実力講師陣による父母のための難関大合格講座レポート

今井 宏 先生

予備校界の大物講師。ズバリ的を射たフシギなほどわかる授業、心地よいスピード感と豊富な話題、あふれる知識で、受講生を魅了する。
「何でこんなによく理解できるの?」という驚きでいっぱい。生徒の充実感は200%。専攻は国際関係論。
成績アップはもちろん、英語にとどまらない話題豊富な授業内容に、君の見識が広がること間違いナシ。著書多数。

「日本人は英語を読めるけど、話せない」は本当?

英語について、「日本人は読めるけど話せない」とよく言われます。

でも「英語が読める」って、本当なんでしょうか。今ここに現代英米小説を持ってきたとして、1時間で何ページ読めますか?日本語と同じように、4〜5時間で1冊読み通せる人が、日本人の何%ぐらい存在するでしょうか。むしろ「英語

は読めません」というのが正直なところなんじゃないか。「読める」というのは実は間違いで、「やっとのことで訳せる」とか、もっと正確に言えば「辞書と首っ引きで、1時間に3〜4ページがやっと」というのが現実なんじゃないか。厳しい言い方をすれば「英語は読めないし、話せない」が実情だと思います。

中高生のお子さんのほとんどが、「一番苦手なのは長文読解だ」と答えます。つまり中高生の場合、「読むことが最も苦手」「読めないし話せないが、時間をかけて少量の英文を和訳することができる」が現状です。「読む」とは、「英語を英語のまま理解する」ということなのに、「日本語訳を通じてやっとのことで分かった気になっている」に過ぎません。実は「読めるんじゃなくて、訳せるだけ」。そろそろ我々は、古い認識から卒業する必要があります。

「国公立大の入試は記述問題中心、私立大は選択式問題ばかりで、重箱の隅をつつくような難問だらけ」。これもまた大昔の話。今から30年前、1980年代の入試問題にはそういう傾向が残っていましたが、少なくとも2016年の入試問題を見るかぎり、国公立も私立も出題傾向にそんな大きな違いはなくなっています。

それなのに、こういう古い認識の結果、大学入試の英語ばかりが悪者にされてしまう。「どんなに受験勉強を必死になってやっても、実際に使える英語は身につかないぞ」と言うんですが、それってホントでしょうか。

知らないのは大人だけ。
大学入試の英語はこんなに進化した。

2020年の大学入試改革に向け、各大学は入試問題をますます実用英語化する努力を重ねています。実はもう20年も前から、そういう努力がなされています。例えば、30年前の早稲田大の読解問題では、20分でせいぜい30〜40行読む力があれば何とか間に合いました。

しかし最近の入試を見ると、20分で100行超を読むぐらいの力がないと対応できません。英文の難易度も高まって、英エコノミスト誌に掲載された論文の引用や、キング牧師による超長文の手紙など、ホンモノの読解力が必要。訳すんじゃなくて、英語を英語のまま理解する、いわゆる「速読力」が必要です。英作文も進化しています。昔は例文をたくさん暗記していれば何とかなる「和文英訳」でしたが、今の主流は「自由英作文」。例えば「喫煙を非合法とするべきか否かについて100語程度で自由に書きなさい」「小学校から英語を公教育に取り入れることに賛成か反対か、100語程度の英語で書きなさい」など、昔とは丸っきり出題の仕方が違います。今や英作文で求められているのは、昔のような「ゆっくり通訳する能力」ではなくて、「スピーチ能力」。素早く英語でスピーチを組み立てる能力がないと、対処できません。

リスニングも、30年前と比較して圧倒的に高度になりました。優秀なお子さんが第一志望と考えるような難関大のリスニング問題を聞いてみると、「これはもうハッキリ実用英語」と、自信をもって言える内容です。「講義形式」と「インタビュー形式」に二分できますが、前者も後者も英文は約7〜8分、遠慮なしのナチュラルスピードで、しかも1回しか聞かせてもらえないことも多い。中身もきわめてハードで、環境問題に関する討論だったり、異文化コミュニケーションに関する独白だったり、それに対する設問が10問も15問もついて、英語資格試験と大差ない難易度です。

ハイレベルな問題だからこそひたすら基礎!

今の段階で、大学入試の英語はここまで進化を遂げています。それなのに、世間の認識はいまだに「受験勉強なんかやったって、実際に使える英語は身につかないぞ」のまま。早く認識を変えないと、受験生たちが困ってしまいます。

今や大学入試で必要とされる英語力は

「速読力」「スピーチ能力」「リスニング力」。これだけ揃ったら、これはもう十分に世界で通用する実用英語と呼んでいいんじゃないでしょうか。受験勉強をやればやるほど、実用英語能力が身につく。お子さんたちには自信を持って、受験勉強に夢中になってほしいと思います。しかし、入試問題がこんなに難しくなった今だからこそ、基礎の徹底が一番大切です。東進では、受験勉強の入口でまず単語・文法の修得を徹底します。基礎を身につけた後で、じっくり長文読解や自由作文に取り組むわけです。基礎ができていればマラソンで30分先にスタートしたようなもの。10㎞も先んじていたら、簡単に負けることはないでしょう。

100行超の長文でも、慌てることはありません。1分で6行読めれば余裕です。1分で6行なら、120行あっても20分で読み終える。基礎基本を徹底していれば十分なスピードで、慌てふためいて特殊な速読法に走る必要は皆無です。今は落ち着いて基礎基本の徹底を心がけるのがベスト。スタートラインでは、まず英単語と英文法の徹底、そして毎日30分の音読の励行、この2点に集中していただきたいと思います。