Vol.6 コンサルティング業界編
高校生の皆さんは、5年後、10年後の自分を想像したことがあるだろうか。「将来の自分はおろか、大学生の自分さえ想像できない……」そんな人も少なくないだろう。
「未来から現在を見る」──成功する人は、自分の将来を描いてから行動するものだ。編集部の調査でも、志望校に合格した多くの先輩たちが、まず将来について考え、その目標を定めたうえで自分が行きたい大学や学部・学科を選んでいた、ということがわかっている。
シリーズ第6弾は、企業や組織の改革・革新を手助けするプロフェッショナル集団、「コンサルティング業界」を特集する。
■業界研究とは何か?
業界研究とは、産業にはいろいろな種類があることを学び、社会におけるその産業の役割を知ることで、将来の夢を具現化したり、自分の進みたい仕事のできる業界を見つける作業のこと。一般的には、大学生が3年生の12月頃から、就職活動を始めるにあたって行うことが多いが、早いに越したことはない。
コンサルティング業界とは?
課題を解決するプロフェッショナル、コンサルタント
企業が華やかに大成功を遂げたり、瀕死の状態から復活したりという、ビジネスの世界の陰には、その企業の成長や革新を手助けする立役者、コンサルタントが存在する。コンサルタントとは、企業や団体が抱える課題を解決し、その組織の成長を手助けして実現するという明確な意志を持ったプロフェッショナルだ。
コンサルティング業界は一般に、【1】企業の経営戦略や組織戦略など、いわゆる戦略分野に特化したマッキンゼー&カンパニーなどに代表される戦略系。【2】戦略から業務システム、人の管理など幅広いコンサルティング機能を持つアクセンチュアなどの総合系。【3】ITを用いた改革をサポートするフューチャーシステムコンサルティングなどのIT系などに分類できる。
また平均年収(30代後半の場合)は、日本企業であればおよそ1千万円程度であるが、外資系企業のコンサルタントになると、1億円を超すこともある。
コンサルティング業界の現状と課題
大学生の就職先として人気急上昇
大学生の就職先人気企業ランキングでは、総合商社などと並んでコンサルティング・ファーム(会社)に人気が集まっている。理系男子のランキングでは、野村総合研究所(8位→3位)、アクセンチュア(22位→14位)と、前年と比較して順位を伸ばしている(「大学生が選んだ就職先人気企業ランキング2006」ダイヤモンドビッグ&リード社調べ)。
文系であれば商学部・経済学部、理系であれば理工系の学部出身者が多いが、特定の学部が就職の際に有利ということはない。
大学または大学院を卒業・修了後に新卒として入社するほか、社会人として何らかの経験を積んだあとにMBA(経営学修士号)を取得してからコンサルタントに転職する場合も多い。
工場の生産性アップから、M&A※1まであらゆるニーズに対応する
実際にコンサルティング・ファームを活用している企業は、「工場の生産性を上げたい」「海外の子会社で新たな事業を始めたい」「M&Aで業界トップを目指したい」というように、明確な目標を持ち、業務や利益の拡大のために活用することが多い。
例えば世界最大のコンピュータメーカーであるデルコンピュータは、自社の特徴である「消費者への直接販売・注文生産」を発展させるためコンサルティング・ファームに依頼。その結果、手作業で管理していた製品管理や注文の需要予測を自動化することで、抱えていた在庫の大幅な縮小を実現した。
また、文具メーカーのコクヨは、中国・上海でオフィス用品のカタログ通信販売の事業をコンサルティング・ファームと連携して立ち上げ、日系大手企業初の参入を果たした。
コンサルティング業界の今後の展望
助言する立場から実行へ
業界の推定市場規模は、アメリカでは約6〜10兆円であるのに対して、わが国ではまだ3000億円であるため、今後ますます大きく成長していくものと思われる。
またコンサルタントの役割が、単なる助言に留まるのではなく、具体的な成果や結果を出すため、事業会社とともに実行することが求められるようになってきている。
例えばある企業で「同じ業務を人件費の安い中国にアウトソーシング※2すればコストが大幅に減少する」という事業分析結果が出た場合、実際に中国で事業が行える仕組みの構築や手助けをし、自らが主体となって行動することが求められる。
もう一歩! 大人に近づく
キーワード解説
※1.M&A
英語で合併を意味する“Merger”と、買収を意味する“Acquisition”の頭文字であり、直訳すると「企業の合併・買収」を指す。新興IT企業による矢継ぎ早なM&Aの実施などで、言葉の認知度が高まった。買収や合併は、自社が不足する人材や資金、情報といった経営資源を補うことを目的で行う場合が多い。
※2.アウトソーシング
会社内部の特定業務を外部の専門会社に託すること。「餅は餅屋」という諺(ことわざ)の通り、専門的な仕事は専門家に任せたほうが能率的であるため、アウトソーシングが行われる。企業を取り巻くスピードは年々早まっており、自社の持つ優位性を最大限発揮するためには、強みのある分野に経営資源を傾け、それ以外の分野はアウトソーシングするという流れが強まっている。
●東進のOBに聞く●
コンサルティング業界の魅力とは?
Daichi Kokubu
国分 大地さん(24歳)
アビームコンサルティング株式会社
IES(Integrated Enterprise Solution)事業部
中央大学 法学部卒
東京都立 町田高校卒
東進ハイスクール町田校OB
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実際にコンサルティング業界で働く人たちは、どんな仕事をしているのだろうか。また、どのような思いを持ってこの業界を目指したのか?コンサルティング業界で働く東進OBの、生の声を聞いてみました!
──現在の仕事内容を教えてください。
4月に入社したばかりなので、現在(6月中旬)はまだ研修中です。先輩社員からの講義では、コンサルタントの基礎となるロジカルシンキング(論理的の思考)などの方法論を学んだり、先日は中国の上海で、ある企業の経営を研究するグループ研修がありました。
──なぜ、この業界を選んだのですか?
コンサルティング業界は、顧客企業の利益が自社の利益に直結します。つまり、相手(顧客企業)の幸せ(望んでいること)を徹底的に考えて実現することが、自分(自社)の幸せになる。相手の幸せを願って仕事ができるところが、この仕事に惹かれた理由のひとつです。その点で、僕はコンサルティング業界とは「究極のサービス業」だと思っています。
この考えにいたるには東進で担任助手として働いた経験が大きいです。大学時代は生徒の皆さんの成績を伸ばしたいという願いを持って仕事をしていました。これからは企業が抱える課題を解決することで、より社会に貢献できると思ったのです。
──高校生へ向けてメッセージをお願いします。
入社が決まってからは仕事で必要になると思い、大学4年次に簿記2級の資格を取りました。また、英語を使う機会も多いので、さらに磨きをかけて自分を高めていきたいと思っています。高校生の皆さんには、夢や目標を大きく持って努力してほしいと思います。