共通テスト 1日目解答

地理歴史

9:30-11:40

公民

9:30-11:40

国語

13:00-14:20

英語

15:10-18:10

共通テスト 2日目解答

理科①

9:30-10:30

数学①

11:20-12:30

数学②

13:50-14:50

理科②

15:40-17:50

地理歴史 日本史B

設問別分析

第1問 印刷の歴史
第1問では、年表挿入問題、年代整序問題、2つの文の正誤を判断する問題、空欄補充問題、2文と単語を組み合わせる問題、正誤を組み合わせる問題、がそれぞれ1問ずつ出題された。
これまで出題例のなかった年代順に並んだ表を用いて時期を判断する問題が出題されたが、奈良時代の政治史に関する知識をしっかり持っていれば、正答を導くのに苦戦することはなかったと思われる。問3の史料読解では、教科書の表現とは異なる知識を史料から得られた情報で判断する必要があったため、やや苦戦したのではないかと思われる。

問1 下線部の戦乱の時期を年表に挿入する選択問題。本問では、(1)下線部から戦乱の名称を想起することができたか(「光明皇后と結びついて」「太政大臣に相当する地位」〔大師のこと〕などから恵美押勝の乱を想起)、(2)戦乱が起こった時期を把握できていたか、(3) 藤原仲麻呂(恵美押勝)や道鏡に関連する情報を押さえることができていたか、が正答を導くためのポイントだった。

問2 中世~近世の日本と朝鮮半島との交流に関する年代整除問題。IIIは「朝鮮が……対馬を襲撃」から応永の外寇(15世紀前半)、Iは「朝鮮の三浦……日本人らが……暴動」から三浦の乱(16世紀前半)、IIは「全国を統一した人物……朝鮮半島に出兵」から朝鮮侵略(16世紀後半)、を特定できれば正答を導くことができた。

問3 2つの史料の読解を求めた問題。Xは「注3」に注目して誤文と判断するのは比較的容易だったと思われるが、Yは判断がやや難しかったと思われる。Yは「前々の如く諸役あるべからず」に注目し、設問文の「税免除の特権を撤廃」と照合して正誤を判断する必要があった。

問4 「活字印刷の技術」や「『吾妻鏡』」に関する基本的な情報を習得していれば対応できる問題だった。なお、「イエズス会の宣教師」はヴァリニャーニ、「鎌倉幕府の滅亡とその後の内乱を題材とした軍記物」は『太平記』を指していると考えられる。

問5 江戸文化について述べたX・Yの文と、それに該当するa~dの語句を選択する問題。Xは「芝蘭堂」「『蘭学階梯』」、Yは「人情本」「天保の改革で処罰」がヒントになっただろう。

問6 受験生にとっては初見と考えられる史料。cとdは知識で正誤の判別が可能であるが、aとbも、注も利用しながら史料3を丁寧に読めば正誤の判別は容易であったと思われる。

第2問 日本古代の食物
第2問では、正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序問題、がそれぞれ1問ずつ出題された。
特筆点として、表の空欄にあてはめる形での8択の問題が出題されたことがあげられる。なお、この選択問題の空欄では、文章の選択が求められており、用語の正しい理解や時代背景などを正確に理解しておく必要があった。

問1 甕と甑について、2つの写真と、その用途について述べたX・Yの正誤を組み合わせる問題。甕と甑の用途は把握しておく必要があったが、「一方が甕で、もう一方は甑である」という前提を見逃すと、難問に感じられたのではないかと思われる。写真2の※「火を受けた痕跡」から「煮るために用いられた」、写真3の※「底部に通気のために穴が開けられている」から「食品を蒸すために用いられた」、の部分が正しいと判断する必要があった。

問2 8世紀における調という税目の塩に関する正誤の組合せ問題で、史料と表の読み取りが求められた。aはほぼそのまま史料と表に記述があったため、正文と判断するのは容易だった。cとdは、旧国名の位置を把握しているかが問われていた。全ての国が海に面しているかどうかを判断できなくても、「尾張」が都よりも東側に位置していることを認識していれば、dが誤文だと判断できた。
問3 古代の女性の服装に関する年代整除問題。Iは「高松塚古墳の壁画」から白鳳文化、IIIは「鳥毛立女屛風」から天平文化、IIは「寝殿造」「女房装束」から国風文化、について述べた選択肢文だと判断できれば正答を導くことができた。

