土岐田 健太先生
学生時代より黙々と日々研鑽してきた努力人。「実用英語」と英語文化の「教養」の橋渡しに取り組む。英語圏の文化背景から英語を捉え直す講義スタイルは、これまでの英語観を大きく変え、将来まで通用する英語力習得を支えている。高校生だけでなく、社会人対象の資格講座や教養講座も担当。「知的な面白さ」を追求し続ける講義で受講者の知的好奇心を満たし、合格のその先の将来と向き合う自信をも与えてくれる。
高3生に伝えたいのは、「ゴールと今の立ち位置」の把握です。一番重要で、かつ時間がかかるのは「基礎固め」なので、ゴールから逆算して今何をすべきかを正確に見極める力が重要になります。大学受験におけるゴールは、「過去問が合格ラインを超えて解ける」ことが合格の目安です。
そのために必要なステップは単語・文法・解釈の三つです。英語は基本が一番大切なので、焦ってすぐに長文やリスニングの問題を大量にこなすのはおススメしません。具体的には、文型や句と節(カタマリ)をしっかり取る練習をしたり、音声を使ってリピーティングをする音読を継続したりなどです。そのようにして基礎を積み上げてから、長文読解やリスニングに取り組みま しょう。
入試の変化があってもブレない本質的な英語力を磨いていきましょう。そのために、英語の技能はそれぞれつながりがあるということを覚えておきましょう。例えば、リーディングとリスニングはどちらも相手の言っていることを理解するという技能です。
ライティングとスピーキングは、相手に何かを論理的に伝えるという技能です。リーディングの復習でその英文の音声を使ったり、ライティングで書いた原稿を何度も音読したりといった技能を横断する学習をすることによって、どんな入試になっても対応できる確固たる実力がついていきます。
高2・1生は、どのくらい戦略的に勉強ができるかが合格の鍵です。英単語の場合、「画像検索」や単語の「成り立ち&語源」からアプローチするとグッと記憶への定着度が上がります。さらに、文法については「幹」となる知識をつけることを主眼にしてください。たくさん4択問題をこなす&暗記する勉強からは早々に脱却しましょう。
模試は、結果に一喜一憂せず、「自己分析」の絶好の機会と捉えることが重要です。受けた後も、「時間配分のチェック」と「自分の分野別の得点率」をしっかり見てください。さらに、不正解の問題だけではなく、「悩んだ問題」も解説を熟読します。
「未習分野がある」「一文一文の把握力が弱い」「選択肢の吟味が不足している」「時間配分が甘い」など、分析すべきことはたくさんあります。人は不安があると、スタートを切るのが遅くなりがちです。しかし、そんな時こそ「行動する人」に勝利の女神は「ほほえむ」ものなのです。(TOSHIN TIMES 2024年3月1日号・2023年2月1日号より)
高2・高1保護者のチェックポイント👇
□ 好きな科目や得意科目は、勉強の質にこだわりすぎず、可能性との出会いや探究・トレーニングの量を優先して、どんどん先取り学習できる環境・雰囲気づくりを
□ 英文法などボリュームの多い基礎事項は、できるだけ早期の完成を目指す
□ 部活、ボランティア、コンテスト、短期留学、模擬試験など、将来の進路につながる行動は、無理なく計画的に取り入れて
共通テストのリーディングは「情報のピックアップ力」が求められている試験で、「情報処理」を中心とした問題が全体の7割くらいを占めています。一方で、全体像、共通点や違い、意見や事実を見つける問題など、差のつく問題は全体の2割ほどです。これは頭の使い方を問う問題なので、普段から複数の事柄の共通項を見つけたり、意見と事実の区別をしたりする練習をしている人にとっては有利になる問題です。簡単な例を挙げると、バスケ、サッカー、テニスを「スポーツ」とまとめることができますよね。共通テストでは、こういったグルーピングによる言い換え力で差がつきます。
大切な力は、残り1割の難問に時間を取られないようにする「判断力」です。類推や情報の複数検索が必要な問題も含まれるので、いかに自分にとって点が取れる問題で勝負できるかという判断力も求められます。