私は学校推薦型選抜で東京大学工学部を受験し合格をいただきました。一般入試も東京大学に出願していたのですが、一般入試の勉強に関してはたくさん有益な情報が他のページなどに載っていると思うので、ここでは、学校推薦型選抜の話をメインに書いてみようと思います。

　私は、推薦入試の情報自体は高校1年生の頃から集めていました。一方で特別意識せずに自分の興味関心に従って高校生活を送り、高校3年生になって、自分の将来やりたいことや、なりたい人物像を東京大学のアドミッションポリシーの内容などと照らし合わせ、これまでの活動の延長線上に、最高学府での研究活動、刺激的な大学生活があるのだという確信を持ちました。東京大学で受けられる教育や種々のプログラム、築けるコミュニティのレベルなどは、ここで今更述べるまでもなく日本最高峰でしょう。客観的な事実に加え、実際に自分が興味のある学科の研究室を訪問し教授とお話しする中で、直感的にも東京大学という学び舎に惹かれました。

　私は小学校6年生の時から、「モノの構造を変えると、そのものの性質がどう変わるのか」ということに興味を持って理科系の研究活動を行ってきました。この継続研究で、高校3年間の研究活動をまとめた論文が私のメインの提出資料でした。
　私の生涯をかけて取り組んでいくミッションは「科学技術の力を社会に還元し豊かさをもたらす」ということです。その他の活動もこのことをハイライトする意識を持ってまとめていきました。統一感が出て、資料から慮られる私の人物像がクリアになったのではないかと思います。

　冒頭でも書きましたが、私は高校1年生の時から東京大学が公式に開催している学校推薦型選抜に関する説明会に参加していて、勉強のモチベを高める上でもとても良かったと思います。その後については、募集要項が出る前の3年次の7月後半から、志望理由と大学で学びたいことの2つを文章化するという作業を始めました。募集要項が発表されたら提出する書類の内容を確認し、また改めて出願する意思を固めて、あらかじめ作って置いた2つの文章をベースに資料を作成していきました。この作戦は良かったと思います。自分の中では余裕を持ってスタートできたという感覚でいたのですが、結局ギリギリまで資料は完成しなかったです。ストーリーが固まっているのなら、「文章にする」という作業をできるだけ早くやりましょう。
　一般入試との両立については、面接事と共テ後の切り替えが肝心です。面接から共通テストまでの時期は短いようで結構時間があります。面接の結果に一喜一憂したい気持ちは一旦押さえて、二次試験・共通テスト対策に切り替えましょう。私は面接の手応えが微妙だったこともあり、ここは結構切り替えが上手くいきました。しかし、共通テストが終わってから推薦入試の合格発表が出るまでの間は身が入らない時が結構ありました。二次試験を受ける場合と推薦で受かった場合の2パターンの予定を立てるようになり、いやでも2つの未来を並べられることでソワソワしてしまいました。とっても反省しています。

　私は静岡県から主にオンラインで東大特進コースの講義を受けていました。高2から東大本番レベル模試を受けて、そこで主に時間配分等の試験で得点を最大化する訓練をして、それ以外では高3の冬までは本番形式の演習は意識的には行っていませんでした。定期的にある東大本番レベル模試をよいきっかけとして学習の振り返りを、結果に一喜一憂せずにやることが重要だったと振り返ります。各模試ごとに目標や狙いをしっかりと持って、それを着実に達成することを目指しましょう！受験勉強は長いのでこまめな目標設定はとても大事だと思います。（私はそれが得意なタイプではなかったので、漫然と勉強してしまうことが多かったです。）東大本番レベル模試はそのきっかけになるはずです。
　私は、高校3年時はほぼほぼ東大特進コースの授業で日々の学習を行っていました。数が多すぎず、一コマ一コマ丁寧に受けられたのはよかったと思います。ですが、どうしても東大特進の授業だけだと（教科にもよりますが）インプットメインで演習量が確保できないことが多いです。当たり前かもしれませんが、しっかりアウトプットする時間を作ってから次に進んでいくことがやはり大切だと思いました。また、ある程度知識はある状態で東大特進の授業を取っている方が多いと思います。そのため、授業を受ける前の自分の状況を把握して、授業を受けてどこまで出来るようになったのか、自分が成長したポイントを言語化することが大切だと思います。案外授業を受けていると、「知ってる知ってる」と聞き流してしまう時もあると思います。その時間がとてももったいなかったなと思い、言語化する作業を始めました。獲得した学びの定着にも、勉強のモチベーション向上にも良い影響を与えてくれました。
　また、私はトップリーダーと学ぶワークショップに参加したことがあります。自分の興味のなかった分野についての知識も獲得できて、これをきっかけに視野が広がり、将来の選択肢の質を高めることが出来たよい経験であったと振り返ります。

　自身の思い描く将来に向かって行く道のりの中で「東京大学を経由するのが最も優れているルートである」とアピールするのが学校推薦型選抜入試だと思います。わかりきったことかも知れませんが、現時点でルートが見えていない人には推薦入試をお勧めしません。逆にそれが見えているあなたはこの入試を受けることに前向きになることをお勧めします。なぜなら、この入試に挑戦すると一回りも二回りも成長できるはずだからです。自分自身が目指す場所はどこなのか常に問いかけ、これまでの経験とそれらが持つあなたの人生における意味を振り返る、そんな経験は中々できません。きっとその経験は合否に関わらず成長のモチベーションとなるはずです。