◆大学入学共通テストは「思考力」や「判断力」を測る「考えさせる問題」が中心
大学入学共通テストの特徴として、第一に、各設問中に長・短の文章を設け、文章内容の把握力・要約力を問う設問や、関連性・因果関係を判断させる設問が見られます。従って、文章を多く読み、その内容をどれだけ早く掴めるかが勝負となります。これは普段から文章を読みこなし、早く内容を理解する国語力を測定しているとも言えます。第二に、空欄問題において、空欄に当てはめるものが、語句だけでなく文章の場合もあるなど多岐にわたっています。しかも複数の空欄すべてを適切に埋めることで正解になるので、断片的・部分的理解では得点できない仕組みになっています。
今回の「公共、政治・経済」の出題を見ると、上に述べた傾向がさらに強まっており、かつてのセンター試験に比べて単に知識を問う問題は少なくなっています。ただし、「公共、政治・経済」は、知識を軽視しているわけではなく、十分な知識を持っていることを前提として、思考力や判断力を測る問題形式になっています。以下に述べるように、基礎知識を万全にして試験に臨みましょう。
◆教科書を読み、基礎を万全にしよう
「公共、政治・経済」は倫理分野、政治分野、経済分野など幅広い分野から出題されます。それぞれの分野の基礎を押さえることが学習の出発点となります。教科書をしっかりと読み、太字の部分を中心に思想、制度、理論の大枠をとらえましょう。また、グラフや表を見てその特徴を押さえることも効果的です。一度に内容の全てを覚えようとするのではなく、繰り返し読み、大枠を捉えた段階から明確な理解の段階へと進みましょう。
◆模擬試験を定期的に受験しよう
「公共、政治・経済」の対策としては、教科書を読むことに加えて、現在に至る歴史(主に戦後史)的つながりと、グローバル化の結果としての地理的広がりとを理解する必要があります。さらに、それらに加えて人間社会の現象(文化的・宗教的あるいは倫理的な側面)の理解も欠かせません。つまり、現在の社会問題を広い視野で総合的に考える習慣を身につけることが必要です。また、文章を読んでその趣旨を把握する訓練をしなければなりません。
そのような力を身につけるためには、まず、類題や演習問題を多数経験するとともに、模擬試験を受けて、実践力を養うことです。また、新聞などを読むことで時事ニュースにも関心を持ち、そのニュースが教科書のどの分野に関連する事項かを意識をすることも大切です。さらに、多数の資料を用いた設問が必ず出るので、資料集で資料の見方・読み取り方に慣れておくとよいでしょう。「公共」分野の復習も忘れてはなりません。多くの場合、「公共」は3年次には授業がないため、放っておけば学習した内容が記憶から次々と消え去っていってしまいます。それを防ぐために、定期的に「公共」の教科書を読み直しましょう。
「公共、政治・経済」は、設問が複雑に構成されていて、文章量や資料がたいへん多く、相当に訓練していないと解答に時間がかかる内容になっています。皆さんが受験する来年度も傾向は同様でしょう。そのため、中途半端な知識では太刀打ちできない恐れがあります。早く準備をスタートし、この傾向の問題に早く慣れることが大切です。東進の「共通テスト本番レベル模試」は「全国統一高校生テスト」も含めると2か月に一度、共通テスト本番と同じ形式、レベルで実施されます。定期的に受験して、自分の学習進度を確認しましょう。