共通テスト 1日目解答
地理歴史公民
9:30-11:40
国語
13:00-14:30
英語
15:20-18:20
共通テスト 2日目解答
理科
9:30~11:40
数学①
13:00-14:10
数学②
15:00-16:10
情報
17:00~18:00
地理歴史公民
9:30-11:40
国語
13:00-14:30
英語
15:20-18:20
理科
9:30~11:40
数学①
13:00-14:10
数学②
15:00-16:10
情報
17:00~18:00
設問別分析
第1問 歴史上の境界
歴史総合からの問題だった。一部ではあるが、日本史探究に記述されている情報では対処しにくい設問がみられた。
問1
主権国家体制(い)と冊封体制(あ)の区別が出来ていれば選択は可能だった。
bは上海、aは広州
問2
資料には「一昨年に台湾出兵が発生した」とあった。台湾出兵は1874年。ここから、「昨年また我が国と朝鮮との間で事件が起こった」の「昨年」は1875年で、「事件」とは江華島事件だと判断できる。清仏戦争は1880年代。
問3
穀物法は、1815年に制定されたイギリスにおける国際農業保護法。1846年、自由貿易運動が高まるなかで廃止された。
日本史探究の教科書では確認できない情報であり、歴史総合の教科書を熟読していなければ対処しにくい設問だった。ただし、「検疫に反対」とあるため、「人的被害を抑制する必要がある」は論理的に適合せず、消去法で「貿易を妨げるべきではない」が正しいと判断できれば、当時世界の貿易を主導する立場にあった国は、スペインではなくイギリスだと類推できたと思われる。
問4
「第一次世界大戦終結から第二次世界大戦勃発までの時期」(1918~1939)から、選択肢3と選択肢4が解答の候補となるが、選択肢3の日本の国際連盟の脱退の原因は、盧溝橋事件ではなく、柳条湖事件である。
問5
地図に示された時期を正確によみとることができれば、解答を導くのは容易だった。
問6
グラフを正確に読み取るためには、世界恐慌、ベトナム戦争、冷戦終結の時期を把握しておく必要があった。
問7
III カストロは、1959年からキューバ革命を推進し、1961年に社会主義政権の樹立を宣言した。
I チェコスロヴァキアでは、1968年、「プラハの春」と呼ばれる改革運動が盛り上がったが、ソ連はこの動きを許容せず、ワルシャワ条約機構の軍をチェコスロヴァキアに侵入させ、「プラハの春」を鎮圧した。
II 「四つの現代化」は1975年、周恩来によって提起され、鄧小平を中心に推進された。
知識があれば容易に正答を選択できる。グラフ「アメリカ合衆国への出身地域別移民数」をヒントに、メモII・IIIのおおよその時期を類推することもできたと思われるが、日本史探究の教科書に掲載されている情報のみでは対処しにくい設問だった。
問8
主題を探究するための問いあ・いと、それぞれの問いを考察するための学習活動として適切なものをW~Zから選ぶ問題。
あは、「ベルリンの壁」崩壊が1980年代後半(1989年)であることを把握していれば、Xを選ぶことは容易だったと思われる。
いは、「お雇い外国人」が、海外からの知識や技術を導入するために、明治政府によって雇われた欧米人であることを把握していれば、Zが適当だと判断することができた。
第2問 菓子の探究活動
試作問題と同様、テーマ史の問題だった。求められている知識は基本的なものが多いが、問5では、大問全体を熟読しているかが問われていた。ただし、こうした設問は、これまでの共通テストにも多くみられたため、過去問に十分取り組んでいた受験生は、対処しやすかったはずである。
問1
田沼意次の政治と資料の読解が問われた正誤組合せ問題だった。会話文中にあった「工藤平助」から「意見書を受け取った人物」が田沼意次と正しく判断できただろう。資料1の読解は、比較的容易だったと思われる。
問2
史資料の分析を求めた問題であるが、第一次世界大戦期に参戦国からの輸入が途絶したといった知識は必要だった。図1の「事務家、読書家、運動家の根気を能くし元気を増す」から、ミルクキャラメルの宣伝が「大人も対象となっていた」と判断できただろう。
問3
平安時代の貴族の文化や生活を問うた誤文4択問題だった。「違い棚や付書院」、「明障子」から室町文化の書院造を想起することは容易だったはずである。全体的に、弘仁・貞観文化や国風文化の基本的な知識を問う設問だった。
