「2020年度からの大学入試英語成績提供システム」は
導入見送り決定
大学の入試方針の確認を

11月1日、文部科学省は2020年度大学入試より実施予定だった大学入試英語成績提供システムの導入延期を発表しました。新学習指導要領が適用される2024年度からの導入を前提に、仕組みが見直されるという事態です。これを受け、受験生や大学に波紋が広がっています。こんな時こそ、不安を抱えるお子様と心を一つに、落ち着いて正確な最新情報を集め、共有しましょう。文部科学省、大学入試センター、英語成績提供システム参加予定であった団体、各大学の公式HP等はもちろん、東進ドットコムでは常に最新の重要情報を発信しています。

入試改革の柱となるはずだった英語成績提供システム

英語成績提供システムは、大学入試センターが、大学入学共通テストにおいて条件を満たした英語民間資格・検定試験を活用すること。大学入試改革の柱の一つとして、2020年度大学入学共通テストから全国で活用される予定でした。受験生となる年度の4月から12月までの間に6団体によって実施される英語民間資格・検定試験を2回まで受けることができ、その

成績を活用する大学が、受験生の英語4技能「話す・書く・聞く・読む」を測るというものでした。

なぜ導入は見送られたのか

「自信をもって受験生にお薦めできるシステムになっていない。これ以上決断の時期を遅らせることは混乱を一層大きくしかねない」――。記者会見での萩生田文部科学相の言葉です。「高大接続改革」のもと、英語4技能評価を推進するためのシステムでしたが、当初から「試験会場が都市部に集中→地方在住の受験生に負担」「受験料が高額→経済的に苦しい受験生に負担」といった条件の不均衡、各試験の難易度や採点基準の違い、機器トラブルや不正対策に関する運営の課題等が懸念されたままで、試験の公平な実施環境が整いませんでした。本来なら受験のための共通ID申し込み開始予定だった11月1日、ついに土壇場の方針転換となったのです。

結局どうなる?2020年度大学入学共通テストの英語

英語4技能「話す・書く・読む・聞く」を測る民間試験の活用延期決定後、大学入試センターから発表された内容は次の通りです(11月15日現在)。

・2020年度(21年1月実施)大学入学共通テストでは、英語4技能のうち「読む・聞く」の2技能を測る英語テストを実施

・読む(リーディング)100点、聞く(リスニング)100点配点となり、センター試験よりもリスニングの配点が増える

・「書く・話す」の2技能は大学ごとの2次試験などで測られる(※各大学の対応について、公式HP等で必ず確認を)

・センター試験で出題された、語句の並び替えや、発音アクセントの正解を選択するような問題は廃止

文部科学省は各大学に対し、英語成績提供システム導入延期を受け、システムを介さずに2020年度入試に独自で民間試験を使うかどうか、12月13日をめどに方針を決定して公表することを各大学に求めています。当初全受験生に英語民間試験を課すとしていた国立大学協会はすでに運用を延期することを決定しています。また、私立大学では具体的な活用法が決定していないところも多く、最新情報の確認が必須です。

英語で発信できる人を目指して英語4技能でその扉を開く

英語成績提供システム導入が見送られた一方で、英語4技能が評価され活用される時代は加速しています。仕事や研究の舞台がグローバルになるなか、TOEFL iBTⓇにおけるSpeakingスコア世界最下位(2017年)に置かれた日本人にとって、英語教育の見直しが喫緊の課題であることに変わりはありません。相手の考えや気持ちを読んだり聞いたりして理解

し、自分の意見を話したり書いたりして伝えることのできる英語4技能は、試験対策にとどまらず、磨くべきスキルといえます。大切なのは、進化する社会に対応できる技能です。大学受験のためという認識にとらわれず、お子様の将来に役立つコミュニケーション能力として、スキルアップを応援しましょう。

伝わる喜びを体験する機会を増やし英語を楽しむ側へ

「英語ができる」とは、文法を知っていることや学習時間の長さのことではなく、英語を操り楽しめること。英語が苦手というお子様は、英語を使ったコミュニケーションの楽しみ方をつかめていないだけなのかもしれません。 これまでの学校教育では、英語を読むことに重点がおかれていたわけですから無理もありません。文部科学省の調査によると、現在、話す(speaking)を授業に取り入れている学校では、読む(reading)聞く(listening)の点数が高いということがわかっています。話せた、伝わった、という成功体験を味わうことで、また話したくなり、使いたくなるもの。将来活躍するためにも、早くから英語を楽しむサイクルを回せるようになっておくといいでしょう。学校の授業や講座はもちろん、スマホなども活用して、そのような環境を持ちたいものです。

日常に英語4技能を取り入れるなら

  •   Speaking 話す

    授業や講座を使って臆さず英語で話す機会をたくさん作ること。ボキャブラリーを増やすこと。

  •   Writing 書く

    AI添削などを用いてどんどん書く。SNSを使って英語で情報発信するのも力がつきます。

  •   Listening 聞く

    とにかくたくさんの英語に触れる。ウェブ等を活用しましょう。リスニング問題の演習も良いです。

  •   Reading 読む

    英文を理解したら、ネイティブスピーカーの音声を真似て音読する。簡単な英語を多読することも有効です。

  • お子様が英語を読んだり聞いたりしたら、それについて自分はどう思うか、英語で話す機会を。黙読のみで頭で記憶したり理解するだけではなく、音読や会話によって体を通して表現することは英語を楽しむ近道です。世界に目を向けると、ノンネイティブが話す英語は広く通用しています。友達や家族で音読し合うことで、その感覚に親しむと良いでしょう。成功体験の積み重ねは自信を引き出し、技術を高めます。音読の繰り返しに慣れることは単語の暗記効率を高めることにもつながります。

    今どき英語学習の3大ポイント

    本物の基礎力と応用力を

    思考の前提となる基礎や基本をおろそかにしないこと。受験勉強には応用問題をたくさん解かなければならないのではと考えられがちですが、基礎=簡単、応用=難解とは限りません。応用問題は複雑に絡み合った基礎知識を統合して解答するもの。難題を解きほぐすには基本の理解が不可欠です。それには模擬試験等も受けっ放しにせず、しっかりアドバイスを受けて基本の完全理解に役立て、復習効果を高めましょう。解けた解けないに一喜一憂しないこと。

    アウトプットを意識する

    試験のために単語を暗記するのではなく、実際に英語を使うためのパーツを備える意識を持ってボキャブラリーを増やす。自らがこうなりたいと思う意識次第でお子様の英語学習は変わります。センター試験が、単語→文法→読解のステップアップ式で各段階の能力を試したとすると、共通テストはそのすべてが前提。インプットしていることをどのようにアウトプットするか、個々の思考力、判断力、表現力が試されます。インプットのためのインプットから脱却して、英語を使って何をしたいか、アウトプットを意識した学習を。

    繰り返し学習を活かす

    スピーキングやリスニングの学習を増やすことで「形」に慣れることはとても大切。例文の暗記や暗唱ができるくらいのレベルになると、言葉の反射神経が向上します。さらに、大局を掴むことで詳細に理解し、対応力を高めることもできます。これらはすべてコミュニケーションのベースとなる力。あらゆるスキルの上級者がそうであるように、形の応用で上達すると考えて、同じパターンを繰り返すよりも、飽きのこないパターンを使い分けて手数を増やす工夫を。繰り返し学習の習慣をつけましょう。