問4 写真4(木簡)と史料2(『小右記』)を用いた形式の問題。選択肢1は、写真4の「近江国」、会話文の「『延喜式』の規定「畿内……は蘇の納入が規定されていなかった」(それ以外は納入が規定されていたと判断する)という情報を検討する必要があった。ただし、選択肢3「貢納期限が守られていた」が誤文であることは、史料2の「いまだ献ぜざる」からすぐに気づいたのではないかと思われる。

問5 2021年度の共通テスト日本史B(第2日程)で初めて見られた、空欄ア~ウに入る文を選択する問題。アは木簡、イは『日本三代実録』の編纂時期や藤原陳忠(「受領は倒るるところに土をもつかめ」)、ウは遣唐使停止後における10世紀の日中関係に関する情報を把握しておく必要があった。

第3問 中世社会の特色
第3問では、年代整序問題、正誤を組み合わせる問題、2文と単語を組み合わせる問題、2文と史料を組み合わせる問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、がそれぞれ1問ずつ出題された。史料が5つ引用されたが、そのうち4つは教科書や史料集で確認できるものだったため、目を通した経験があった受験生は有利だったと思われる。

問1 中世の朝廷に関する年代整序問題で、Iは「西面の武士を設置」「幕府との戦い」から鎌倉時代前半の承久の乱、IIIは「悪党」から鎌倉時代後半、IIは「京都の市政権や諸国に段銭を課す権限などが、幕府の管轄下に置かれた」から室町時代前半の足利義満の治世、をそれぞれ想起できれば、正答を導けたと思われる。

問2 2つの史料を題材とした4文の組合せ問題。読み取りを必要とした。史料1は頻出の永仁の徳政令であるが、史料2は現代語訳されているとはいえ、初見だったはずで、情報量も多いため、やや読解に苦戦したかもしれない。下線部の「1297年の永仁の徳政令については、御家人以外の人たちも適用を求めたことがあった」がヒントになったと思われる。

問3 南北朝文化について問われた、X・Yの文章とa~dの用語の組合せ問題。著書と作者の組合せを把握していれば、正答を導くのは容易だった。

問4 戦国大名が制定した分国法に関する問題。提示された3つの史料は教科書に掲載されており、基本的な知識で十分対応できる問題であった。

問5 中世社会における「実力を行使して問題を解決しようとする事例」という前提を見逃すと、正誤の判断が困難になったはずである。会話文の「中世の……百姓たちは、自らの利益を守るために様々な活動をした」もヒントにして、選択肢4が正文だと判断するべきだった。

第4問 近世の輸出入品と社会・経済との関係
第4問では、正誤を組み合わせる問題、空欄補充問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。歴史総合を意識したと考えられるテーマ設定がされており、対外関係史からの出題が目立ったことが特筆点としてあげられる。

問1 近世の輸出入品に関する空欄補充問題で、3つの空欄の組合せは、比較的珍しい形式だった。日朝貿易では「木綿」が輸入されたこと、朱印船貿易では石見大森銀山などの銀の産出量増加を背景に「銀」が輸出されたことを把握していれば、木綿以前の衣料の原料が「麻・苧」だと判断できなくても正答を導くことができた。

問2 江戸幕府がポルトガル船の来航を禁止するに至るまでに起きた出来事について述べた年代整除問題。「鎖国」体制を構築する目的の一つがキリスト教の禁止であることを把握していれば、IIIが最初の出来事に該当すると判断できただろう(I・IIは幕府による鎖国体制構築の過程の出来事)。I・IIは幕府による鎖国体制構築の流れを正しく把握しておく必要があった(Iの「ヨーロッパ船の寄港地を平戸と長崎に限定した」のは1616年。IIの「島原・天草地域で……大規模な一揆が起きた」のは、1637年〔島原の乱〕)。

問3 俵物の輸出に関して述べたX・Yの2文の正誤を判断する問題。教科書には、明清交替の動乱がおさまると、長崎での貿易額は年々増加したしたこと、幕府は輸入増加による銀の流出をおさえるため、貿易制限措置をとったことが記されているため、Xの「輸出増加策」は誤りだと判断できただろう。Yは俵物の内容を把握しておかなければ、判断は難しかったと思われる。

問4 初見史料の読解問題。ただし、史料文は短く、日本史に関する知識が十分でなかったとしても、史料文を丁寧に読み取ることによって判別できたと思われる。会話文の「輸入に頼っていた砂糖は国産化が進む」もヒントにすることができただろう。

問5 初見史料の読解問題。aとb、cとdは消去法で対応できた問題だった。aが誤文であることは史料2の1段落目から、dが誤文であることは問題文の「1835年」(19世紀)から判断できたはずである。ただし、「定免法による年貢増徴策が採用された」のは18世紀の享保の改革の時期であることを認識しておく必要があった。