問4
中世の貿易や禅宗との関わりについて問われた正文4択問題。とくに室町時代は禅宗が保護されたことから、禅僧が室町幕府の政治・外交に関与していた。「中世」「禅宗」といったキーワードを見逃さなければ、判断に迷うことはなかっただろう。
問5
日本における砂糖の普及に関して古代~近代の広範囲にわたった正文4択問題。会話文では「国内での砂糖生産もこの意見書が書かれた18世紀後半頃から普及」とされていた。会話文(問題文)の情報を見落としてしまった受験生には難問と感じてしまったと思われる。
第3問 外交と文化の関わり
試作問題と同様、原始・古代が対象とされていた。形式面では、新傾向といえるものがいくつか含まれていたが、いずれも複雑なものとはいえず、求められている情報も基本的なものが多かったため、全体的に難しいと感じることはなかったはずである。
問1
九州北部の各地から見つかった遺物のうち、3世紀までに中国大陸や朝鮮半島からもたらされた可能性がないものを選択する問題。これまでにあまりみられなかった形式の設問であるが、シンプルであるため、戸惑うことはなかっただろう。「新羅」が4世紀に建国されたことは基本事項であり、5世紀頃の副葬品である「馬具」にも注目すれば、判断しやすかったはずである。
問2
奈良・平安時代における東アジアとの交流に関する正文選択問題。奈良時代の政治(政権担当者など)、遣唐使、日本と新羅との関係に関する基本的な情報を習得していれば、正答を選択するのは容易だった。
問3
現代語訳された4つの資料を用いた問題。渤海のことを「高麗」と記す資料を選択することが求められていた。日本・渤海間の交流時期を把握していれば、資料1の「宋」、資料2の「聖武天皇」、資料3の「隋」、資料4の「雄略天皇」などから正答を選択することができた。
問4
九州北部の軍事的な重要性に関して述べた2つの文あ・いの正誤を判断する問題。あは健児の制、いは刀伊の入寇(来襲)に関する知識が問われていた。
問5
メモと図を用いた正文選択問題。図の螺鈿紫檀五絃琵琶や阿弥陀聖衆来迎図は多くの教科書に掲載されており、問われていることは天平文化と国風文化の基本事項であったため、判断しやすかったと思われる。ただし、形式面では、これまでの共通テストの定番的な問題とはいえないため、やや戸惑ったのではないかと思われる。
第4問 中世の武士
中世が対象とされていた。史資料の分析を求める設問が多かったが、教科書で基本的な知識を習得していれば、判断することが容易な選択肢も目立った。
問1
鎌倉時代の御家人に関する誤文4択問題。半済令が最初に出されたのが、室町時代の14世紀中頃であることを認識していれば解答を導けた。
問2
図の説明と資料からの考察を組み合わせる問題。図(防塁〔石築地〕が描かれている)がモンゴルの再襲来に備えて作られたこと把握していれば、「図の説明」は判断できる。資料2も、注などを活用して資料の内容を読み取ることができれば、正答を判断できただろう。
問3
空欄補充問題。「吉田兼倶の子孫」、「吉田兼右の1551年の日記」から、唯一神道とキリスト教を選択するべきだった(キリスト教の伝来は1549年)。なお、伊勢神道は鎌倉時代、黄檗宗は江戸時代の語句だと判断し、消去法によって解答を導けただろう。
問4
統一権力がみずから貨幣を鋳造した理由を選ぶ正文4択問題。藩札は戦国大名ではなく江戸時代に一部の藩がつくったもの、税や軍役の賦課基準として土地の生産力を銭で表す貫高制は戦国大名が行ったことであり、銀の大量流出は貨幣の鋳造とは直接結びつかないことから、消去法を用いることなどによって、正答を判断できたと思われる。
問5
探究した内容として正しい文を選ぶ問題。戦国大名に関する知識から正答を導くことは比較的容易だった。資料3の「陶晴賢」、会話文の「下剋上」などもヒントにすることが可能な設問だった。
第5問 近世の村
近世が対象とされていた。分析するべき史資料は全体的に多いが、類似した「グラフ」は多くの教科書に掲載されている。教科書に掲載されているグラフやコラムの記事(天明の飢饉に関するものなど)を熟読したり、考察したりといった経験をもっていれば、対処しやすかったと思われる。
問1
