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京都府 市立 堀川高等学校 卒
東京大学 文科三類

井上 和哉さん

■センター試験得点 818点/900点

■センター試験得点選択科目

前期試験得点
(自己採点)
  英語   数学   国語   世界史   日本史  
開示得点 86 30 60 45 41 =262/440点
自己採点 70 20 60 40 40 =230/440点

■受験した感触・・・ #春から予備校

  第1回(6月) 第2回(8月) 第3回(10月) 最終(1月)
東進ハイスクール
東大本番レベル模試
志望学類 判定 志望学類 判定 志望学類 判定 志望学類 判定
文科三類 B 文科三類 A 文科三類 B 文科三類 A

風立ちぬ

■受験全般でうまくいったことや思うようにいかなかったこと、勉強法について教えてください。

 高2の3月に志望校を東京大学に決定しました。高校では土地柄か京都大学志望が圧倒的に多く、私もそれまでは京都大学を志望していましたが、この時期にNHKで放送されていた「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」という番組を観てから東京に強く魅かれるようになりました。自分の知性をより豊かにするためには、東京を知らなければならないと思ったのです。もちろん学習環境の良さや周囲のレベルの高い学生から受ける刺激など、東京大学を志望する主要な動機はありましたが、上京して学問をするという、リスクも伴う決断を最終的に踏み切れた要因には、このような直観的な好奇心があったと思います。

科目別

  • 英語

リスニングが大の苦手でした。巷では得点源と言われているので、なんとか平均以上を取ることを目標に、毎日最低10分は英語を聴きました。YouTubeには語彙レベルは高いですが面白いチャンネルや動画がたくさんあるので、耳慣らし程度に聴くこともしていました。東大の模試や過去問ではやり直しに時間をかけ、ディクテーションやシャドーイングを丁寧にやりました。すぐに効果は出ませんでしたが、共テ直前期に急激に実力向上が数値に現れ始めました。

  • 数学

理解が浅いのに「解けてしまう」状態が危険だと思います。私が実際にそういうタイプで、夏の冠模試でなまじ好成績を取ってしまったがために夏以降は演習をメインにし、完璧に頭に入っていない確認事項も後回しにしており、秋の冠模試で案の定成績が低落しました。それ以降、社会に時間をかけて伸ばしたい時期でもあるのに数学が不安要素になるという苦い思いを入試本番まで持つことになりました。基礎固めを夏までに盤石にした上で、演習を通して弱点を炙り出して潰していき、標準的な難度であれば確実に2完できるくらいの自信をもって本番に臨むのが望ましいと思います。

  • 現代文

平均点を下回ることはなかったので、これでいいのかと思いながらも東進衛星予備校の講座や東大特進の東大現代文の授業を受け、林修先生の思考法を少しでも吸収することに努めました。本番はできる限り要素を答案に詰め込もうとし、かなり小さな字で解答しました。上限は80字くらいだと林先生は仰っていました。

  • 古典

苦手意識が古文・漢文ともにありましたが、いざ本格的に勉強を始めると一番楽しかった科目です。古文単語はハイペースで繰り返し確認しました。文法は不得意でしたが、学校や東進の授業で逐語訳を何度も繰り返すうちに慣れてスムーズに読めるようになりました。漢文は句形を固めつつ、連想ゲームだと思って楽しみながら学習しました。

  • 日本史

教科書の読み込みに努め、共テ後から二次直前までにも教科書を二周しました。世界史にも言えることですが、個人的にスッと飲み込みやすい歴史事項は定着しますし、そうでないものは何度読んでも定着しにくいので、自分の苦手な範囲を分析し、おさえておきたい文章に下線を引くなどして全ての時代にわたる均質な歴史理解を試みました。東大日本史は、完全な解答を追求するときりがないように感じます。自分は12月ごろから時代のテーマを大雑把ですがつかめるようになってきて、問題に対する態度も良い意味で軽くなり、止まっていた手も活発に動き出しました。歴史を大局的に捉え、条件文の論点をおさえたうえで個性も出した答案を書きあげれば、自ずと結果はついてくると思います。

  • 世界史

教科書の読み込みに加えて、一問一答も回しました。第一問、第二問の対策として、過去問の解説を参照に世界史の年数的かつ地理的に大きな範囲をまとめるノートと、条約や制度の内容などを簡潔にまとめるノートをつくり、模試や過去問演習で間違えた内容を書き足していき、知識を補強しました。大論述は構成に10~15分かけ、30分ほどで書き上げていました。広域にわたる歴史事項を扱う際には、簡易な地図を書いて思考を整理していました。2022年のような系統の問題への対策として、資料集の最初の方のページにある、世紀ごとの各地域における支配勢力の変遷が示された箇所を頭に入れました。

■東進東大特進コースについて

受講講座

  • スタンダード世界史 荒巻豊志先生

詳細な歴史事項よりも、大局的な歴史観を中心に授業が展開されます。全60コマある講座を受講し終えた後にも、教科書を熟読していて事象同士のつながりが不明確な時などに、該当する範囲の授業を再び受講することは効果的でした。二次試験の直前期にもいくつかの授業を受けて知識の再確認に利用していました。

東大特進コース

  • 東大現代文 林修先生

夏休み前半に、3日連続で予習の解説・テスト・テストの解説が行われました。相当ハードな3日間でしたが、難解な問題が林先生の教授法により解かれていく体感を短期間で連続して味わえた経験は、その後の東大現代文に取り組む姿勢の核になりました。実際に林先生と同様の論理性をもって解答をつくり上げるのは困難な所業であるので、少しでも解法を吸収することに努めていました。

  • 東大日本史 山中裕典先生

授業中に何度か先生からの質問に答える機会があるので、より高い緊張感をもって授業に取り組むことができました。わかりやすい図説後に配布プリントで解法を見直すことで日本史理解が深まりました。

東大本番レベル模試

 成績返却のスピードが早いため、自分の立ち位置をほとんどリアルタイムで把握することができ、模試以後の学習計画が立てやすかったです。試験の難易度や採点基準など、きわめて本番に近い模試だと思っています。年に4回開催されるという点も、試験慣れの上で有効でした。

■後輩への一言アドバイス、入試を終えて思うこと。

 現役生の場合、当たり前ですが大学受験は誰でも人生初めてなわけです。1年前、2年前、ひいては100年前の現役東大合格者の合格体験記を読んでいても、明確で整然とした学習計画、将来設計を持ったうえで着実に合格を手にしたような内容が多く書かれており、自分にも同様のことができるのかと打ちのめされることもありますが、彼らの輝かしい事績の裏には、挫折や現状への不安が少なからずあったと思います。私自身もそうでした。想定外のことは付き物でした。だからこそ、先例に囚われすぎず、自分だけの受験生生活をつくり上げて欲しいです。一歩一歩に不安がつきまとっても、楽しむ心を忘れずに前進していくと、振り返れば充実した道ができていて、最後に自分を支えてくれるはずです。自身の情熱で吹かせた春風を、来年、存分に感じてください。