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東進タイムズ2008年11月1日号
東進生が世界の舞台へ 国際化学オリンピック 銅メダリスト 鈴木 裕太くん

世界各国から選出された高校生が一堂に会し、化学の実力を競い合う「国際化学オリンピック」。今年夏にハンガリー・ブダペストで開催された第40回の大会では、日本代表に東進生の鈴木裕太くんほか3名の高校生が選出され、全員見事銅メダルを獲得した。 

そこで今回の「輝け高校生!!」では、東進生の鈴木くんにインタビューを行い、大会の様子や化学の魅力について語ってもらった。

鈴木 裕太 くん
宮城県立 仙台第二高校3年 東進生
部活動: 物理部、数学研究会
趣味: ピアノ、パソコン
大好きな化学を追究していくことで広がった未来のビジョン
ハードな訓練合宿を経てチームの心を一つに

国際化学オリンピック(以下化学オリンピック)への参加は、僕が所属している数学研究会の先輩が、国内予選である高校化学グランプリで金賞を獲得したことがきっかけです。豪華な副賞にも魅かれて、軽い気持ちでエントリーしました。

選考試験は2泊3日にわたり、東京で行われました。参加者は名だたる進学校の生徒から高専生までさまざまでしたが、化学が好きだという点は共通していましたね。1次試験の筆記では「有機・無機化学」「物理化学」など4問を、2次試験の実験ではマンガン電池の仕組みや成分分析をまとめる問題に挑戦しました。大会トップの成績で化学オリンピック代表に選ばれたときは、正直に言ってとても驚きました。というのも、参加者は事前に送られてくる問題集で勉強してくるのですが、僕はそれが半分位しか終わっておらず、筆記試験の成績も決して良い方ではなかったからです。でも、怠けていた訳ではありません。僕は根本から理解しないと気が済まない性格なので、問題を解きながらついついその元になる数学の理論が気になってしまい、調べているうちに時間が足りなくなってしまったのです。

代表に決定した後は大会までの約半年間、受験勉強と同時並行して自主トレーニングに取り組みました。特に実験問題の訓練合宿はとても厳しく、夢でうなされてしまったほどです(笑)。実験は日本の不得意分野であることもあり、本番と同じスケジュールで合成・定性・定量の3分野をみっちり仕込まれました。合成では100パターン以上の溶液をひたすら組み合わせるという課題に挑戦し、心身共に疲労困憊。今でもその癖が残っていて、水の入ったコップを持つと無意識に液体を撹拌しようと回してしまうんです。でもおかげで日本チームの結束が強まり、心を一つにして大会本番に臨むことができました。

世界中のライバルと心を通わせた予定外のサッカーW杯

今回の化学オリンピックには、世界66カ国から257人の高校生が参加しました。肌の色も言語も皆違っていて、改めて世界は広いと実感しました。

大会は5日目に実験問題試験、7日目に筆記問題試験が実施されました。実験はどのような手順で進めるかを頭の中で素早く組み立て、いくつもの作業を同時進行していくことが高得点を上げるポイントです。異国の慣れない環境で、ただでさえ緊張しているところに、出題形式の変更という予想外の展開となり、パニックになってしまいました。「100mlの水を加える」という指示を「100mlのビーカーに水を加える」と思いこんだり、反応を見ながら液体をちょっとずつ注ぎ足さなければいけないところを一気に注いで溶液を飛び散らせてしまったり……。何が何だかわからないまま、時間だけが過ぎていきました。

それでも気持ちを引きずらずに済んだのは、翌日のサッカー大会のおかげです。これはインドチームが企画して突然実現したもので、66カ国のほとんどが参加しました。この予定外のイベントによって、参加者同士打ち解けることができたんです。僕もそれ以降はリラックスして、筆記試験に臨めました。10日間の日程の間には、エクスカーション(遠足などのイベント)やハンガリー文化体験なども計画されていて、多くの刺激を受けました。

筆記問題は物理、無機、有機などの各分野からバランスよく出題されます。2008年は、未来の資源として期待される物質構造に関する問題や、ハンガリーで開発された医薬品の合成に関する問題も出題されました。

筆記問題は、元来日本の得意分野だといわれており、実験で失敗した分も取り戻さなければなりません。開始直後こそ緊張したものの次第に問題に集中し、制限時間5時間をフルに使って、全身全霊で取り組みました。先輩たちが例年メダルを獲得してきたというプレッシャーもあったので、銅メダルを取れたときはほっとしましたね(笑)。

