初めに
東京大学を意識し始めたのはかなり幼い頃で、家庭環境も相まって高校生になる頃には絶対に東大に行こうと決意していました。文学、言語学、政治学、美術史など様々な分野に興味のあった私にとって、入学してから専攻を選択できる東大はうってつけだと思ったのが最大の理由です。過去問を解いていて一番楽しかった大学も東大でした。
今自分の受験生活を振り返ってみると、受験勉強で最も大切なことは、「正しい努力」をすることだったのではないかと思います。すなわち、東大の問題をよく読んで、東大が求めている知識や能力が何なのかを見極め、それらを身につけるために必要なことを逆算で考えるということです。そこで、以下では私が考える各教科についての「正しい努力」をお伝えします。
英語について
東大を受験する上で最も重要といっても過言ではない教科だと思います。
ひたすら文法・語法を固めると良いのではないかと思います。
リスニングは、東進リスニングアプリやTOEFLの過去問を使い、一日目は問題を解くことを重点に、二日目は一文一文正確に聞くこと(シャドーウィングや書き出すのも効果的)を目指すと良いと思います。私はこれを長期間継続してやっていなかったことを直前になって猛省しました。リスニングは差がつきやすいです。
単語・熟語も疎かにせず、夏までに8割ほど、秋までにさらに何周かできると理想的です。
国語について
現代文は得意だったので過去問を解く以外はほとんど何もしませんでした。現代文の解答は東進の林修先生がとても良いです。それを見た上で他の解答を検討し、添削するのは良い練習になります。
古文・漢文で重要なのは単語と文法です。特に古文の助動詞や漢文の句形は早いうちに暗記し、問題演習に取り掛かれると良いと思います。この二つが安定すると国語で大失敗しなくなり、精神的に楽になると思います。
数学について
私は極度の数弱で、本番でも30点取れれば御の字くらいに思っていたので、ここでは数学が苦手な方に向けて書きます。東進では志田晶先生の東大対策文系数学と受験数学Ⅰ・A/Ⅱ・Bを取っていました。前者は私にはやや難しかったのですが、後者はおすすめです。
最も効果があったのは高校の教科書の問題を1月ほどかけて全てやりなおしたことでした。私も含め数学が苦手な人は、自分が何を苦手としているのか、またどんなところでミスをしやすいのかが分かっていないことが特徴としてあると思います。それを自覚し、また全分野を楽に復習できるという点でおすすめです。数学の成績が下の方で伸び悩んでいる人は一度やってみてもいいかもしれません。
社会(日本史・世界史)について
- 日本史……東大日本史は問われるテーマがかなり限られているので、いかに早い段階でそのテーマを知り、その対策を意識的に行えるかということにかかっていると思います。山中裕典先生の東大日本史を受講するのが最も確実な近道でした。時代ごとの本質的な理解が得られるとともに、問題との向き合い方が身に付きます。ここでもやはり「問われていることに答えているか」という視点が大切です。東大が問うテーマとはすなわちその時代を読み解く鍵となるものですから、山中先生の授業は非常に有用です。
また、それと並行して教科書を熟読したりすることも必要です。過去問を解いていると教科書の記述にその答えがほとんど載っていることがわかります。教科書は偉大ですね。
- 世界史……世界史は教科書と問題集を使用しました。また、東欧、東南アジア、中南米、ノルマン人、ゲルマン人、マジャール人その他の苦手な地域・民族の歴史についてノートにまとめるなどして暗記するのも良いと思います。私は直前まで数冊のまとめノートを繰り返し赤シートで見直していました。夏までは、問題集でやった範囲を教科書で読む作業を繰り返し、秋からはもう一冊問題集を追加して勉強しました。
過去問は第一問については、自分の力だけで対策するのは無理があるので、学校の先生の添削等を活用すると良いです。第二問、第三問でしっかり得点することを目指すべきです。
ここまで長々と読んでくださりありがとうございました。色々と書いてはいますが、私も受験生活全てがうまくいったわけではありません。夏休みに計画を立てずに突っ込んだせいで結局大した勉強量を確保できず、秋に猛省したような苦い経験もあります。私の場合は東大生の兄と定期的に勉強のやり方を一緒に見直し、軌道修正できたことが大きかったです。軌道修正に必要なのは、「自分の現状把握」と「合格までの点数を得点するのに必要な能力の把握」、そして「その能力を得る方法を考えること」の三つです。
受験者の皆さんは勉強の進捗に焦りを感じることも多いかと思います。惑わされず、焦らず着実にがんばりましょう。