◆大学入学共通テストとは
今年の大学入学共通テストも、概ね昨年の本試験に類する出題傾向と出題形式で実施されました。問題文で与えられた現象の説明やグラフから解答に必要な情報を見出し、物理法則を用いて正しく結論を導き出す能力が問われる問題が出題されました。一方で過去のセンター試験でもよく見られたグラフや図を選択する問題や、組合せ問題なども出題されています。
大学入学共通テストでは、物理現象を理解、説明する能力がさまざまな側面から問われ、限られた時間内に正確に解答していくことが求められます。
◆大学入学共通テスト対策にあたって
大学入学共通テストのほとんどの問題は基本的な内容がきちんと理解できているかどうかを問うものです。したがって、受験を来年に控えた新高3生の皆さんは、まず教科書の内容を習得することを心がけてください。現在の履修状況にもよりますが、教科書の内容が正確に習得されているならば、今の段階でも今年の問題をある程度正解できるはずです。
また、大学入学共通テストは過去問が少ないため、2020年度までのセンター試験の過去問を解くことも対策になります。特にセンター試験は長く実施されていたため、近年の過去問は国公立大学入試の1次選抜として安定で質の高い出題となっています。大学入学共通テストの問題と合わせて過去のセンター試験の問題もよく演習しておきましょう。
◆基本的な考え方を身につける!
皆さんが履修している学習課程では、現象を式で書き表すだけでなく、実験などの探究活動を通して現象を理解することも重要とされています。普段の学習ではそのような機会を大切に活用し、加えて基本的な問題演習においても現象の考察を入念に行ってください。物理量の定義と法則の使い方を覚えるだけに留まらず、物理量の意味、法則の意味をよく考えながら自分なりにまとめていきましょう。また、「問題を解くための方法を覚えるだけの表層的な学習」から脱却し「多くの現象に共通する考え方の核となる部分は何か」を自問自答していくことで、出題の形式が少し変わったからといって揺らぐことのない物理の考え方を身につけることができます。
◆現象の表現法をみがく!
大学入学共通テストでは、図やグラフを利用して考察させたり、短文の正誤を判断させたりする問題が出題される傾向にあります。
これらへの対策として、普段から問題の答えだけでなく、それに関係する周辺知識も考察する習慣を身につけておきましょう。具体的には「物理量を変化させると結果はどう変わるかを吟味する」「グラフを描いてみる」「物理用語の定義について教科書で確認する」などがあります。数式による表現、作図による表現、日本語による表現の3つが伴うことで現象の深い理解が得られます。
また、各分野はまんべんなく出題されるため、苦手分野を残したりすることは避けなくてはいけませんが、それは受験日当日までの目標であり、現在達成すべきものではありません。物理では力学の理解が他分野の理解の基礎となっているため、まずは力学の学習を重視してください。
◆模擬試験で腕試し!
さらには共通テスト型の模擬試験を通じて経験を積むことが大切です。時間配分のコツをつかみ弱点を洗い出すには最適です。年間6回実施される東進の「共通テスト本番レベル模試」(全国統一高校生テストを含む)を利用して、学習成果の確認や苦手分野等の把握に役立てましょう。さらにしっかりと復習することで、苦手分野の克服につながります。ぜひ合格に向けて活用しましょう。