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【2023年度共通テスト実施状況概略】

 1月14日(土)、15日(日)の両日、感染対策や不正対策、警備が強化され、3年目となる「大学入学共通テスト」が全国679の会場で実施された。
 2日間のトラブルとして、JR中央線の異音の確認を行ったことにより一橋大学など沿線7会場、インターチェンジの工事により県立広島大学、踏切確認により交通機関の遅延が生じた福岡工業大学、実験による発火で火災報知機が作動した山口大学工学部を含む、全国10会場・計635人に対して1日目の国語の試験時間が最大100分繰り下げて実施された。
 また、1日目には名古屋大学の県立明和高等学校試験場と大阪教育大学柏原キャンパス試験場での「地理歴史・公民」、広島国際大学呉キャンパス試験場での「国語」、2日目には東京大学教養学部試験場の「数学①」で試験が正規の時間より早く終了したこと、「数学②」では山形大学小白川地区試験場で、試験開始前に済ませるべき受験番号と名前などの記入が試験開始後に行われたことにより、再試験の対象となった。
 さらに1月17日(火)、大学入試センターより「生物」の第5問問2について、問題中に誤字があったため解答に影響する可能性があるとの理由により、正解の追加が発表された。
 なお、追試験および再試験は、2週間後の1月28日(土)・29日(日)に岐阜県を除く道府県各1会場、岐阜県2会場、東京都3会場の計50会場で実施される。追試験の受験許可者は3,893人、再試験の対象者数は1日目が228人、2日目が165人の計393人である。


【志願者数・受験者数等】
◆志願者数は512,581人と、前年の530,367人から17,786人の減少(前年比96.6%)となった。減少の主な要因としては、現役生は18歳人口の大幅な減少と、早期に合格を勝ち取ろうと学校推薦型選抜や総合型選抜を受験する生徒が増えたこと、さらには既卒生の減少(5,143人減の71,642人、前年比93.3%)が挙げられる。現役志願率は45.1%と2022年度と同様で、過去最高となっている。参加大学・短大数は過去最多となった前年度より7大学増加し、870大学であった(内訳:公立大学+1、私立大+2、私立専門職大学+1、私立短期大学+3 ※国立82大学、公立94大学、私立535大学、公立専門職大学2大学、私立専門職大学6大学、公立短期大学12大学、私立短期大学139大学)。

◆受験者数は「外国語(リーディング・筆記)」ベースで465,043人と、前年から16,530人(前年比96.6%)と減少し、受験率(受験者数/志願者数)も前年度の90.8%から90.7%と微減した。しかし、2020年度と2019年度のセンター試験の「外国語(筆記)」の受験率が93.4%であったことを鑑みると、私立大学志望者の共通テスト離れや、総合型選抜や学校推薦型選抜を利用して早期に進学先を決定した者の増加もあり、最終的に受験を敬遠した受験生が一定数いると思われる。


【出題内容の変化について】
 教科・科目により差はあるが、全体的には、大学入試センターから公表された「問題作成方針」中の「問題作成の基本的な考え方」に基づいた、「思考力・判断力・表現力」を問う出題が定着してきたといえる。また、時事問題が取り上げられていたり、高校生による「探究」を想定した設定も出題の中に見られた。
 出題傾向については大きな変化はなかったが、共通テストでは、身についた知識を活用し、提供された多くの「資料・表・グラフ・地図・写真・文章」を読み解き、必要な情報を抽出して最終的に適切な解答を導き出す力が求められるため、全教科ともに限られた時間の中でスピーディーに問題を解く必要がある。そのためには読解力も問われることになる。

各科目の注目される出題としては、
◆「英語(リスニング)」では、アメリカ人話者だけでなくイギリス人話者や、日本人と思われる非ネイティブ話者が含まれていた。
◆「数学Ⅰ・A」第2問[2]の「2次関数」は、バスケットボールのシュートの軌道を考察するという日常の事象から出題。問題文や「仮定」の文章が非常に長く、数式がやや複雑であるため、問題の読み取りや設定の理解に苦労した受験生は多かったと思われる。
◆「世界史B」第2問で家系図を用いて考察させる問題が新たに出題された。
◆「化学」第5問では「無機物質」と「物質の変化と平衡」から硫黄を含む物質を題材にした実験考察問題が出題され、方眼紙を用いて解答を導く問題が復活。思考力や読解力が求められたため、解答に時間を要したと思われる。
などが挙げられる。
ちなみに国語(現代文)では、今年度も「実用的な文章」を読み解いて答える問題は出題されなかった。

