edited by TOSHIN TIMES
大学受験は東進ハイスクール 大学入試は東進衛星予備校 予備校の東進ドットコム
トップページ













早稲田大学 スポーツ科学部編

世界最高レベルの大学院づくりを目標とする文部科学省の「グローバルCOEプログラム」。多くの大学や研究機関がしのぎを削る狭き門だが、今年6月、早稲田大学 大学院スポーツ科学研究科の「アクティブ・ライフを創出するスポーツ科学」が支援対象プロジェクトに選ばれた。プロジェクトリーダーである彼末一之先生にお話を伺うとともに、研究室をご案内いただいた。

早稲田大学スポーツ科学部

2003年に人間科学部より独立。最先端のスポーツ知識を持つ医科学者、スポーツ文化の発展に貢献できる学術研究者、スポーツビジネス実務者等の育成を目的とする。医科学・生理学等の自然科学系の学問から、社会学や心理学などの人文・社会科学系の領域までを総合的、学際的に学ぶことができる点が大きな特徴。また、スポーツ界のグローバル化を視野に入れ、語学能力の研鑽にも力を入れている。大学院である「スポーツ科学研究科」は、2006年に創設された。

彼末 一之 教授
早稲田大学 大学院
スポーツ科学研究科
スポーツ科学専攻
東京工業大学工学部卒、大阪大学工学部修士課程修了。
専門分野は生理学、神経科学。
大阪大学医学部助手、西独Max-Planck研究所客員研究員、大阪大学医学部保健学科教授を経て、2003年より現職。研究課題は「トップアスリートのスキル解析」「運動制御の脳機構」。

「グローバルCOEプログラム」とは?

  平成19年度よりスタートした、大学院の教育研究機能の充実、強化を目的とした文部科学省による支援事業。世界をリードする独創的な研究者の育成および、国際競争力を持った教育研究拠点の創出を図る。平成21年度の採択数は9大学。「学問分野間の学際的融合」「学問領域の創成」を目指す国際的に新規性のあるプログラムへの支援が決定された。

つまり、世界で活躍できる人財育成のために、国が優秀なプログラムを提案した大学を資金面でバックアップする試みである。

一流選手とともに最先端のスポーツ科学研究拠点を目指す

Q1 グローバルCOEプログラムである『アクティヴ・ライフを創出するスポーツ科学』に取り組んだきっかけは何ですか?

子どもの体力低下や、中高年の健康増進は世界的な課題です。その解決にはスポーツが有効ですが、科学的に高い専門性を持った人材が不足しています。そのためスポーツを学問として研究し、社会に還元する拠点が必要です。

早稲田大学スポーツ科学部は今年で創設6年目を迎え、修士課程を終えた学生も巣立っています。一方で、国立スポーツ科学センター等の学外施設との連携も進んでいます。今後は、教育研究環境のさらなる整備を推進しながら、スポーツ科学の認知度を上げる必要があると考え、そのための起爆剤の一つとしてCOEプログラムに挑戦しました。

Q2 具体的に、どのような取り組みを行っているのですか?

プログラムは大きく三つに分けられます。「子どもの健全育成」「中高年の健康増進」「トップスポーツの振興」です。例えば、金メダル選手を輩出しようとするなら、先ず現在の子どもたちの体力を底上げする必要があります。そのためには、子どもの統計的・基礎的データの蓄積が欠かせません。これらは有機的に結びついてもいます。私は全体の統括と「トップアスリートの育成システムの開発」を担当しています。各研究プロジェクトには博士課程、修士課程の学生が参加します。留学生も受け入れ、海外の研究者とも連携を図ります。このプログラムを通して世界に貢献する人材を輩出し、国際的な拠点にしたいと考えています。

Q3 早稲田のスポーツ科学部の魅力を教えてください

まずは、トップアスリートが多く在籍していることでしょう。彼らのパフォーマンスを目の当たりにすると、人間技とは思えない力を持っているのがよくわかります。アテネオリンピックで男子400mリレーのメンバーとして入賞を果たした土江寛裕選手は当時博士課程の学生でしたが、日本人選手と世界記録保持者との大腰筋(腿を上げるための筋)の違いに着目しました。彼はその研究データを基にトレーニング法を考案し、コーチとして参加した北京オリンピックでチームを銅メダル獲得に導いたのです。まさに「文武両道」を目指す環境が、スポーツ科学部にはあります。

研究室にお邪魔しました! 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科
  バイオメカニクスとは、生物の運動や構造を力学的に探求する学問です。現在は、どの筋肉をどのように使って体が動くのかを研究しています。研究成果を一流アスリートのトレーニングやパフォーマンス向上、寝たきりの高齢者の方のリハビリトレーニングの考案に役立てるなど、社会に還元して人間の「アクティブ・ライフの創出」に貢献したいと思っています。

若原 卓さん
早稲田大学
スポーツ科学学術院 助手
研究分野:バイオメカニクス

←彼末先生が取材数日前にテニスで痛めたふくらはぎの筋肉の状態を、超音波診断装置で分析中。筋肉が収縮している様子や、筋肉を輪切りにした状態も見られます!
  野球部に所属していた高校時代に、肩を痛めたことがスポーツ医学の研究を志したきっかけです。学部時代はトレーナーとして野球部に入部し、講義で学んだ内容を実践していました。将来は、アスリートのスキルアップや怪我の予防について研究を深めていきたいと思います。


永見 智行さん
早稲田大学 大学院
スポーツ科学研究科 博士課程1年
研究分野:バイオメカニクス
←ハイスピードカメラを使って撮影した、斎藤佑樹選手などのピッチングフォームを研究しています。撮影した画像を元にコンピューターで投球時の軸足の使い方や球の回転まで分析し、選手のパフォーマンス向上に役立てるそうです。


  現在は、卒業研究のために実験の真っ最中です。脳に刺激を与えて一時的に働きを落とすことで、頭の中で思い浮かべていた運動のイメージが脳にどのように影響するか研究しています。講義や実験で学んだ内容を、所属している水泳部の選手のスキルアップに役立てたいと思います。

奈良 双葉さん
早稲田大学 スポーツ科学部
スポーツ医科学科4年
↑画面に出てくる手の画像を見て、「右手か」「左手か」を頭の中で一度イメージします。次に、脳に刺激を与えて一時的に働きを抑えて、結果を足で反応させます。脳に関する研究は、まだまだ解明されていないことが多いそうです。