第5問 明治期に始まったもの
第5問では、正誤を組み合わせる問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、空欄補充問題がそれぞれ1問ずつ出題された。日本史探究部に所属する高校生の研究発表がテーマとなっており、来年度からの「歴史総合、日本史探究」という入試形態を意識したものだったと考えられる。2つのグラフを読み取る問題が出題されたが、シンプルな形式の問題を素早く処理し、ある程度時間をかけて取り組めれば、発表原稿からヒントを得るなどして正答を導くことは可能だったと思われる。また、2024年度に新紙幣が発行されることから、多くの受験生が紙幣や銀行に関する問題への十分な対策をしてきたと思われる。問3の史料は比較的短く、焦らず丁寧に読み解くことで正答を選択できただろう。

問1 空欄に入る語句の組合せを選択する問題。幕末における開港地を正しく把握しておく必要があった。洋服については、一部の教科書でも確認できる情報であるため、知識でも正答を導き出せるが、発表原稿の「洋服の着始めは……歩兵の制服にやあらん」という部分を見逃さなければ、自信をもって正答を選択できたと思われる。

問2 グラフを利用したX・Yの2文正誤問題。グラフの読み取りと知識が求められたが、Xは発表原稿の「幕府仏蘭西式歩兵」をヒントにできれば「西洋式軍備の需要」は正しいと判断できたと思われる。Yは1866年の改税約書を想起するべきだった。ただし、「輸入総額」は上昇していることが確認できるため、「関税率が引き上げ」られれば輸入は減少する、関税障壁に関する基本的な知識があれば、誤文と判断できただろう。

問3 史料の読解問題。2024年度は新紙幣が発行されることから、多くの受験生がこのような紙幣や銀行に関する問題には十分な対策をしてきたと思われる。史料文も比較的短く、焦らなければ史料を丁寧に読み解くことで正答を選択するのは容易だっただろう。

問4 明治文化に関する問題。文化史を苦手にしている受験生は少なくないと思われるが、問われていることは基本事項であり、2021年度の共通テスト日本史Bで「政教社」、2022年度の共通テスト日本史Bで「民法」に関する問題も出題されていたため、正誤の判断はしやすかっただろう。

第6問 二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係
第6問では、史料の組み合わせ問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、正誤を組み合わせる問題、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、年代整序問題、空欄補充問題、がそれぞれ1問ずつ出題された。 特筆点として、3つの史料の組み合わせを選ぶ問題が出題されたことがあげられるが、全体的にシンプルな形式の問題が目立った。

問1 史料の内容とワシントン会議の内容を一致させる組合せを選択させる問題。ワシントン会議で締結された条約、廃棄された条約が把握できていれば、史料から条約を特定することによって、正答を選択することは比較的容易だったと思われる。

問2 不戦条約を調印した内閣(田中義一内閣)について述べた4文正誤問題。それぞれの文が示す内閣は異なっていたため(選択肢1→加藤高明内閣、選択肢2→第2次山本権兵衛内閣、選択肢3→寺内正毅内閣、選択肢4→田中義一内閣)、基本的な知識があれば、解答を導くのは容易だった。

問3 史料の読み取りが求められた問題。知識をほとんど必要とせず、読解に注力(「満鉄以外の鉄道保護」「国際法ないし国際条約抵触を避け」など)すれば正答を導くことができた。

問4 日中戦争中における日本の外交の知識が問われた。センター試験日本史Bで何度も出題されてきた内容であったため、基本知識で正誤の判別ができたはずである。

問5 占領期における日本の社会や文化についての知識が問われた。2023年度・共通テスト日本史Aで「リンゴの歌(唄)」、2016年度・センター試験日本史Bでも「美空ひばり」について出題されていたため、過去問演習を徹底してきた受験生には有利だったと思われる。

問6 戦後における日本とアメリカとの間で結んだ条約・協定を対象とした年代整序問題。Iは1971年の沖縄返還協定、IIは1954年のMSA協定、IIIは1960年の新安保条約(日米相互協力及び安全保障条約)だったが、IIIを1951年の日米安全保障条約と勘違いしてしまうと、正答を導くのが困難になったと思われる。

問7 サンフランシスコ平和条約と1970年代の日中関係に関する問題。アは「参加したが調印しなかった」、イは「1972年」、というメモの情報を見逃さなければ、基本知識で十分対応できる問題であった。