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巌 千夏さん  東京都 私立 桜蔭中学校(中3)
東進ハイスクール豊洲校

 「世界を変える。」と聞いて何を思うだろうか。そんな夢のような戯言が聞きたかったのではないと怒るだろうか。あまりにもスケールが大きすぎて驚くだろうか。現在、人類は未解決の問題をたくさん抱えている。コロナウイルスがなかった頃が今ではありえない思い出になってはいないだろうか。あまりにも未解決な課題が多いから人々は世界を変えることはできないと思い込むようになったのだと思う。でも周りを見渡せば気づくはずだ。世界は常に誰かによって変えられてきたではないか。私たちが毎日使う携帯電話。今では何時でも何処でも人と話すことができる。20年前の世界では考えられなく未解決として扱われていたことがたった数十年で当たり前になっている。私は起業家になりたい。何十年、何百年に渡って世界を変え続けてきた起業家に。

 なぜ他の職業ではなく起業を選んだのか。起業はあまり有名なことではない。少なくとも私も私の友達も皆一度は医者になりたいと言ったものだ。なぜだろう。それは幼いながらにも病院に行くたびにあっという間に病気を当てられる。まだ子供ながらに病気で暗かった私の“世界”を変えてくれたという認識をしていたのだ。きっと私は、世界を変える力にどうしようもなくひかれたのだろう。私が医者ではなく起業を志したのは小学生の時だった。今でも覚えている。起業家の力に、変わった世界に触れた感動を。何も特別ではなかった日だ。いつも通りに大好きな本を読み、一日が終わるはずだった。ふと思ったのだ。この本というものは誰が最初に作ったのだろうか。目の前にあった、ボタン一つで色んな番組がうつるテレビは誰が作ったのだろう。その日から起業を意識するようになった。

 決定的に決めたのは中学生になってからだ。買ってもらったばかりで喜々として眺めて、疑問を抱いた。これも誰かが作ったものなら、どんな人なのだろうと。その日、「起業家」という単語を知った。40年前には、スマートフォンは無かった事を学んだ。たった40年でどれだけ世界が変えられているのかという事実が心に石のように残り続けるのだ。はたから見れば携帯を手にもち固まる学生だったのかもしれない。この日、私は「起業家」という人々を知り、確かに運命を感じた。

 今から20年、30年前、人々は私達と同様に多くの問題を抱えていた。当時未解決だった課題の多くは、劇的なアイデアと行動力を持ち合わせた何人もの「起業家」に解決され、今日広く普及している。そしてまた新たに問題が表れ、一つ解決される。世界を変えることをもう実現不可能だとは思わなかった。今まで一回も変わってなかったのなら、戯言で終わってしまったのかもしれない。しかし世界は常に変わっているではないか。変えられていくことに気がつかないだけで、今こうしている間にでも、世界のどこかで、未解決の問題に対抗する案が出されているのだ。そして同時に新たな課題を見つけ取り組もうとする人がいるのだ。一秒一秒で世界は起業家達に変えられ続けている。

 私にはハリー・ポッターのように魔法は使えないし、スーパーマンのように空を飛ぶことも出来ない。スポーツも苦手だ。でも私は、考える力がある。アイデアを作ることができる。失敗を恐れず行動することができる。東進の講師である林修先生はこんな言葉を残した。「社会において必要な頭、能力はどういう能力かって言ったら解決と創造。」豊かな「創造力」を使い、社会の問題を「解決」できる、そんな人に私はなりたい。