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涙の体験記


未来の扉を開けよう!逆転合格を支えた見えない絆


運命を感じた志望校


 野田瞳が早稲田大学国際教養学部のことを知ったのは高2の夏だった。
 「母が新聞記事の切り抜きを見せてくれたんです。今度、面白い学部ができるみたいよって」
 留学生の多い環境や英語で進められる授業など、「英語を極めてみたい!」と思っていた野田にとってそれは理想的な学部だった。なかでも約10カ月間の海外留学制度が必修カリキュラムになっていることに、野田は強く惹かれた。
 「これは運命の出会いだって思いました。高校に入学してから部活に熱中してほとんど勉強してなかったけど、なぜか“自分は受かる”って思えたんです」
 ちょうど同じ頃、東進衛星予備校から夏期特別招待講習の案内が届いた。自分にあったスケジュールで受講できる東進なら、バドミントン部の練習と両立できる。だが、初めは映像授業に対して多少の不安があった。
 「実際に受けてみると全く違和感がなくて驚きました。『難度別システム英語文法編IV』を受講したのですが、習ったはずの知識でも、“そういうことだったのか”って改めて思うことがたくさんあった。それで、2学期から正式に通うことに決めました」
 野田は東進の担任と相談しながら、志望校合格に向けて綿密な戦略を立てた。早大・国際教養では高度な英語力が必要とされる。まずは高2の2学期いっぱいかけて『難度別システム英語文法編V』など、比較的レベルの高い講座で基礎力養成に専念することにした。
 「最初は部活のない週2日だけ通っていました。精神的に余裕のある時期にじっくりと学べたのがよかったですね」年が明けると、英語の他にも『荻野文子の基礎強化古文ゼミ』や『ハイレベル世界史B』などを受講。東進で勉強する日も週4日と倍になった。





日本語に訳さない読み方


 野田は英語の永田達三先生に最も強い影響を受けた。2歳から5歳までイギリスに住んでいたことがある野田。そのせいか、「日本語に訳して考える」という英語の学習法にずっと違和感があった。
 「永田先生のやり方は、英語を英語のまま読むネイティブの読み方でした。“これは文法上は名詞節だけど、意味をとるときは副詞節として読んだ方がしっくりくる”というような説明にも納得できた。“こういう授業を受けたかったんだ”って思いました」
 永田先生の言語や文化への深い見識にも感銘を受けた。
 「長文読解はテーマや中身にまで踏み込んで解説してくれました。特に日本語と英語の違いを自然との関係性から説明してくれた講義は圧巻でしたね」

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 6月には“県オープン”と呼ばれるバドミントンの引退試合があった。ダブルス2試合とシングル3試合で争われる団体戦。チームは2回戦で敗退したが、野田はダブルスで勝ち星をあげた。
 「寂しさよりも好きなことを思いっきりやれたことへの満足感の方が大きかった。部活引退後も割とスムーズに気持ちを切り換えることができました」
 夏休みは毎日東進に通った。ホームクラスで勉強していると自然と顔なじみもできた。昼食を食べながら彼女達とおしゃべりするのも楽しかった。
 「模試の結果は“E判定”だったけど、目標に向かって努力していることが楽しかった」
 志望校のオープンキャンパスに参加したことも励みになった。情緒あふれる早稲田の地に立つ重厚感のある建物。歴史の重みに野田は圧倒された。そこで学ぶ自分を想像し、胸が高鳴った。  





直前期に襲った孤独


 高3の秋からは苦手な世界史と現代文の学習時間を意識的に増やした。この時期になると徐々に気持ちに焦りが出てきた。一番の悩みの種は世界史。「細かいことを覚えるのが苦手で大苦戦。唯一救いだったのは斎藤整先生のテキストで、あらゆる知識が網羅されていて“これさえやっていれば大丈夫”という信頼感があった。だから、もうひたすら繰り返し復習しました」
 しかし、野田の苦しみはこれだけでは終わらなかった。志望校の過去問を解いた野田は、予想をはるかに下回る結果にパニックになる。しかも新設2年目の学部のため、演習用に使用できる過去問は1年分しかなかった。
 「特に心配だったのが英語の時間切れ。英文量が多く、独特の形式なのに過去問演習の問題がないのはきつかった。オープンキャンパスの際に配布されたサンプル問題1回分と、出題形式が比較的似ている法学部の問題で練習しました」
 ところで、実は野田には双子の妹がいる。幼稚園から高校までずっと同じ学校に通い、何かあれば互いに相談し、励まし合ってきた二人。だが、大学受験は違った。
 「大学で勉強したいことも志望校も別。妹は部活の引退が私より早く、その分受験勉強も進んでいました」
 分身のようだった妹と苦しみを分かち合うことができないはじめての体験。だが、孤独によって野田は新しい世界に気づかされる。
 「東進に行くと、必ず彼女達の姿があった」と彼女が言ったように、東進で勉強する受験生の間にはいつしか目に見えない絆が築かれていた。それぞれの目標に向かって努力している彼女達のなかに入ると、野田もやるべきことに集中できた。高3の冬休みは冬期講習で『難関大への世界史』や英語の講座などを受講。朝から閉館時間まで勉強漬けの日々を送った。





自己採点結果に動揺


 入試本番では普段の8割の力しか出せないとよく言われる。緊張して思うようにならない分を差し引いて準備しなくてはならないという意味だ。だが、
 「火事場のばか力」という言葉もある。
 「本番入試での集中力はそれまでで最高でした。少し表現が変かもしれないけれど、永田先生や荻野先生がのりうつったような感じ(笑)。自分の内側からパワーが溢れて、やる気満々で入試問題に向かっていけたんです」
 すべての予定を終えた瞬間、勉強してきたことを出し切ったという満足感があった。「これで落ちたらしょうがない」。すがすがしい心境にさえなった。
 合格発表日。
 その日は発表時間の少し前から母と双子の妹と一緒に居間の電話を囲んだ。数日前、妹は第一志望の上智大に合格。一緒に受験した野田は不合格だった。落ちたことへのショックより、将来に向けて自分の道を確実に歩んでいく妹がうらやましかった。
 「待っている時間があまりにつらくて、前日にやるつもりのなかった自己採点をやってしまいました。そしたら“ギリギリ受かるかも”というまさにその点数で、余計ドキドキする羽目になった(笑)」
 発表時間が迫ってくると、野田は一刻も早く結果を知りたいような、永遠に知りたくないような自分でも訳のわからない気持ちに襲われた。それをふりきるかのように、受話器をとり、スピーカーホンに設定。受験番号の一つ一つを確かめるようにゆっくりと数字盤を押した。
 「合格・・・」
 という声を確かに聞いたような気がした。
 「人間ってあんまりうれしいと、逆に何もできなくなっちゃうんですね」
野田は、母や妹が泣きながら歓声をあげるのを、ただただ呆然と見ていたという。

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その日の夜、野田は未来に待っているであろう様々な出来事を思い、なかなか寝つけなかった。喜びは静かにゆっくりと、野田の心に広がっていった。





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    国際教養学部
    野田 瞳 さん