大学受験|英語


改訂版 英熟語センター750



覚える工夫をしよう

●熟語集の2つの欠点を克服
 英語力の大きな柱の一つは、語彙力である。したがって、英語の習得には単語と熟語の暗記は必須要件である。ところが、これがたいていの人にとっては大変な作業なのだ。
 そこで、今日までに実に数多くの熟語集が出版されてきたが、残念ながらそれらの多くは学習者の立場に立って作られているとは言い難い。問題点は大きく二つある。
 
●どれを先に覚えるか
 従来の熟語集の問題点の1つは、たくさんある英語の熟語の中から、何を先に覚えるかについて、合理的な根拠がないか、あっても段階をふまえたものになっていなかったことである。
 本書は、大学受験をする諸君のために作られている。だから、共通1次・センター試験の本・追試験はもちろん、高等学校の検定教科書英語I・II98種類や国公立大学の2次試験・私立大学の入学試験に出た熟語を頻度分析し、その客観的分析のもとに選ばれた熟語が頻度順に掲載されている。したがって、本書の第1部に収載されている750の熟語は大学入試の核になるものであるばかりでなく、大学入学後必要とされる様々な分野の英語力もその土台の上で十分に養われるはずである。

●覚えやすくする工夫
 従来の熟語集の問題点の2つ目は、覚えるための工夫がなされていなかったことである。これまでにも、語呂合わせを利用するとか、例文で覚えるなど一部にその試みはあった。しかし、そのいずれもが一つの方法論の押しつけであった。
 そこで、本書の第2部では、前置詞ごとに覚える、基本動詞ごとに覚える、意味ごとに覚えるなど、覚えやすくすることに実に様々な工夫を凝らした。しかも、CDが付属しており、リズムにのって耳からも楽しく覚えられるようになっている。
 近年の学習心理学の成果によれば、1つの覚え方よりも複合的な覚え方の方がはるかに効果的で、いろいろな感覚に訴えることにより記憶は強化されるのである。また、人はいろいろな性格や好みを持っているので、片っ端から丸暗記したい人もいれば、理屈を理解した上でないと覚えられないという人もいるだろう。したがって、学習者の方で、覚える方法を取捨選択できることが望ましいのである。

●暗記に理屈は必要か
 現在、ほとんどの日本人がおかれている英語の学習環境を考えると、理想といわれる「一日中シャワーのように英語を浴びられる」状況下にはない。しかも、日本語で脳の配線ができあがってしまった後に他の言語を入れても、先のものが邪魔をして、幼児のようにスムーズに言語を習得できないという事情もある。とすれば、日本人がある年齢を超えてから英語をものにするためには、ある程度の「理屈」を理解することも有効な手段といえる。
 このような考えに基づいて、第2部では、熟語をいわば「解剖」してある。たとえば、onは「接触」を意味し、そこから「依存」「支持」「作用」「同時進行」などの意味が出てくるのである。また、take は「自分のものにする」という基本的な意味を理解することで、take を含んだ熟語の意味が見えてくる。英語の熟語は、基本動詞と前置詞の組み合わせによるものが多いので、それぞれをいったんいわば因数分解してバラバラにし、改めていろいろな組み合わせで成り立っている熟語の意味を同類項ごとに覚えてしまおうという仕掛けである。

●イメージによる記憶
 熟語を構成する個々の単語の本質的意味を組み合わせることによって、熟語のイメージを作り上げてみてほしい。意味づけされずにいわば暗号のように入力された記憶は、簡単に消え去るか、引き出すことがきわめて困難なのである。
 本書に収載された熟語の中には、すでに知っているものもかなりあるはずである。それらを各グループの核にして、グループ全体のイメージを把握し、そのイメージを未知の熟語に拡張していくことが有効である。
 また、本書にはCDが付属している。このCDでは、単に熟語がネイティブ・スピーカーに読み上げられているだけでなく、アップテンポなリズムにのって熟語とその日本語訳が読み上げられているのである。これも、「残音効果」や「速聴」といわれている、集中力や記憶効率を高めるための工夫である。

●自分独自の覚える工夫を
 本書では、熟語を覚えるためのいろいろな工夫を凝らしてみたが、実際に覚えるのは諸君自身であり、自分なりの覚える工夫もしてみてほしい。私が受験生の頃、心理学の「忘却曲線」という話を聞いて、英語の単語を記憶するときに参考にしたことがある。忘却曲線によると、人は8時間たつとせっかく覚えたことも大半は忘れてしまうということであった。そこで、1日をおよそ8時間ずつ、朝の登校時、午後の下校時、就寝前という具合に区切ったのである。はじめて覚えるものは、記憶後に邪魔の入らない就寝前とし、残りの2回をチェックに当てた。このおかげで、さしたる記憶力もない私がずいぶんと効率よく覚えられたのである。
 本書にはさらに細かな工夫も凝らされている。第1部には25語ごとの CHECK NOTE が設けられていたり、第4章にはイメージ化を助けるためのイラストがつけられている。これらをうまく利用して、反復練習することで、記憶は定着するはずである。
 記憶において意外と忘れられているのが、覚えようとする気持ちの重要さである。どのような工夫が凝らされているものでも、覚えようとする気にならなければ、頭には入ってこないのである。諸君の目標達成のために是非本書を十分に活用していただければ幸いである。

根岸雅史

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