大学入試センター試験

《倫理》 設問別分析



【第1問】青年期・現代社会分野
例年と同様、青年期と現代社会分野からの出題が中心であった。リード文が会話形式という点も同様。問1ではクワインについて初めて出題された。出題形式としても、読解能力と知識をともに求める新形式であった。また過去に誤答の選択肢として名前だけ一度登場したことのあったノージックが正面から初めて出題された。また問8では国連難民高等弁務官事務所やマララ・ユスフザイについての知識を求める設問があった。


【第2問】源流思想分野
形式面でも内容面でも伝統を踏襲した形で、とくに目新しいものはなかった。問3は大乗仏教に特化した設問で、「小乗仏教」が自称でない点や南伝仏教と北伝仏教についての知識など、やや細かめの内容が問われた。古代中国思想からの出題が少なく、墨子と孟子についての設問があったほかは、「儒教と仏教」についての問5で朱熹についての選択肢が2つあっただけだった。


【第3問】日本思想分野
昨年もそうだったが、今年もかつてとは出題テーマが大きく変わっている。問1では源信と空也についての知識が問われ、問2では日本の美意識ということで、西行・吉田兼好・雪舟・九鬼周造が問われた。問5では過去2回だけ問われた鈴木正三についての知識が求められ、その誤答選択肢としても西川如見と細かい人物が挙げられた。また問7では「共和主義」についての知識が求められ、誤答選択肢が「共産主義」だったので平易とはいえ、新傾向の出題である。


【第4問】西洋近現代思想
おおむね伝統を踏襲する出題であったが、やや新しい傾向も見出される。問1ではヒューマニズム・プロテスタンティズム・カトリシズム・ピューリタニズムが併置されてその理解が問われ、ロヨラの名について初めて問われた。問5ではミルについて、「内的制裁」の語を用いずにその理解を必要とする選択肢が出た。またリード文でも触れられ問8の読解問題で出てきたホネットは、近年注目の高まっている哲学者だが、センター試験では初めて出題された。