実力講師陣による父母のための難関大合格講座レポート

河合 正人 先生

延べ20万人以上の生徒を指導し、数多くの締切講座を記録する予備校界を代表する講師。
本物のプロ意識で指導し、第一志望校に合格した受験生は多数。作問者の考えにまで及ぶ「流れを大切にする」授業では、心底から数学の面白さを体感することだろう。
『センター数学分野別問題集』(東進ブックス)では、研究し尽くされたデータ分析が絶大な人気を獲得し、高校教材としても採用される。

大学入学共通テストは、センター試験とここが違う

2021年の1月から大学入学共通テスト(共通テスト)に切り替わります。センター試験と共通テストの数学の出題形式は大きく違うのです。例えば、2人の生徒が宿題の数学の問題について解き方を話しているという設定です。試行錯誤をしながら、問われている題材を掘り下げて考える様子が何パターンも描かれています。単に答えの値を求めるだけでなく、さまざまな考え方を俯瞰し、課題解決の過程に着目する。これが共通テストなのです。

2017年11月の試行調査では正答率は軒並み低くなっていました。2018年11月の二回目の試行調査の結果を基に分量や難易度の最終調整がされる予定です。今までは試験の制度が大幅に変わる際、前の制度で学習していた浪人生向けに別の問題を作成するなどの移行措置がとられてきましたが、大学入試センターはこうした移行措置を今回はとらないと発表しました。浪人生も現役生も同じ問題が出題されるのです。高2生は現役で合格できなければ対策時間が不足し圧倒的に不利だ、ということを今のうちに認識してください。

センター試験は約55万人が受験する試験です。私立大学を受験する生徒でもほぼセンター試験を受けますが、それは「センター試験利用入試」を採用する私大が多数あるためです。受験生にとっては、このシステムを活用することで私大がセンター試験の得点で合否判断されるため、国公立の前期日程の直前対策にしっかり集中できる利点があります。後期日程もありますが、定員のほぼ9割は前期で決まるのです。

日本には800近い大学があり、うち8割は私立大。収容率は92〜93%といわれています。人数だけで見れば入学しやすくなったように思えますが、難関大の倍率は第2次ベビーブーム時代だったころとほぼ変わっておらず、むしろ人気が上がっています。一方、私立下位の45%は定員割れしていて、二極化が進んでいます。また最近は推薦入試・AO入試で大学に入学する割合が増えています。多くが高校の成績や面接・小論文などで選抜を行いますが、この推薦入試やAO入試で国公私立大入学者全体の約44%も占めているのです。さらに、浪人生は約10万人もいて、少子化でも浪人生は増えています。

「大学全入時代」などとは、生徒数と募集人数を単にグロスで考えたまったく誤った判断だとおわかりでしょう。

何のために大学に行くのか、まず親子で話し合いを

環境が厳しくなる中で、「何のために大学に行くのか」を今から親子できちんと話し合っておかれるべきだと思います。

ここで、私の息子の大学受験の話をしましょう。私はそのころ朝6時に出勤して夜11時過ぎに帰宅、家で長男の勉強を見てやることはおろか、進路について話す時間も気力もありませんでした。息子は現役生のとき、十分な力量もないのにセ

ンター試験より二次試験の配点比率が高い難関大の理学部物理学科を受け不合格。そこで初めて私は息子と話をしました。なぜ理学部の物理学科を受験したのか理由を聞くと、「勉強しなくてもいい点が取れていたから」。

すべての受験生が目標を持っている訳ではないのです。面と向かって話し合った後に、彼はこれまで秘めていた医学部に進みたいという志を言い出しました。具体的な目標を持てたことで生活は一変しました。毎朝早起きして、予備校の開門前にその門の前で英単語を必死で覚えているのです。テレビも観ない。ベッドに入ることも忘れ、椅子に座ったまま寝ている姿もありました。1年間の猛勉強の末に臨んだ入試で医学部に合格し、現在は医師になっています。

受験のサポートは親としてできる最後の仕事

振り返って、当時の私は「将来」や「目標」という言葉に不信感がありました。難関大に現役合格する生徒の何倍もの人数の生徒が不合格になっている現実を見ていたからです。

でも、目標なしではモチベーションは上がりません。逆に、目標が決まれば子どもは主体性を持ってどんどん前に進んでいける。高校生になると、親が干渉しすぎるべきではないという風潮があります。でも、遠慮しすぎず、思ったことは口に出してもいいのではないでしょうか。この手で育て、性格もわかっている子どもです。子どもの適性は学校や予備校の先生より、お父さんやお母さんの方がわかっている。

親子で思いが一致すれば子どものやる気は必ず引き出せるはずです。一緒に考えよう、いつでも話は聞くよ、とまず言ってみてください。話題を共有するため、大学のオープンキャンパスや東進の大学学部研究会などのイベントも活用し参加していただきたいと思います。大学を卒業すれば、あとは就職や結婚、これは本人が決めることです。受験のサポートは、親としてできる最後の仕事ではないでしょうか。