共通テスト 1日目解答

地理歴史

9:30-11:40

公民

9:30-11:40

国語

13:00-14:20

英語

15:10-18:10

共通テスト 2日目解答

理科①

9:30-10:30

数学①

11:20-12:30

数学②

13:50-14:50

理科②

15:40-17:50

地理歴史 日本史A

設問別分析

第1問 切手の歴史(会話文)
第1問は昨年同様に、会話文形式で出題された。昨年は多種に及ぶ視覚教材が提示されたが、本年は「切手」のみが提示されたという意味ではシンプルであったといえよう。
それぞれの時期に発行された切手の絵柄から、時代背景を考察させる問題が目立った。

問2 新たに制作された切手の改善点を問う問題であった。新貨条例が発布された時期を正しく把握していなければ、思わぬ失点につながる内容となっている。下線部aの箇所を含む「キリコ」の発言に注目する必要があった。会話文からヒントを得て、それを日本史の知識と結びつける、共通テストらしい問題となった。

問3 図3の切手が焼失をまぬがれた正しい理由を選択する問題であった。会話文中、キリコの「関東大震災が発生したために、印刷した切手のほとんどが焼失してしまったよ」がヒントとなっていた。「関東大震災」が起こった時期が1923年であることを正しく認識しておく必要があった。2023年は関東大震災発生からちょうど100年にあたる。学習の際には時事的な内容にも注目していきたい。

問4 史料の読解問題であった。「注」の記載がないため、比較的読みやすい史料であったといえよう。Yの正誤を判断するためのカギは、史料を執筆した「杉浦重剛」が政教社のメンバーであることを把握できていたかどうかにあった。史料本文はもちろんのこと、出典などにもヒントは隠されているので、注目する習慣をつけよう。

問6 敗戦直後の放送・メディアに関する正誤問題であった。センター試験の問題形式と類似しているため、センター試験日本史Aの過去問にあたるなどの準備してしていた受験生にとっては解きやすかったであろう。大正・昭和初期の文化と敗戦直後の文化の見極めが重要である。


第2問 幕末から明治にかけての日本
小問数は4問で、内訳は正誤を組み合わせる設問、4つの文から正文を1つ選ぶ設問、2つの文の正誤を判断する設問、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。特筆点としては、発言の正誤を判断する設問(問4)が出題されたことがあげられるが、全体的には昨年度に比べてシンプルな設問が多く、解答を出すのに多くの時間を必要としなかったのではないかと思われる。

問1 牧野りんの生没年の間に起きた出来事に関して述べた文と単語の組合せ問題。牧野りんの生没年はメモに記されていたが、選択肢だけでも基本知識で十分に対処できる問題だった。

問2 幕末から明治期にかけての服装や身なりに関わる出来事に関して述べた年代整序問題。IIIは幕末期、Iは1870年代、IIは1880年代、とおおよその時期を特定できれば正答を導けた。

問3 史料の読解問題。Xは、史料文も短く、日本史に関する知識が十分でなかったとしても、史料を丁寧に読み取ることによって判別できたと思われる。明治時代の教育史に関する設問は、2021年度・共通テスト本試・第1日程の第5問・問3でも出題されていたため、設問文の、「史料は、岸田が1884年に発表した」という情報を見逃さなければ、国定教科書制度は1903年以降の制度であるため、容易に判断できたはずである。

問4 波線部についての正誤判定問題。2021年度・共通テスト本試・第2日程の第2問・問3に近い形式で、基本的な年代を把握しておくことが前提とされていた。


第3問 税が経済や社会に与えた影響(会話文)
第3問は、国家が国民に課す税にスポットをあてながら、明治時代から大正時代までの社会経済史と、当時の政治・外交の歴史の因果関係を中心に問う問題であった。歴史を1つの視点からではなく、複数の視点からその内容の理解を図る問題が目立った。また小問7問中、問2と問4以外の5問が選択肢文が2行、または3行に及ぶ長さとなっており、より歴史的な事実を正しく理解できているかが試された。

問1 会話文の空欄アに適切な文をあてはめる問題であった。地租改正反対一揆を経て地租が2.5%に軽減された時期や第一回帝国議会時の民党の勢力を正しく理解し、さらに表の数値を適切に分析できれば、正答を選択することは比較的容易であった。表の数値の変化の背景を想起できるよう、「時期」の把握を怠らないようにしたい。

問4 日本の工業化に関する出来事の時代整序問題であった。明治維新期、産業革命期、大戦景気期と、それぞれの時期は比較的離れていたことから正答率は高いことが予測される。横断的な視野をもちながら、時代と時代とを比較するという点が共通テストでは重要視されている。