各教科の詳細は「東進解答速報の設問別分析」を参照してほしい。

【難易度変化について】

1月20日、大学入試センターから平均点等の中間集計その2が発表された。
最終発表は2月6日(月)の予定である。

<難化したと予想される教科> ※得点調整前の得点による
「英語(リーディング)」「世界史B」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」「物理基礎」「生物」

<易化したと予想される教科> ※得点調整前の得点による
「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ・数学B」「日本史B」「化学基礎」

その他の科目は前年度並みと予想される。

 実施2年目の前年度で平均点が大きくダウンした数学は予想通り平均点がアップした。一方で前年度大きく平均点がダウンした「生物」は今年度も大きく平均点を下げている。
 実際の受験生の受験科目の選択率を勘案した加重平均(5教科7科目900点)予想としては、理科系549点(前年比+35.0点)、文科系533点(前年比+25.0点)と予想される。
 「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B」の平均点がともに大きくアップしたことが、理文ともに総合成績のアップにつながっている。

【得点調整について】

 中間集計その2の段階で、理科②の「物理」と「生物」との間で得点差が23.65点あったことから、平均点に20点の開きがあり、同一教科の科目間で平均点の差が20点以上となった場合の対応として規定されている「得点調整」が実施された。

 得点調整は、最高平均点と最低平均点の差が15点となるよう、最高平均点の科目以外の対象科目に素点に応じて調整に必要な加点を行う(換算表を確認のこと)。
 したがって、今回の調整では「物理」の得点は調整後も変わらず、「化学」で最大7点、「生物」で最大12点の加点が行われた。
 その結果、調整後の平均点は「化学」では54.01点で5.45点のアップ、「生物」では48.46点で8.72点のアップとなっている。
 なお、「地学」は受験者数が1万人未満のため、得点調整の対象とはならない。

共通テストの最新ニュース

令和6年度大学入学共通テスト 出願受付開始

大学入試センター

 令和6年度大学入学共通テストの出願受付が9月25日(月)から始まりました。出願受付は10月5日(木)まで(消印有効)の11日間です。高等学校等卒業見込者は在学している学校を経由して、高等学校卒業者等は受験案内に添付されている封筒を使用して直接、大学入試センターに郵送します。  令和6年度大学入学共通テストの実施期日は、令和6年1月13日(土)・14日(日)の2日間で全国一斉に行われます。

2023-09-25

【大学入学共通テスト2024】受験上の配慮、変更点を公表

リセマム

大学入試センターは2023年4月18日、2024年度大学入学共通テストにおける受験上の配慮について公表した。拡大文字問題冊子(22ポイント)は、文字の標準書体をUDフォントのゴシック体に変更。リスニングの音声聴取方法には「補聴援助システムの持参使用」を追加する。

2023-04-26

共通テスト 4科目で最低…平均点最終集計 数学は簿記・会計除き上がる

読売新聞

大学入試センターは6日、3年目となる大学入学共通テスト(1月14、15日実施)の平均点の最終集計を発表した。生物など4科目が前身の大学入試センター試験を含めて過去最低点となった。昨年は大幅な難化が指摘された数学の平均点は、簿記・会計を除いて軒並み上がった。

2023-02-07

「共通テスト利用入試志願者数」 ランク 2位は法政大、1位は?

ITmedia

大学入学共通テスト受験前に出願する「事前出願」を対象として、1月14日までに出願を締め切った大学を集計(1月24日現在)。共通テスト利用入試のみの志願者数なので、一般選抜全体のランキングとは異なる。ランキング1位は東洋大。一般選抜全体のランキングでは、2位の法政大や3位の明治大などに及ばないが、共通テスト入試に限るとこれらの大学を抑えてトップだ。

2023-02-06

【大学入学共通テスト2023】個別試験前にチェック…受験票再発行は早めの手続きを

Resemom

大学入試センターは2023年2月1日、紛失等のため受験票・成績請求票の再発行が必要な場合は、共通テスト受験案内を確認のうえ手続きを取るようWebサイトに掲示した。受験票は各大学の個別試験や入学手続きの際にも必要となるため、紛失等の場合は早めの対応が必要だ。

2023-02-02

共通テストの追試験終了 受験許可3893人

共同通信

大学入学共通テストの追試験は29日、理科と数学を実施して2日間の日程を終えた。各地の会場では感染対策を徹底した。昨年の本試験で世界史Bの問題が流出した事件を受け、試験監督の巡回頻度を増やすなどの不正防止策も強化された。

2023-01-30