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東京都 私立 開成高等学校 卒
東京大学 理科一類

片山 雄翔さん

■センター試験得点 824点/900点

■センター試験得点選択科目

前期試験得点
(自己採点)
  英語   数学   国語   物理   化学  
開示得点 79 61 43 45 20 =248/440点
自己採点 90 60 40 40 15 =245/440点

■受験した感触・・・ (グラフを)丁寧 丁寧 丁寧に描くと♪

  第1回(6月) 第2回(8月) 第3回(10月) 最終(1月)
東進ハイスクール
東大本番レベル模試
志望学類 判定 志望学類 判定 志望学類 判定 志望学類 判定
理科一類 A 理科一類 B 理科一類 C

善く学ぶ

■受験全般でうまくいったことや思うようにいかなかったこと、勉強法について教えてください。

 試験対策には、その試験を運営する側が求めている能力を正しく把握することが必要不可欠です。そして幸運なことに東大はその詳細を「アドミッションポリシー」や「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」という形で全世界に公開しています。ならばそれを参考にして学習を進めるのが、一番効果的な試験対策であることは自明です。にもかかわらず、それを利用せずに入学試験を受けるのは、ある意味では大学側に失礼とも言えるでしょう。

 ここではとりわけ、「高等学校段階までの学習で身つけてほしいこと」の数学の項目についての私なりの解釈を述べ、東大受験に役立つ(かもしれない)アドバイスを挙げたいと思います。

 数学の項目で挙げられているのは以下の三つです。

 ①数学的に思考する力

 ②数学的に表現する力

 ③総合的な数学力

 順に追っていきましょう。まず「数学的に思考する力」と言われて、皆さんはどういった能力を想像するでしょうか。残念ながら、「覚えた公式や解法にあてはめて処理する能力」なんていう狭量な答えは東大から真っ向から否定されるでしょう。むしろ問われていることを抽象化し、いかに本質が捉えられているかが重視されるようです。
 初見の問題の本質が掴めるようになるために私が心がけたのが、一つの問題にとにかく時間をかけることです。当然入試を受ける際のタイムマネジメントは重要なファクターです。ただ、普段の学習でも制限時間ばかり気にしていては、東大が強調する問題の数学的な背景やそれに付随する多様なアプローチに気づくことは到底できないでしょう。例えば東大の過去問であれば、一問に一時間以上かけてじっくり解法を考えたり問題の条件を変えたりして回り道をすることをおすすめします。特に東大や京大などのいわゆる一流大学は深堀りする価値のある良問を多く揃えていますから、過去問集を買い、ただ解くだけでなく「研究」といえる域まで考え抜いてください。きっとその積み重ねが本番の限られた時間で発揮されるはずです。
 続いて「数学的に表現する力」ですが、これはどの塾の指導内容にも含まれているファクターだと思います。にもかかわらず、出回っている参考書や問題集の多くにはとても明快とは言えないような解答がいまだに散見されるようです。そう言われるといったいどの参考書に頼っていいのか不安になるかもしれませんので、まずは記述式答案の書き方の参考書で基礎を学ぶことをお勧めします。その後、論理学を少しだけかじればもう向かうところ敵なしです。日ごろから(字がきれいとかではなく数学的に)丁寧な答案を作ることを心がけて学習を進めてください。
 ①と②が礎となってはじめて出来上がるのが③「総合的な数学力」です。加えて私見を述べれば、東大数学では重たい計算を厭わない胆力も求められていると思います。これらを総合した真の「数学力」が測れるような試験を、東京大学は綿密な計画のもと作成するのです。
 いわゆる「暗記」を重視した勉強は、入試ではまだ通用するかもしれませんが、皆さんが目指すような大学での学習では全く歯が立たないと言っても過言ではありません。実際、アドミッションポリシーにはそういった旨が述べられています。ただ受かれば良いというつまらない勉強はやめて、広大な学問の領域を探索する向上心を持ち、朗らかな心構えで批判的思考に基づいて楽しく受験勉強を乗り越えていただきたいと願っています。

■東進東大特進コースについて

 東進の授業では苑田尚之先生にお世話になりました。高2ではハイレベル物理の力学と電磁気を東大特進渋谷校で受けていました。苑田先生がしきりに強調されていた「正しく物理を勉強する」ことの、東大入試、そしてそれ以降の大学での学習における重要性を痛感させられました。
 特に、マクスウェル方程式からはじまる電磁気の世界がいかに整っていて、その美しい物語を一般的な高校物理は無視してしまっていることが無念だとおっしゃっていたのが記憶に残っています。理解するまでには時間と労力が必要だが、それを乗り越えてしまえば難解に思えた事象も手に取るように理解できてしまうことは、勉強においては往々にしてあることです。仰々しい数式や入り組んだ理論にも圧倒されることなく、とことん理解するまで何度も復習することで、本番でも動揺せず問題を解き切る力がついたように思います。
 また苑田先生からは、理論だけでなく賢い計算方法というのも学びました。「数式は言葉です。計算じゃない。」という名言の通り、目的を常に意識したうえで効率の良い式変形をすることが入試においては大切です。板書の随所からもその意図が汲み取ることができ、実際自分が問題を解くときに大いに役立ちました。
 高3に入ってからは東大特進での授業やテストゼミでお世話になりました。一つの単元に絞ってかなり踏み込んだことも説明されており、大学でも物理を勉強したいという気持ちがより一層高まりました。

■後輩への一言アドバイス、入試を終えて思うこと。

 正しく、焦らず勉強してください。何のための入学試験なのか、その問題はどういう意図をもって教授たちによって作成されたのか、きちんと考えてください。そしてどうか、入試だけで勉強を終わりにしないでください。