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兵庫県 私立 甲陽学院高等学校 卒
東京大学 理科一類

小林 然さん

■センター試験得点 845点/900点

■センター試験得点選択科目

前期試験得点
(自己採点)
  英語   数学   国語   物理   化学  
開示得点 79 78 44 32 37 =270/440点
自己採点 75 40 35 30 30 =210/440点

■受験した感触・・・ 数学でまともに解き切れた大問が一つもなく本当にピンチ。部分点で何とかなっててくれー。

  第1回(6月) 第2回(8月) 第3回(10月) 最終(1月)
東進ハイスクール
東大本番レベル模試
志望学類 判定 志望学類 判定 志望学類 判定 志望学類 判定
理科一類 A 理科一類 A 理科一類 A 理科一類 A

得意科目より苦手科目を

■受験全般でうまくいったことや思うようにいかなかったこと、勉強法について教えてください。

はじめに

 私はタイトルにある通り、得意科目を伸ばすことばかりに気を取られず苦手科目にも目を向けようということをこの体験記でお伝えしたいです。得意な科目ほど良い点数が出るので嬉しくなってやりこんでしまいますがそれでは合格を確実なものにできません。このタイトルを読んで心当たりがある人はぜひ一度読んでみてほしいです。

各時期の勉強

  • 高2の10月頃~高3の7月(夏休み開始)

まず、東大を志望校に定めた高2の10月時点での各科目の完成度は、

英語:中高6年間の英語の先生に大いに大いに恵まれ、既に東大英語で70~80点とれるレベルに到達していました。唯一の得意科目です。

国語:現代文はその時の運やろ、という認識で当然得点は極めて不安定。古漢は単語や句形を覚えればできるようになると頭でわかっていながら避け続けていました。

数学:中高一貫に通っていたこともあり数Ⅲまで一通り終わっていました。とはいえ得意なわけではなく試しに過去問を解いてみても40点くらいでした。

物理:基礎からボロボロで苦手科目でした。学校の進度は共通テストまでに全範囲終わるかどうかくらいでした。過去問を解いてみても未修範囲はもちろん、既習範囲でも全く歯が立ちません。

化学:物理同様、基礎の理解がおぼつかなく、わからないことがわからないことを生む負の連鎖でした。学校の進度は化学平衡と有機と高分子が残っている程度でした。過去問も解けません。

このようにまとめると古漢の暗記、理科の基礎からの復習が急務だと一目瞭然ですが、当時の私は得意な英語にばかり固執していました。高3になるとプレ講座から各科目東大特進に通い始めますが、それでもこれらの勉強は後回しで気づけば夏休み前でした。

  • 高3の7月~8月末(夏休み終了)

この時期になって漸く理科がまずいことに気づきました。物理はトップレベル物理の2学期と波動徹底講座、物理攻略の原子・原子核をとり、死ぬ気で夏休みで終わらせました。そのお陰で物理は苦手科目ではなくなりました。その代わり他の教科での学力向上はほとんどなく、過去問演習も1年分しかできませんでした。

  • 8月末~1月半ば(共通テスト)

化学はこの時期に東大特進化学をプレ講座から焦らずきちんと復習をしていくことで人並にできるようになりました。物理は通学中の電車で授業を見返したり東大物理の復習をしたりして固めていきました。また、共通テスト演習であまりに国語が安定しないことに不安を覚え12月に入ってから東大特進の古漢のテキストを使って古漢の知識を詰め込みました。

  • 1月半ば~2月末(2次試験)

東大特進の物理・化学の復習をそれぞれ一周ずつ回してあとはひたすら過去問演習を重ねました。

うまくいかなかったこと

 上を見ればわかる通り、勉強計画です。苦手に向き合う時期がもっと早ければ点数がより高く安定したはずです。夏休み開始までの期間を得意な英語ばかりではなく苦手な理科の復習や古漢の暗記に使っていれば夏休み中に過去問演習がもっとできたはずですし、数学の演習に時間をあてて数学を安定した得点源にできたかもしれません。皆さんがどの時期にこの体験記を読んでいるかはわかりませんが、今している勉強が自分がただやりたいだけの勉強になっていないかを考えてみてほしいです。勉強したくないからといって苦手科目・分野を放置すれば放置するほど、後で「なんでもっと早くやっておかなかったのだろう」と後悔します。どれだけ苦手な科目・分野でも落ち着いて勉強すれば何とかなります。だからこそ時間があるうちに余裕をもって取り組むべきです。

■東進東大特進コースについて

東進の授業

 東大特進は英語以外の授業はほとんど受講していました。それに追加でトップレベル物理と波動徹底講座、物理攻略の原子・原子核を受講しました。特におすすめの講座は以下の3つです。
  • 数学の真髄:全体を通してどのようにしてその発想が出てくるのか、どうして思いついた複数の発想の中からその発想を選ぶのかに焦点が当てられていて非常にためになる授業です。特に、第Ⅰ期の論理・写像の授業は何となくで軌跡の問題を解いていた私にとって目から鱗でした。私は授業後、青木純二先生自身がお書きになった『数学の真髄 ―論理・写像―』も買って合わせて勉強しました。授業内容の確認、授業では触れられていない+αの基本事項(ここで学んだ√絡みの同値変形が入試本番で役立ち試験会場で感謝しました)、追加の確認演習として非常に役立ちました。講座と本、合わせておすすめです。
  • トップレベル物理:追加で受講した3つの講座をまとめて指しています。東大物理の授業で力学以外の範囲も一応全て触れはするのですがやはり力学が中心で他分野は夏休みが終わってからになるので、物理に苦手意識がある人は夏休み終了までに時間がかかってもやる価値がある講座だと思います。原子・原子核に関しては学校で終わるか不安な人は先取り学習として余裕があるうちにやっておくと安心です。
  • 東大現代文:現代文はその時の運やろという私の考えが完全な間違いだったことを教えてくれた講座です。はじめはあの林修先生の授業を受けてみたいという思いから受講しましたが、林先生が首尾一貫した解法で問題を解いていくのを一度見て感銘を受け、次回以降は自分がきちんとそれを運用できているかをチェックし修正を重ねていくために通うようになりました。かつての私と同じように現代文は運任せだと考えている人は一度受けるだけでその誤りにすぐに気づくはずです。

過去問演習講座

 単なる添削にとどまらず丁寧な解説授業や各小問ごとの平均点、優良答案の紹介などまで含まれており、この講座のあるとなしでは同じ過去問から得られる学びは全く違うと思います。また、個人的にはむやみやたらに昔の過去問まで解きあさるよりは直近の過去問を繰り返し演習する方が効果があるように思いました。

■後輩への一言アドバイス、入試を終えて思うこと。

 繰り返しになりますが、得意科目に固執せず苦手科目に向き合いましょう。もう一つアドバイス、直前期に不安で寝れない時の対処。私は直前期毎晩、本番失敗しないか不安で寝付けませんでした。しかし考えてみてください。本当に追い詰められている人はそんな起こるかもわからないことを心配する暇などなく当日1点でも多くとる方法を必死で考えているはずです。真に追い詰められていないから無駄に心配する心の余裕があるのです。心の隙間にとりとめのない不安が入り込まないように他のことで頭を一杯にしましょう。そこで私のおすすめは過度なほどの本番のシミュレーションです。行きの新幹線で何を勉強しよう?試験の休み時間はどう過ごそう?問題用紙配布から試験開始まで何を考えていよう?……考えることは尽きません。気づいたら考え疲れて寝ているはずです。それではどうかこの体験記が皆さんの合格に少しでも役立ちますように。