共通テスト 1日目解答
地理歴史公民
9:30-11:40
国語
13:00-14:30
英語
15:20-18:20
共通テスト 2日目解答
理科
9:30~11:40
数学①
13:00-14:10
数学②
15:00-16:10
情報
17:00~18:00
地理歴史公民
9:30-11:40
国語
13:00-14:30
英語
15:20-18:20
理科
9:30~11:40
数学①
13:00-14:10
数学②
15:00-16:10
情報
17:00~18:00
設問別分析
大問1
問1-a(デジタル署名)
情報セキュリティの分野から、デジタル署名の果たす機能について問う問題が出題された。デジタル署名は、情報の改ざんを検知し、安全な通信の基礎となる技術である。選択肢の中には「電子すかし」や「ブロックチェーン技術」を念頭に記述されたと思われるものがあるが、セキュリティにまつわる様々な技術の名称と、その目的や機能を紐付けて整理しておきたい。
問1-b(IPアドレス)
通信プロトコルの分野から、IPアドレスについて問う問題が出題された。IPアドレスは、ネットワークに接続された端末を特定するために利用される「住所」のようなもので、現在主流のIPv4は「192.166.1.16」というような形式で表記される。IPv4では2の32乗(約43億)個のアドレスを表現できるが、世界中でPCや携帯端末の普及が進んでいることを背景に「IPアドレス枯渇問題」が表面化しており、32ビット2進法表現のIPv4から、128ビット16進法表現のIPv6への移行が進んでいる。基礎的な知識を踏まえて、情報分野を取り巻く社会の変化にも敏感になっておきたい。
問2(7セグメントLEDの表示パターン)
7セグメントLEDの表示パターンに関する問題が出題された。7セグメントとは、デジタル時計など身近なデジタル機器に用いられている電子部品のことで、基本情報処理技術者試験にも出題されたことのある題材である。前半では、7セグメントLED一個あたりが表示できるパターン数を、後半では、7セグメントLEDが表示できる文字に関する情報から、必要な部品数を計算する問題である。どちらの問題も特別な知識は必要なく、問題文を読んで条件を適切に把握し、式を立てて計算する力が問われた。情報Iでは、データ量や2進数・16進数の変換などの計算に関連する分野も含まれている。自力で立式し素早く計算する練習を日頃から心がけてほしい。
問3(チェックディジット)
ネットワークと情報セキュリティの分野から、チェックディジットの2つの生成方法の比較について問う問題が出題された。試作問題では問2でパリティチェックに関する出題があり、類似した出題となった。チェックディジットは、バーコードやマイナンバーなど身近なところでも使われている。またその生成方法は、出題された方法の他にも様々あるため、確認してみるとよいだろう。思考力を問う問題ではあるが、類似した問題を解いておけば素早く対応することができるだろう。知識の習得にとどまらず、手を動かして計算するなどして具体的に活用する演習を積んでおくことが重要となる。
問4(UI、フィッツの法則)
情報デザインの分野から、ユーザインタフェースのデザインについて問う問題が出題された。マウス操作という身近なテーマについて、デザインに際して利用されるフィッツの法則が提示され、その法則を具体的な事例に適用するという、思考力を要する問題であった。問題文を遅滞なく理解し応用することが求められる。ユーザインタフェースにおける利便性向上のための工夫は、教科書などを参照する例として挙げられていることもある。身近な対象への応用力を問う問題については、教科書などに載っている例を足がかりに、自ら他の対象について調査して知見を広げることで、たとえその対象が出題されなかったとしても、思考力を養うこともできるだろう。
大問2A
試作問題がQRコードの構造と特徴を扱い、その技術的な理解を問う内容であったのに対し、本試験ではスーパーマーケットの情報システムという身近な題材を用いて、システムの理解とデータ活用について多角的に考察する構成となっている。試作問題では情報技術の仕組みや設計思想の理解が中心であったのに対し、本試験では実務的な文脈でのシステム理解と活用力が試される展開となった。
本試験の問題では、職業体験という場面設定を通じて、実際の業務システムにおけるデータの流れと活用方法を段階的に理解させる工夫が見られる。会話形式による導入、レシートのモデル化、システム間連携の図式化など、情報システムの全体像を効果的に把握できる教材としても優れた出題といえる。特に、実店舗とECサイトの連携など、現代的な課題への理解を確認する展開は、情報システムの社会的役割を考えさせる良問である。
この問題からは、情報科における「システム的な考え方」の育成という方向性が読み取れる。技術そのものの理解から、その活用と応用への重点の移行が見られ、今後も実社会での活用場面を意識した出題が予想される。基本的な概念理解に加えて実践的な思考力の養成が重要となるだろう。
問1
レシートから分析目的に応じた適切な情報項目を選択する問題である。時間帯別の売上分析や曜日別の商品購買状況把握など、具体的な分析目的に対して必要なデータを見極める基礎的な力が問われている。
問2
顧客の購買行動分析における情報システムの限界を考察する内容となっている。ポイント会員情報とレシートデータの組み合わせから得られない情報を判断することで、データ分析の特性と制約に関する理解を確認している。
問3
本部・店舗・配送センター間の情報連携について、適切な情報の流れを選択する問題である。店舗コードとポイント会員IDという具体的な情報項目を通じて、組織間のシステム連携のありかたを考察できるかを問うている。