問6・問7 税と外交・政治の因果関係を問う、思考力を重視した内容であった。とくに問7は表の数値を正しく分析することに加え、衆議院議員選挙法の改正時期とその内容など、多角的な視野から歴史を考察させる、やや難易度の高い問題と思われる。多角的に歴史を考察する視点を養うことを心がけたい。


第4問 旅
小問数7問のうち、正誤を組合せる問題が2問、4つの文から正文を選ぶ問題が2問、2つの文の正誤を判断する問題が2問、空欄補充問題が1問出題された。史資料を用いて読解が求められる問題が複数出題されており、解答を選択するまでにある程度の時間が必要だったと思われる。

問1 空欄に入る文や語句の組合せを選択する問題。学制(1872)と教育令(1879)の内容を把握していないと解答を導き出せなかった。

問2 史料の内容に関して述べたX・Yの2文正誤問題。Xでは知識が、Yでは読解が求められた。Yの正誤を判断する際には、提示された資料から下線部bが1896年(日清戦争後)であることを確認する必要があった。

問3 表を利用した読み取りを含む問題。「釜山・京城」→朝鮮、「奉天・撫順」→満州、など地名がどこの国(地域)を指しているか判断する必要があった。選択肢2は表の「17~18日」の「奉天・撫順」の部分だけを見ても判断がつかないが、「22日」の訪問地に「奉天」とあるため、こちらも「17~18日」と同地域を指していることが分かれば判断できた。

問4 表と史料の読解問題。史料文も短く、表と史料を丁寧に読み取ることによって、正答を導くことができる設問だった。

問5 4つの文から正文を選ぶ問題。メモ中にある「1912年」を見逃さないことが重要。「地方改良運動」「ファシズム」「産業革命」「民族自決原則に基づく独立運動」の時期や、各用語に関する情報を習得しておく必要があった。

問6 提示された見出し一覧の情報だけでなく、沖縄返還の時期を特定しておく必要があった。この形式の設問は、a・b(もしくはc・d)のいずれかが正文または誤文であるため、2つの文を比較して判断すればよい。

問7 第二次世界大戦後の日本とアジアの関係に関するX・Yの2文の正誤を判定する問題。Xでは「北大西洋条約機構(NATO)」、Yでは「アジア・アフリカ会議」に直接的・間接的に関わる情報の理解が不可欠であり、受験生には盲点だったかもしれないが、来年度からの歴史総合を意識した設問とも考えられる。なお、アジア・アフリカ会議については、2013年度のセンター本試・日本史Bでも出題されていた。


第5問 アジア太平洋戦争(太平洋戦争)期の空襲とその経験を後世に伝える動き
第5問は戦後70年以上を経るなかで、日本が経験した戦争の惨禍について、後世にいかに正しく伝えていくべきかを受験生に投げかけながら、戦時中から1970年代までの歴史を広範囲に問う内容となっていた。個々の歴史的な出来事の「時期」をしっかり把握できていれば、正答を導き出せる問題が目立った。また問7は、2023年度から高等学校で新科目として加わる「日本史探究」を意識した設問であったといえるだろう。

問2 「伝単」に関する史料の読解問題であった。a・bの内容の見極めは容易であった。dの「1945年8月6日」は、人類史上初めて原子爆弾が広島に投下された年月日である。これは常識として捉えてほしい。史料読解問題であっても知識が必要なことが多いことは認識しておきたい。

問3 55年体制に至るまでの戦後政治史に関する時代整序問題であった。極めてオーソドックスな内容であるからこそ、ケアレスミスによる失点を避ける訓練がものを言うだろう。

問4 問2同様、史料の読解問題であった。史料が書かれた時期を「一九四五年…あれから既に五年有余の歳月が流れ去りました」から1950年と判断し、Aのビキニ環礁水爆実験が行われた時期と、Yの『経済白書』に「もはや戦後ではない」と書かれた時期を、正しく判断できれば正答にたどり着けただろう。冒頭にもある通り、「時期」の把握が重要であると言える。

問7 「資料集を活用して探究できる内容」と「それぞれの探究に際して最も参照すべき資料集」の整合性を問う問題であった。それぞれXとYの探究内容を導き出すために、第1巻~第4巻に記されている内容を注意深く考察する必要があった。注意深く問題文や選択肢文を読み解き考察する必要があるため、そうした訓練を積んできた受験生であれば解答は容易であっただろう。