太閤検地や近世の百姓に関する正誤組合せ問題。太閤検地や、検地後の土地制度の変化、近世の百姓のあり方について問われていた。「近世の百姓」については、日本史探究の教科書で、戦国大名や豊臣政権のもとでは自力救済が否定されたことなどが記されているため、そうした情報を把握していれば、消去法でも判断することができたと思われる。
問2
村掟(村法)の資料から、近世の村の運営について問うた正文4択問題。資料そのものは、現代語訳であったこともあり読み取りやすかった。江戸時代において村民は五人組制度のもと、連帯責任を負わされることを前提として理解しておくことも重要だった。
問3
年代整序問題。「耕地の喪失や細分化を規制(分地制限令)」、「青木昆陽」、「江戸への出稼ぎを抑制し、流入した者を帰村させる政策(旧里帰農令や人返しの法)」を想起できれば解答を導けただろう。
問4
メモの内容に関する正誤組合せ問題。資料を丁寧に読み取ったうえで、天明期には浅間山の噴火があったことを事前に把握していれば解答を導くことは容易だった。資料中の「天明3年以降、荒地は年貢賦課の対象外となっている」という部分を見逃さなければ、知識が十分でなかったとしても解答を導けただろう。
問5
近世の村に関する誤文選択問題。グラフを見ると、1665年から1685年にかけて幕府領の石高が大きく増加しているにもかかわらず、年貢高はほとんど変化が見られないことから、「幕府領の石高と年貢高の変化は連動しており」は誤りだとわかる。なお、18世紀前半の享保期に年貢率の引き上げが行われていたことを事前に把握していれば、「年貢率が17世紀後半から19世紀初頭まで固定化されていた」も誤りだと判断できただろう。
第6問 松本清張の年譜
近現代が対象とされていた。難問といえるものはないが、史資料から情報を抽出して判断するのに、それなりの時間が必要だっただろう。
問1
史料の内容として正しいものと、西南戦争開戦と同時期の政府の政策として正しいものの組合せを選ぶ問題。メモ中の「金札を……買い占めに走った男が破滅」、資料1中の「西郷の札まで今は地に落て……」から、あを選ぶことが可能だった。資料1中に「西郷札……近頃総督府に引換を申出づる者随分多し」とあるが、資料1からこの記事が「一八九五年」であることが読みとれるため、韓国併合が1910年であることを把握していれば、いの「植民地の朝鮮」は誤りだと判断できたはずである。「西南戦争開戦と同時期の政府の政策」については、メモや資料1から西南戦争が1877年の出来事であることが読みとれるが、具体的な年代を把握していなくとも、Xの「地租の引き下げ」が西南戦争開戦の直前に行われたことを押さえていれば、Xを選ぶのは容易だったはずである。Yは、日本が「銀本位制を確立した」のは1886年のため、誤り。
問2
史料読解が必要な4文正誤問題。選択肢1と選択肢2は史料の読みとりのみで対応可能であったが、選択肢3と選択肢4を判断するために資料2が扱っている時期を特定する必要があった。
資料2中の「英語の古教科書……『敵性語』の本」、年表中の「1944年……朝鮮に渡る」、「1945年朝鮮で敗戦を迎え」から、「当時」が1944~45年の戦中であることが特定できれば、選択肢4の「この頃の朝鮮……土地調査事業が始められ」は1910年代の出来事のため、誤りであると判断できた。
問3
マスメディアに関する年代整序問題。Iの「手塚治虫」から戦後の文化、IIの「戦時体制の強化……思想・言論が統制」から昭和戦前、戦中期、IIIの「『朝日新聞』や『毎日新聞』……100万部を超えて発行」から大正・昭和初期、というように、おおよその時期が特定できたはずである。
問4
占領期における出来事に関する誤文選択問題。破壊活動防止法は、占領期に定められた法令が、主権回復にともなって失効することから制定されたものであること(具体的には、団体等規正令などに代わる法)を認識していれば、「占領期」ではないと判断できただろう。
問5
二人の疑問あ・いと、それぞれの調べ方として最も適当なものをW~Zから選択する問題。あは、Xの「直近」の国政選挙における各政党への男女別の投票数を調べても、「資料3の時期に、女性の政治参加はどの程度進んでいたのだろうか」の疑問と合致しないため、Wが適当であると判断できる。いは、資料3の「1971年」と、Yの「規制緩和・構造改革」(2000年代、小泉純一郎内閣期)が時期的に合致しないと判断できれば、消去法によってZが適当であると判断できただろう。