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髙橋 璃帆さん  東京都 私立 広尾学園中学校 中1
東進ハイスクール 横浜校

題名:遠い未来を、自分の未来に

 私の夢は、医師、そして研究者として脳や神経の再生について研究し、今は治すことが難しい病気に、新しい治療法を見つけることだ。前回の志作文では、再生医療などを研究し、新しい治療法を生み出せる医師・研究者になりたいという夢について書いた。あのときはまだ「将来こんなことができたらいいな」という気持ちが大きかった。しかし中学生になり少し経った今、その夢が少しずつ具体的になってきた。

 私が神経の再生に興味を持つ理由の一つは、とても身近なところにある。私の母は緑内障を患っている。緑内障では視神経が傷つき、一度失われた機能を元に戻すことは難しいと知った。「もし、傷ついた神経を再生することができたら?」そう考えたことが、私が神経の再生に興味を持ったきっかけの一つだ。

 そして、私の考え方を大きく変えた経験がある。アイビーリーグ視察団に参加したことだ。参加する前の私にとって、世界の第一線で学んだり研究したりしている人たちは、自分とは違う特別な人たちのように感じていた。しかし実際にいろいろな話を聞いているうちに当たり前のことなのだが、あることに気づいた。今は世界で活躍している先生たちにも、私と同じ子どもだった時代があったということだ。最初から何でも知っていたわけではない。興味を持ったことを学び、挑戦を続けた先に今がある。そう考えると、それまで遠くに見えていた世界が、少しだけ自分の未来とつながったように感じた。「もしかしたら私にもできるかもしれない。」そう思えたことは、私にとって大きな変化だった。

 考えていると、次々に「どうなるんだろう」が出てくる。もちろん、プラナリアの研究がそのまま人間の脳の再生につながるわけではない。それでも、なぜプラナリアは脳まで再生できるのか、再生した脳はどのように働くのかを知ることは、神経の再生を考えるための一歩になると思う。そして将来、脳や神経の再生について研究を続けることができれば、多くの人の役に立てるかもしれない。

 例えば、神経の再生についての研究が進み、いつか視神経を再生させる治療につながれば、母のように緑内障を患っている人を助けられるかもしれない。また、病気や事故などによって脳や神経の働きを失った人が、失った機能を取り戻すための治療にもつながるかもしれない。今まで当たり前にできていたことが、ある日できなくなる。それは本人だけでなく、その人を心配し、生活を支える家族にも大きな影響があると思う。そんなとき、もし失われた機能を少しでも取り戻すことができたら一人の患者だけでなく、その周りにいる人たちの生活も変えられるのではないかと思う。さらに、自分の発見が別の研究者の新しい発見につながることもあるかもしれない。私は、自分一人ですべてを解決する研究者になりたいわけではない。いろいろな人の力が重なって、今は治せない病気を治せるようになったらすごいと思う。

 そのために、まずは今入っている研究チームで、本当に研究をしてみたい。疑問を持つ。どうなるか予想する。実験する。予想と違う結果が出たら、「失敗した」で終わらせず、なぜそうなったのかを考える。そして、また次の方法を考える。そんな経験を中学生の今からたくさん積んでいきたい。

 また、研究には分子生物学だけでなく、化学や物理、数学など、いろいろな知識が必要だ。そして、世界の研究を知り、世界の研究者とつながるためには、英語も当たり前のように必要になる。私は先日、英検準2級に合格することができた。しかしこれはまだ最初の一歩だ。試験のためだけではなく、いつか世界の研究を自分で読み、自分の考えを世界に伝えられる英語を身につけたい。

 そして、私が研究者になる頃には、AIは今よりもっと発達しているはずだ。私はAIを、ただ答えを教えてくれる便利な道具としてではなく、「チームの一員」のように使っていきたい。自分一人で考えていると、自分が知っている範囲の中だけで考えてしまうことが多々ある。そんなとき、AIが自分にはなかった考えを提案してくれたら、「そんな考え方もあるのか」と、そこからさらに考えることができる。知らなかったことを知るきっかけにもなる。英語の表現を教えてもらったり、会話の練習相手になってもらったりすることもできる。さらに、AIに手伝ってもらえば、自分の考えを、より速く、分かりやすく人に伝えることができる。

 ここで私が大切だと思うのが、「速くできるということ」だ。例えば、今まで一時間かかっていたことが十分でできたとしたら、残った五十分を何に使うのか。その時間で新しいことを調べたり、実験について考えたり、研究チームの仲間と話したりすれば、今まで一時間ではたどり着けなかったところまで進めるかもしれない。AIによって生まれた時間をどう使うか。これは、これからの私自身の課題だ。

 一方で、AIが教えてくれることが、すべて正しいとは限らない。間違ったことを本当のように答えることもあるし、何でも任せていたら、自分で考えなくなってしまうかもしれない。だから、AIが提案してくれたことを、そのまま答えにはしたくない。

 「それ面白い、でも本当かな?」そう思って自分で調べ、考え、確かめる。そして、そこからまた新しい疑問を見つける。人間の研究仲間と意見を出し合うのと同じように、AIからも新しい考えをもらいながら、自分の考えを広げていきたい。AIがどんなに発達しても、「私は何を知りたいのか」、「何のために研究したいのか」を決めるのは自分だ。アイビーリーグ視察団に参加する前、世界で活躍する研究者は、自分とは遠い存在だと思っていた。でも今は違う。まずは、目の前の小さなプラナリアから始めてみる。先生や研究チームの仲間、そしてAIからもいろいろな考えをもらいながら、自分で疑問を持ち、考え、確かめていく。英語を学び、今よりもっと広い世界の研究にも触れていく。その一つ一つを積み重ねていけば、今はまだ遠く見える場所にも、いつかたどり着けるかもしれない。そしていつか、今は「治すことが難しい」と言われている病気を「治せる」に変えたい。患者本人だけでなく、その人を大切に思う家族にも、「治るかもしれない」という新しい希望を届けたい。遠い世界だと思っていた未来を、一つずつ自分の未来に変えていく。それが、今の私の志だ。