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大学受験の東進ハイスクール 涙の体験記
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部活と受験との間で揺れ動いた心。とことん悩んで、両立を決意
高校生活を振り返って、池田麻衣子が真っ先に思い出すのは、放課後のグラウンドで一生懸命練習に励むラグビー部員たちの姿だ。池田は3年間、マネージャーとして、グラウンドの朝礼台の横に立ち、ずっと部員を見守り続けてきた。
部室の掃除や洗濯、裁縫、部員一人ひとりの世話や体調チェック、お菓子の差し入れ・・・。「趣味は部活」と言い切れるほど、マネージャーの仕事が大好きだった。
「みんなの役に立つことが、とても嬉しい。頑張っている人を応援することで、自分も頑張れる気がするんです」
平日は部活、休日はバイトの日々。テスト前しか勉強せず、大学進学のことはあまり真剣に考えたことがなかった。
そんな池田が受験について考えざるを得なくなったのは、周囲がだんだん受験ムードになってきた高2の3月のことだった。
「部活、辞めなきゃいけないのかなあ・・・?」
ラグビー部の引退は高3の秋と、かなり遅い。部活を続けながら、あと1年弱で大学合格レベルまで学力を伸ばすことができるか、自信がなかった。悩みに悩んだ末、部員や顧問の先生に正直に今の気持ちを打ち明けた。すると、みんなから返ってきたのは、彼女を気遣うこんな言葉だった。
「やりたいように参加してくれれば、それでいい。オレたちにとってマネージャーは、存在として大事なんだから」
池田の決意は決まった。みんなのために、絶対に最後までラグビー部を見守り続ける。そして、受験勉強も妥協しないで一生懸命頑張り抜く、と。
数ある予備校の中から東進を選んだのは、特別招待講習で永田先生の「難関大合格へのマニュアル」を受講したことがきっかけだった。それまで“英語は暗記するもの”とばかり思っていた池田だったが、英語の背景知識をふまえながら読解法を説明してくれる永田先生の授業で、“英語は使うもの”だと実感した。そして同時に、「受験勉強って、これまでの勉強のやり方とは全然違う・・・」と、衝撃を受けた。
志望校を東大に決めたのは、春休みに入ってからだった。受験勉強をするからには、とことん徹底的にやりたいという気持ちもあったし、さまざまな分野を2年間学んだあとで行きたい学部を選択できる東大のカリキュラムは、好奇心旺盛な池田にピッタリだった。
そして池田は春休み以降、部活の練習が終わった夜7時過ぎに東進にすべり込み、閉館まで講座を受けるようになった。
高3の11月、部活引退。本番に向けてラストスパートを切る
東進に入学するまでは「ただ、何となく勉強していた」と振り返る池田。そんな彼女のために、東進の菅谷担任は東大受験に必要な受講計画をしっかり立ててくれた。
公式の暗記ばかりで、何を勉強しているのかよく分からなかった物理は、菅谷が薦めた苑田先生の「トップレベル物理」を受けて、考え方が大きく変わった。物理学の歴史的な背景や、法則の意味などの基本概念から丁寧に教えてくれる先生の授業は「自分で考える力」が身につき、物理が楽しくてしょうがなくなった。
夏休みも部活のかたわら、毎日東進に通い詰めて勉強した。順調に成績を伸ばしていた池田だったが、途中で体調を崩したこともあり、8月の「センタープレ入試」では成績ががくっと落ちてしまう。
落ち込む池田に、菅谷は優しく言った。
「池田さんなら大丈夫。いつも一生懸命頑張ってるじゃないか」
不安になった時や苦しい時、菅谷はいつもこんなふうに、池田が恥ずかしくて赤面するくらいに励ましてくれた。自らを「すぐにへこんじゃう性格」と称する彼女にとって、不安や焦りをぶちまけても全て受け止めてくれる菅谷の存在は、受験生活を通じてずっと精神的な支えだった。
