若杉 怜奈さん 東京都 私立 桜蔭中学校 中3
東進ハイスクール 自由ヶ丘校
題名:医療と社会の架け橋
私の将来の夢・志は、大学で生物工学と国際関係学を学び、医療を「作り」、「届ける」人材になることである。
私はこれまでの学びや体験を通じて、医療技術の可能性と、それを社会に届ける難しさを実感してきた。脳科学オリンピックや再生医療の文献に取り組む中で、パーキンソン病へのiPS細胞の応用や幹細胞作成技術を知り、最先端の研究が病気の根本治療を可能にしつつあることに感銘を受けた。同時に、大学での医術体験プログラムや解剖実習、救命医療の模擬体験を通じて、医療の奥深さと命にかかわる責任の重さを実感した。こうした経験は、医療技術そのものへの興味を深めると同時に、技術をいかに社会に実装するかという視点を持つきっかけとなった。さらに、WSCや模擬国連といった国際的議論の場に参加したことで、どれほど優れた技術であっても倫理観や文化的価値観への配慮が欠かせないと痛感した。特にAIの倫理的使用を扱った模擬国連では、客観的な正しさを押し付けることなく、各国が互いに妥協点を探りながら合意形成を目指す姿勢に学びがあり、医療技術の国際展開にも同じ力が必要だと感じた.
これらの経験から私は、医療技術を「作る力」と「届ける力」の両方を備えた人材になることを志すようになった。大学では、生物工学と国際関係学のダブルメジャーに挑戦したい。生物工学を通じてiPS細胞や遺伝子編集技術など、細胞・分子レベルから臨床応用に至るまで幅広く学び、技術を深く理解し開発できる力を養いたい。一方、国際関係学を通じて、政策立案や国際協力、多国間交渉の枠組み、文化や倫理観の違いへの対応を体系的に学びたい。医療は単に科学の問題ではなく、政治制度や経済状況、社会的価値観と密接に結びついている。だからこそ、両分野の学びを融合し、医療と社会の間を架橋する役割を担いたい。
私が目指すのは、最先端医療を一部の人にとどめず、より多くの人々に届けられる未来である。現状をみれば、途上国では基礎的な医療すら行き届かない。治療可能なはずのマラリアによる死亡者の九割以上が熱帯アフリカに集中している事実は、その象徴である。技術を真に人々の財産とするには、国や地域を越えて公平に普及させる仕組みが必要だ。そのためには、医学的知識と交渉力を兼ね備えた人材が不可欠だと考える。私自身がその役割を果たすことで、医療技術が文化や国境を越えて共有され、多くの命を救うことに貢献したい。また、私の学術的な学びは、研究と社会をつなぐ新しいモデルを提示できると考える。研究者が国際政治や倫理の視点を理解することで、研究の方向性が社会のニーズに寄り添ったものになる。私はその橋渡し役として、研究者や政策立案者、さらには国際機関をつなぎ、持続的な協力関係を築きたい。そうすることで、科学の成果が一部の国や富裕層だけでなく、世界中の人々に行き渡る仕組みを整えることができると信じている。
この志を実現するため、私は既に実践的な学びを積み重ねている。医学や生物工学に関する英語論文を日常的に読み、専門知識と英語力を同時に高めてきた。今年の夏にはダートマス大学のプレカレッジプログラムに参加し、幹細胞を用いた再生医療を英語で専門的に学んだ。組織修復や治療法の可能性だけでなく、倫理的・社会的課題についても大学レベルの教材で議論し、問題発見力や課題解決力を磨いた。今後はUCSD主催プログラムで組織培養の基礎技術を学び、より実践的なスキルを身につけたい。さらに国内外の医療・科学コンテストに挑戦し、考えを発信・検証する力を鍛えたい。医療現場の見学やボランティア活動を通して現場の実態や医療の社会的役割への理解も深める。私はこれからも経験と学びを重ね、医療技術を開発する科学的探究心と、それを世界へ届ける国際的視野の両方を育みたい。大学では生物工学と国際関係学の学びを融合させ、最先端医療の可能性を最大限に引き出し、多くの命を救う人材へ成長したい。