁気 4 5 20
第3問 波動、熱力学 5 5 20
第4問 力学 5 5 20
第5問 1問選択 波動 3 3 15
第6問 原子物理 3 3 15
2016 第1問 小問集合 5 5 20
第2問 電磁気 4 5 25
第3問 波動 4 4 20
第4問 力学 4 4 20
第5問 1問選択 熱力学 3 3 15
第6問 原子物理 3 3 15

過去の平均点の推移

2020 2019 2018 2017 2016
61.64点 56.94点 62.42点 62.88点 61.70点

物理