化学に限らず、僕にとって「問題を解く」ということは「世界を理解する」ことです。その点、東進の講座はどれも根本の考え方から説明してくれるので満足しています。特に苑田先生の授業が大好きで、通年講座をひととおり受講した今は、終わるのが寂しくてテーマ別講座をじっくり受講しています。

化学オリンピックに参加して、改めて世界のレベルの高さを実感しました。特に、全員金メダルを受賞した中国をはじめとするアジアチームは勢いがあります。日本も負けてはいられません。

当面の目標は第一志望校の東京大学理科I類に合格すること。そしていつか憧れのプリンストン大学で研究に携わることが夢です。これからも楽しみながらさまざまな勉強に取り組み、自分を成長させていきたいと思っています。

メダルと賞状
▲国際化学オリンピックの銅メダルと賞状

国際化学オリンピックとは?

1年に1度開催される化学の実力を競う国際大会。参加資格があるのは高校生、または高等学校と同等の学校に在学する20歳未満の生徒である。

参加者は5時間の実験問題と筆記問題に挑戦する。成績優秀者には金メダル(参加者の1割)、銀メダル(同2割)、銅メダル(同3割)が授与。日本は2002年にオブザーバーとして初参加し、翌年のドイツ・キール大会から4年連続で代表全員がメダルを獲得している。

2010年は日本・東京での開催が決定しており、現在、野依良治先生(2001年ノーベル化学賞受賞)を組織委員長に準備が進められている。

また、世界の高校生が一堂に会する国際化学オリンピックでは、各国参加者同士の交流を深めることも大切な目的の一つである。

国際化学オリンピックに出場する日本代表生徒は、「全国高校化学グランプリ」の成績優秀者から選出される仕組みになっている。これは国際的に通用する若い化学者を育てることを目的に全国規模で実施されている大会で、毎年2000人を超える若者が参加している。

化学オリンピックだけじゃない!
世界の若者が競う「知のオリンピック」

国際化学オリンピックは、主に中等教育課程にある生徒(日本では主に高校生に相当)を対象にした科学技術に関する国際的なコンテストである国際科学オリンピックの中の一つである。「知のオリンピック」とも呼ばれている。国際科学オリンピックの目的は科学的才能に恵まれた子どもたちを見出し、才能を伸ばすと同時に国際交流・国際理解を深めること。化学以外にも、数学、物理、情報、生物学の大会がそれぞれ各国持ち回りで実施されている。

国際物理オリンピック

参加資格は、国内選考である「物理チャレンジ」開催年の4月1日現在に20歳未満であることと、物理チャレンジの二次試験実施日に高等教育機関(大学・短期大学または高等専門学校第4・5学年)に在籍していないこと。各国5名までの代表選手は大会期間中、理論問題・実験問題に各5時間挑戦するほか、文化イベント等にも参加する。

2008年ベトナム・ハノイで開催された第39回大会における日本の成績は金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル1名、入賞2名。

国際情報オリンピック

高校生以下の生徒が対象で、参加できる選手は各国4名まで。試験は2日間にわたり、各試験日に5時間で3問を解く。与えられた問題を解くアルゴリズムを考え出し、そのアルゴリズムに基づいた解法プログラムを正しく作成するのが基本的な中身。「組み合わせ」などの数学知識に加え、数理的な問題解決能力が強く求められる。

2008年のエジプト・カイロでの第20回大会において日本の成績は、金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル2名だった。

国際数学オリンピック

各国6名まで参加できる個人戦で、1日3問を4、5時間で解く筆記試験を2日間行う。日本数学オリンピックの成績優秀者が代表として選抜され、国順位は各個人の得点合計で決定する。

2008年スペイン・マドリッドで開催された第49回大会での日本の成績は金メダル2名、銀メダル3名、銅メダル1名だった。

来年はドイツのブレーメンにて開催予定。

国際生物学オリンピック

生物学理論や実験に関する問題にそれぞれ約5時間程度取り組む。特に近年は自然保護や環境保全が重要課題となっている。高い成績を上げるには生物学への興味、発明の才能、創造性、持久力などが求められる。各加盟国は国内コンテストで受賞した4人の学生を参加させることが可能。