問4
実店舗とECサイトの連携において必要な条件を考察する力が試されている。顧客サービス向上のためのデータ活用について本文から理解できるかが問われている。
大問2B
試作問題が待ち行列のシミュレーションによるデータ分析を扱っていたのに対し、本試験では集金時のおつり準備という身近な問題を、シミュレーションを用いて分析する構成となった。試作問題ではデータの統計的な解釈力が中心であったのに対し、本試験では具体的な業務上の課題に対する情報技術の応用力が試される展開となった。
金銭管理という実践的な場面を題材に、表計算ソフトウェアによる乱数生成を利用したシミュレーション分析を段階的に行う構成は、情報技術の具体的な活用方法を理解させる上で効果的である。1回の試行から多数回の実験へと発展させ、確率的な事象の特徴を考察させる展開は、情報科ならではの問題解決アプローチを示す好例といえる。
この問題からは、情報技術を用いた問題解決能力の育成という方向性が読み取れる。試作問題と同様にシミュレーションを扱いながらも、より実務的な文脈での活用を重視する傾向が見られる。
今後も、実社会の課題をモデル化し、シミュレーションなどの手法を用いて分析する能力を問う出題が予想される。表計算ソフトウェアの基本的な機能理解に加え、確率的な考え方や統計的な分析力の養成が重要となるだろう。
問1
与えられた条件を正しく理解しているかを問う問題である。試作問題と同様にまずは条件をもとに表の空欄を埋め、その結果から「手元の千円札の枚数」の最小値を探す問題であり、条件も難しくないので難易度は高くないが、計算ミスに注意してほしい。
問2
シミュレーションを10,000回行った結果の図が提示され、結果を考察させる問題である。「全員が一万円札で支払ったことは図の何を見れば確認できるのか、それともそもそも図からだけでは確認することができないのか」というような考察を各選択肢で行う力が養われているかを問われている。各最小値をとる状況が複数あることに注意すればあまり悩まずに解くことができるだろう。
問3
モデル化やシミュレーションを考える前の問題の前提を正しく理解できているかを問う問題である。例えば選択肢0において「最初の1人が千円札で支払ったとしても、残り全員が一万円札で支払ってしまうと手元の千円札の枚数が負になってしまう」や選択肢1で「全員が千円札で支払うことで用意した千円札を使う必要がない」などというように、選択肢の各ケースが起こりうる一番近いパターンを自分で考え手を動かして考えることで正答することができる問題である。この問題に関しては問1、2が解けなくても正答できる問題であったため、解くことができる問題を試験中に見定める力も試されていたかもしれない。
大問3 プログラミング
複数の種類の工芸品の製作という課題を、それぞれが製作に要する日数に応じて作業者に割り当てるためのアルゴリズムを理解し、これをプログラミング言語で記述する問題である。
問1
与えられた文章から場面設定を理解する問題である。試作問題と同様、ソースコード(プログラミング言語)を用いる必要がなく、与えられた文章を適切に読むことが求められている。表(ガントチャート)も提示されているため、解答はさほど難しくないと思われる。
問2
7行のソースコードの穴埋めを行う問題である。配列内の要素のうち最小のものを求めるアルゴリズムを題材としている。アルゴリズム自体はごく単純で、問1で場面設定を理解できていれば解答は決して難しくないと考えられる。特定の行の実行回数を答える問題も出題されており、正答するためには、処理が実行される条件と順番を正確に理解する必要があるだろう。
問3
11行のソースコードの穴埋めを行う問題である。問2よりも一般的な状況に対応しうるプログラムが扱われており、前問に比べ少し複雑になっている。目的を達成するためにどういった処理を反復すればよいのかを念頭に置きつつ、空欄の置かれている位置に応じてどういった内容を挿入すればよいかを正確に読み取る力が求められる。試作問題と同様、問2で用いたプログラムを再利用する部分があり、扱ってきた処理や変数と、目下行おうとしている処理との関連性を理解する能力も問われている。
大問4 データの分析
地方別、都道府県別の旅行者数に関するデータを題材として、様々なグラフから読み取れる内容を考察する問題である。
問1
生徒と先生の対話形式で、表内の項目の尺度水準、およびグラフから読み取れる内容を問うている。前半は、各尺度の定義を知っていれば難しくない。後半は、棒グラフは実数を、帯グラフは割合を用いていることを理解できていれば難しくないと思われる。
問2
散布図と相関係数から読み取れることを選択する問題である。各選択肢の内容を散布図に当てはめることや、相関係数がいずれも正であることから正答を導くことができる。また、相関関係と因果関係の違いも理解しておく必要がある。
問3
新たに「出張等と観光等の旅行者数を、旅行先の各都道府県の人口で割った値」という指標を導入し、2つの散布図におけるデータ点の対応関係を考察する問題である。やや見慣れない形式の出題ではあるが、人口で割るという操作によってデータの値がどのように変化するかを考えれば、解答はそう難しくないと思われる。
問4
問3で用いた散布図に加えて箱ひげ図も導入し、複数の図から読み取れる内容を問う問題である。後半については、箱ひげ図をもとに散布図を4つの領域に分割することで考えやすくなるだろう。「出張/人口」を「観光/人口」で割った値は、原点からその散布図上の点まで引いた直線の傾きに対応することを用いるとよい。