井村 太珂くん 東京都 国立 筑波大学附属駒場中学校 中3
東進ハイスクール 新宿エルタワー校
題名:バイオテクノロジーが歩む未来
僕は、生物学を専攻し、バイオテクノロジーについて研究を進めたいと思っている。そして、その技術を活かして世界中の全ての人を豊かな生活に導けるようになりたい。
はじめてバイオテクノロジーに興味を持ったのは、小学生のころだった。中学受験に向けた勉強のなかで、僕はノーベル賞について学んでいた。そして、数少ない日本人受賞者のなかで、山中伸弥教授がiPS細胞に関する研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しているのを知った。当時は理解できなかったが、今後の医療分野に革命を与えていくものなのだろうと感じた。そして、自分も様々な研究を通して、新たな技術革新の道を切り開きたいと思った。
中学に入ってからは、より多くのことに触れるきっかけが増えたと感じている。その一つが、東進ハイスクールの全国統一中学生テストだった。何度か進出した決勝大会の課題作文の内容を考える際に、自らのバイオテクノロジーに対する興味を実感した。その後、身の回りのニュースやテレビなどから少しでも情報を得るように意識を変えていった。そして、学校の活動でもいくつかのバイオテクノロジーに触れる機会を得ることができた。まず一つが、地域研究だ。これは中学二年生の時に東京地域研究、中学三年生の時に東北地域研究を行ったのだが、班員で相談し行き先を決めて、取材や見学に訪れるというものだった。この活動の中で率先して班長の仕事を行い、さらに東京では、国立科学博物館、東北では鶴岡サイエンスパークを訪れた。実際の展示や、研究員の方々への質問を通して、今後さらに成長していく分野だと確信し、自分の将来のために知識を蓄える場にもすることができた。そして現在は、教科を一つ選んで研究するテーマ学習というものを行っており、そこでも生物を専攻し、学校の教師や同じ分野を選択した仲間たちとともに遺伝子の仕組みなど基礎から学び始めている。
先ほどのように、僕の志は多岐にわたるバイオテクノロジーの研究を通して、世界中の人々の生活を豊かにしていくことだ。ここからは具体的にどのような影響を周囲に与えることができるかを挙げていく。まずは医療方面だ。これはiPS細胞を筆頭に様々な研究が進められている。今後の成果次第で、遺伝病など今の能力では治し難い病気を治療できるようにする遺伝子治療や、昨今の問題にもなっている臓器移植を解決する人工臓器などが開発できる。次に大きく期待されているのが、農業面への貢献だ。賛否はあるものの、品種改良や遺伝子組み換えの技術のもとで、環境にも身体にもやさしい作物や肥料が開発されていくだろう。微生物を利用すれば環境汚染にもアプローチできるし、生産量増加を達成すれば飢餓の防止にもつながる。
少し意外なところでもバイオテクノロジーは活躍する。そのよい例の一つが宇宙開発の分野への貢献だ。危険の多い宇宙空間において細胞の働きを活用した宇宙服を作成することで、仮に損傷してしまったとしても、自動で修復できる機能を作ることができる。さらに、近年出ている火星や月への移住計画に伴い、その先でも安定した食料供給をするために、高い適応力と耐久性を持つ作物の研究にも役に立つ。また、AIのような分野とも結びつくことで、脳のニューロンの働きを模倣してハードウェアを作り、感情や直感などの概念を持つAIが作成できる。他にも、これまで言語を通してのみ伝わってきた人間の記憶をクラウド上に保存し、未来の人とつながるきっかけを作ることもできるかもしれない。
もちろん、これからの技術の発展は不確定なものだし、特に後者二つはまだ想像の域を出ておらず、現実的でないかもしれない。しかし、これまで様々な技術革新が起きてきたこの世の中で、こうした夢物語を現実に変える日は近いと思う。そのチャンスを研究を通してつかみとり、社会全体の幸福に近づくための豊かな生活へと導けるようになりたい。
そのためには、今後の行動をより良く変えていく必要がある。まずは、日頃の身の回りの情報に注意し、興味のあるものがあればすぐに調べて自分の知識にするという意識付けが重要だと思う。そして、バイオテクノロジーに関する講演などがあれば、積極的に参加したいと思う。
僕がもう一つ興味を持っているのが、海外大学への進学だ。先日、実際の留学生と交流する機会があったのだが、そこで僕はアメリカなどの大学で採用されているダブルメジャー制度やマイナー制度に関心を持った。この制度は、生徒が興味を持つ分野を複数専攻できる仕組みであり、説明した通り様々な分野の発展に貢献できるバイオテクノロジーを研究するにあたって、他の分野の知識をある程度得ておくために最適な方法だと感じた。そのために中学に入ってからは英検準一級の取得を目標に英語を勉強している。東進のGlobalイングリッシュキャンプにも参加し、英語力を高めるとともに、世界の実態を知る手掛かりにすることもできたので、今後も継続して知識を深めていきたい。
実際にバイオテクノロジーに関する研究を行うためには、本当に多くの実験知識や考察力が求められるだろう。だからこそ、それまでにできることを少しずつ積み重ねていくことが、僕の目指す目標である皆が豊かに過ごせる世界の実現につながっていくはずだ。