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【2025年度共通テスト実施状況概略】

 2025年1月18日(土)、19日(日)の両日、新学習指導要領(以下、新課程)の出題教科・科目では初となる「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が全国651の会場で実施された。
 2日目午前に京阪本線で発生した人身事故により、大阪府と京都府の8会場で「理科」の試験開始時間が30分~1時間繰り下げられたために受験生849人が影響を受けるなど、一部会場で試験時間の繰り下げがあった。また、試験監督の指示ミス等で山形県、栃木県、埼玉県、東京都、福井県、滋賀県、大阪府の7試験会場で計163人が再試験の対象に。試験終了後のマークシートへの解答記入などの不正行為が計4件判明しており、4人が失格となっている。しかし、2日間を通して大きな事故はなかった。
 なお、追試験および再試験は、本試験から1週間後の1月25日(土)・26日(日)に、東日本は東京農工大学(小金井キャンパス)、東京外国語大学など5試験場で、西日本は大阪教育大学(柏原キャンパス)、大阪大学(吹田キャンパス)で行われる。


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【志願者数・受験者数等】
◆志願者数は495,171人と、前年度の491,914人から3,257人の増加(前年比100.7%)し、7年ぶりに増加したものの、前年度入試に引き続き50万人割れとなった。増加の主な要因としては、現役生は18歳人口が一時的に増加したことが挙げられる。現役志願率(2025年3月に高校を卒業する見込み者のうち、共通テストに出願した者の割合)は45.5%と前年度から0.3ポイント増加し、過去最高となっている。

◆参加大学・短期大学数は、私立大学・短期大学の募集停止などもあり、前年度から26大学減少して838大学となった(内訳:国立大学-1、私立大学-8、公立専門職大学+1、私立短期大学-18 ※国立81大学、公立95大学、私立522大学、公立専門職大学3大学、私立専門職大学8大学、公立短期大学13大学、私立短期大学116大学)。

◆受験者数は462,066人で受験率は93.31%となり、前年度の93.03%から0.28ポイントアップした。しかし、センター試験時代の2020年度の受験率が94.51%、2019年度の受験率が94.69%であったことを鑑みると、総合型選抜や学校推薦型選抜を利用して早期に進学先を決定した者や、私立大学専願者の共通テスト離れを含め、最終的に受験を敬遠した受験生が一定数いると思われる。

【出題内容の変化について】
 新課程での共通テスト実施となるため、「数学」「地理歴史」「公民」で科目構成の見直しが行われた。また、「情報」が加わり6教科30科目から7教科21科目に再編された。
 時間割や試験時間にも変更(「国語」80分→90分、「数学②」60分→70分)があり、今年度に限り旧学習指導要領(以下、旧課程)での経過措置が取られたが、試験時間は新課程科目に準じられた。
 出題内容は教科・科目により差はあるものの、全体的には、2022年11月に大学入試センターから公表された「令和7(2025)年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの問題作成方針に関する検討の方向性について」および「試作問題」に基づいた出題であった。前年度までの共通テストにおける「思考力・判断力・表現力」を問う出題傾向からの大きな変化はなかったが、身についた知識を活用し、提供された多くの「資料・表・グラフ・地図・写真・文章」を読み解き、必要な情報を抽出して最終的に適切な解答を導き出す力が求められるため、全教科ともに限られた時間の中でスピーディーに問題を解く必要がある。

各科目の注目される出題としては、
◆「地理総合、地理探究」は大問が1つ増加して6題となった。第2問で地域調査が出題されている。
◆「歴史総合、日本史探究」の第1問は、歴史総合からの出題(テーマは「歴史上の境界」)。「松本清張の年譜」がテーマの第6問では長谷川町子の漫画『意地悪ばあさん』が引用された。
◆「国語」は、大問が1つ増加して5題となった。新しく出題された第3問の現代文(実用的文章)では「わかりやすい言葉遣い」や「外来語」について出題された。またこれまでは5つあった選択肢の多くが4つになるなど、選択肢が減っている。
◆「英語(リーディング)」は大問数が2題増加して8題に。試作問題と同形式が第4問と第8問で出題された。総語数は前年度の6,352語から5,684語となり、共通テスト実施後、初めて減少した。
◆「英語(リスニング)」は第5問が試作問題第C問と同様の形式(講義を聞いた後に要約、ディスカッション)であった。また、第6問Bでは話者が4人から3人に減っている。
◆「化学」は第5問(新・旧課程受験生が解答可能)と第6問(旧課程受験生のみが解答可能)において選択問題が出題された。第2問問1 化学反応に関する記述の正誤問題の化学発光に関する内容は盲点になっていた受験生も多かったと思われる。
◆「生物基礎」では、これまで「生物」で出題されていた仮説検証のための実験が第1問で出題されたことが新傾向。
◆「生物」は大問数が1つ減少して5題に。
◆「数学Ⅰ、数学A」では、第2問〔2〕「データの分析」において外れ値・仮説検定に関する問題、第4問では場合の数と確率の期待値が出題された。
◆「数学Ⅱ、数学B、数学C」では、第7問「複素数平面(選択問題)」において、試作問題にて出題されていた「平面上の曲線」に関する設問は出題されなかった。
◆「情報Ⅰ」は試作問題と同じ構成で出題されたが、コンピュータとプログラミングや、情報通信ネットワークとデータの活用が出題の大半を占めた。
などが挙げられる。
この他、「公共、倫理」では「推し」、「公共、政治・経済」では「新型コロナウイルス」や「ロシアのウクライナ侵攻」について出題されるなど、時事問題を扱った問題も多く見られた。

各教科の詳細は「東進解答速報の設問別分析」を参照してほしい。

【難易度変化について】

<難化したと予想される教科>※2024年度共通テスト本試験(旧課程)との比較 「地理総合、地理探究」「英語(リスニング)」「物理基礎」「物理」「化学」「地学」「数学Ⅱ、数学B、数学C」 <易化したと予想される教科> 「歴史総合、世界史探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「国語」「英語(リーディング)」 ※その他の科目は前年度並み(「情報Ⅰ」は試作問題と同程度) 新課程初年度は旧課程最終年度と比較して平均点が上がる傾向があるが、今回も全体的にはアップした。 <総合型6教科8科目(1000点満点)予想> 理系636点(得点率63.6%) ※前年度理系(5-7)得点率62.7% 文系621点(得点率62.1%) ※前年度文系(5-7)得点率59.9% 理系・文系ともにアップしたがが、文系科目で平均点がアップする科目が多い一方で、理系科目は理科を中心に平均点が下がった科目が多いことから、アップ率は文系に比べて低めになった。 なお、同一教科の特定科目間で平均点の差が20点以上または、15点以上の平均点の差が生じ、かつ、段階表示の区分点差*が20点以上生じた場合となった場合に実施される「得点調整」は、今年度は実施されなかった。 *区分点差:各科目の成績の段階表示(スタナイン)の各段階の境目となる、上から4%、11%、23%、40%、60%、77%、89%、96%の分位点(得点)の差

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