◆公民科目を甘く見ないこと
公民科目の選択者には、社会科の中では世界史や日本史と比べて負担が小さいだろうからという消極的な理由で選択する人が少なくありません。たしかに学ばなければならない情報量だけをみれば、世界史や日本史よりも公民科目のほうが少ないです。とはいえ、世界史や日本史を選択する受験生のほとんどは高校1年生あたりから一通り学んだうえで受験対策をしているのに対し、公民科目の選択者の場合は、受験準備期間がきわめて短く、しかも独学の割合が多いという特徴もあります。つまり習得すべき情報量の少なさというメリットは、学習に当てられる時間の短さというデメリットでかなり相殺されてしまうのです。甘く見ていては痛い目にあうでしょう。
◆倫理は特殊な科目
他の社会科科目と比べて、また政治・経済や現代社会と比べても、倫理は特殊な科目です。というのも、人名や著作名といった断片的な知識だけで対処できる問題はきわめて少ないからです。そこで主に求められるのは、古今東西の思想家たちが長い時間をかけて取り組んできた思想的課題についての理解です。これは単語を暗記するような学習では、とうてい習得できない事柄です。思想家の名前を暗記できないなどとこぼしているようでは、倫理攻略の入り口にも立っていないと言わざるを得ません。それなりの時間をかけなければ身につくものではありません。まずは腰を据えて教科書をじっくりと読みましょう。それから用語集をこまめに引きながら、一つ一つの概念について深く理解してください。
◆問題演習が成否を分ける
ひと通りの学習が済んだら、あとは問題演習あるのみです。なかなか点が伸びないと訴える受験生に話を聞くと、ほとんどは圧倒的に問題演習が不足しています。倫理では、思想の理解においてありがちな誤解をしていないかという点を確認する形の誤文が多いです。したがって、そうした「誤解」をつぶすために、実際の過去問にあたって、誤文の誤文たるゆえんをひとつひとつ理解していく作業が大切になります。過去問の少ない共通テスト対策として、年間6回実施される「東進の共通テスト本番レベル模試」は、年間を通して共通テストと同一レベル・同一形式の問題演習を繰り返します。定期的な受験により、自らの学習到達度を測る物差しともなります。積極的に受験して、ライバルに差をつけてください。