2学期になり、クラスメイトはみんな受験に専念していたが、ラグビー部だけは大会に向けて毎日練習の日々。池田は後輩のマネージャーと二人で千羽鶴を折り、部員一人ひとりにメッセージを書いた紙を吊り下げて、勝利を祈った。
そして11月1日、千葉県大会の決勝トーナメント初戦。
勝つと信じていた。しかし、試合途中で疲れ果てた部員たちは、ミスを連発してしまう。池田は思わず「お願い、頑張って!」と泣きながら叫んでいた。
しかし無情にもホイッスルが鳴り、敗退。極限まで戦い尽くした、完全燃焼といえる試合だった。
「これで、とうとう終わりなんだなあ・・・」
高校での3年間、生活の中心だったラグビー部。自分の存在価値を実感できる、大事な居場所だった。
しかし、センター試験まで残りわずか2ヵ月に迫った今、池田は寂しく思う気持ちを切り換えて、受験勉強に臨むしかなかった。
模試などでどうしても部活に参加できなかった時も、池田を応援して温かく見守ってくれた部員たち。「みんなのためにも、絶対受からなきゃ!」―池田は固く心に誓った。
本番前日、突然の体調不良。根性でつかんだ東大合格
「やればできる」「絶対伸びる!」
直前期、池田は、くじけそうになる気持ちを打ち消すために、そんな言葉を紙に書き綴り、自分を奮い立たせていた。
そしてセンター試験当日。試験会場で池田は机の上に、ラグビー部の集合写真と、後輩と妹からもらった2つのお守り、そして菅谷からの励ましのメッセージを並べた。途中で問題に行き詰まり焦った時は、深呼吸して、それらを眺めた。そして目をつぶり、「冷静になれば絶対大丈夫」と心の中で唱えると、自然と問題に集中することができた。
結果、センターは大成功。これまでのセンタープレ入試と比べて、最高点をたたき出した。だが東大の二次試験前日、池田は極度のプレッシャーのあまり、突然38度以上の熱を出してしまう。朦朧とした意識の中で、明日のために必死で過去問を解こうとするが、まったくできない。焦りと不安で打ちのめされそうになったが、ここまできたらもう、やるしかない。本番当日はふらふらだったが、友人に支えられながら、受験会場まで辿り着いた。
「熱なんかに負けちゃダメだ、みんなに応援してもらっているんだから・・・」―机の上のお守りや写真を見ながら、自分に言い聞かせた。すると、不思議と頭が冴えてきて、スラスラ解答することができた。
熱が下がらないまま二日目に突入。理科はなんとか乗り切ったが、昼休みに解熱剤が切れてしまい、頭がぼんやりしてきた。
「午後の英語で最後。それが終わったら倒れればいいんだ!」と気合を入れて受験した英語は、なんと、これまでで最高の出来だった。
しかし、東大の合格発表日。自信が不安へと変わっていく。前日は眠れなかったし、怖くてどうしても本郷キャンパスに行けなかった。
合格発表が始まった昼過ぎ、池田はまだ自分の部屋から出られずにいた。菅谷担任から何度も電話があり、「とにかく、おいで」と言われた。
どうしても、合格している気がしない。重い足どりで、やっとのことで本郷に向かうと、菅谷先生が掲示板の前で手招きをしていた。 おそるおそる、自分の番号を探す。
・・・あった!
信じられなかった。
「嘘でしょ。あの番号、私の目だけに見えているんじゃないの・・・?」
「本当だよ! みんなにも、ちゃんと見えているから」そう言う菅谷先生の目には、涙が溢れていた。
(先生、私のために泣いてくれているんだ・・・)
自然と池田の頬に、涙がぽろぽろと流れた。
携帯から、家に電話をかける。
「本当によかった…」
母が、涙声で喜んでいた。これまで、何も言わずに黙って見守ってくれていた母が、泣いている・・・。池田は、いつのまにか泣きじゃくっていた。
たくさんの人に支えられてつかんだ、東大合格。池田は、これまで励ましてくれた人たち全てに感謝しながら、涙でにじむ掲示板をいつまでも眺めていた。
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