大学入試の基礎知識
ここでは16年度のセンター試験の分析と学習アドバイスを教科別に紹介します。

◆英語

◆全体概観
 16年度から問題傾向に変化は見られず、大問6題からなる全体構成と大問ごとの配点も16年度と同一でした。第1問、第2問は語彙・文法・語法などの英語の基礎力を試す問題、第3問~第6問は会話、図表を含む文、物語文、説明文などのさまざまな文章を読んで解答する問題です。後者が全体配点の7割以上を占め、実践的な英語運用力に加えて、英文を論理的に読み解く能力を問うことに比重が置かれています。17年度の設問も含めた全体の総語数は約4300語で、解答にかける時間配分が重要になります。難易度は全体的に標準レベルでしたが、第2問、第3問に比較的解きやすい問題が多く見られたこともあり、平均点は16年度より10点以上上昇する結果となりました。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験の英語は、高校2年生までに学んだ知識で十分に対応できる範囲で出題されます。それは決して単純な知識を問うものではなく、読んで書き、聞いて話す、コミュニケーションの手段として社会で役に立つ実用的な英語力の素地となる力を、どの程度身につけているかを測るためのものです。実際、80分という短い制限時間でこれだけの問題量をこなすには、語彙や文法を完全な知識として身につけ、読解力を鍛錬することが必要です。しかしこれは一朝一夕に身につくものではなく、早い時期から学習量を多く積むしかありません。センター試験で高得点がとれないことの大きな要因として、英文と問題量が多いため時間切れになり、最後まで解答が続けられないことが挙げられます。センター試験の英文には難解な構文や語彙は出ませんが、数多くの長文を読みこなし、速読力を高める訓練が必要です。センター試験の過去問などを日頃から音読し、英文を身体にしみ込ませることが肝要です。本番まで繰り返し演習を行い、目標点に近づくよう継続して学習を進めていきましょう。

◆英語(リスニング)

◆全体概観
 16年度は第3問、第4問の内容面に大きな変化がありましたが、17年度は16年度の内容から変化なく、第4問Aは長めの文章を聞いて答える問題、第4問Bは3人の会話を聞いて答える問題が踏襲されました。読み上げ文の総語数は約1140語でほとんど変化はありませんでしたが、選択肢が読み上げ文から大幅に言い換えられている問題が多く見られるなど、正解の選択肢を選びにくかったこともあり、16 年から平均点は下がりました。
◆高3生へのアドバイス
 リスニングの力は聞いた英語の量に比例して伸びます。したがって、日頃から習慣的に英語を聞く訓練を積むことが大切です。1日10分程度でも、継続して耳を鍛えることがリスニング力の向上につながります。素材は何でもかまいませんが、聞き取りに慣れていない人は、短い文や会話から始めるとよいでしょう。短文ならある程度聞き取れる人は、長めの会話や文章の聞き取りを行い、英語を英語の語順のまま処理していく力を高めましょう。耳を慣らすためには、漫然と音を聞くのではなく、積極的にその音をまねて自分でも発音してみることが効果的です。また、集中力を養うためには、常に展開を予測しながら耳を傾ける姿勢が大切です。すべてを聞き取ろうとするのではなく、何を聞き取るべきなのか、ポイントを定めて聞く練習をしましょう。ただし、音を聞き取ることができても、その英文が理解できるとは限りません。リスニングといっても、まずは内容を理解するために必要な語彙力、文法力などの基礎力を固めることが必須であることを忘れないでください。

◆数学Ⅰ・A

◆全体概観
 数学Ⅰ・Aは、16年度と同様、必答問題2題、選択問題3題から2題選択の計4題を解答する形でした。全体のボリュームに大きな変化はありませんでしたが、誘導が丁寧で総じて易化したといえます。「データの分析」では、16年度と同様、図の読み取りを中心とした問題が出題されました。「場合の数と確率」では、事象の組合せを問う問題が目新しく、また16年度と同様、条件付き確率が出題されました。「整数の性質」では、倍数の判定法、約数の個数、記数法がテーマの問題が出題されました。「図形の性質」では、図形に関する定理・性質と「図形と計量」で学ぶ定理を双方適用して解き進める問題が出題されました。いずれの大問も高校数学の基礎・基本を問うという出題内容であり、16年度までを踏襲しています。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験の数学Ⅰ・Aでは、出題の難易度に関わらず高得点の争いとなると考えて準備しておく必要があります。数学Ⅰ・Aは、高校数学の土台ともいうべき分野なので、センター試験においても基本の理解を問う出題が多いです。大切なのは、基本を早めに確実に理解し、時間を意識しつつ問題演習を繰り返すことです。いきなり入試レベルの問題に取り組むのではなく、教科書の例題、練習問題、節末問題、章末問題レベルへと、少しずつステップアップしていくのが一番の近道です。「計算を最後までやり抜く」「図やグラフを描いて考える」といった基本的なことを地道に積み重ねることによって、基礎を確固たるものにしましょう。また、解法の暗記に頼るのではなく、公式や解法の原理をきちんと理解してから先に進むような勉強を心がけましょう。物事を理解するとは、その道理や筋道がわかり、自ら考えることができるようになることです。理解して先に進むような勉強を繰り返すことで、受験だけでなく、将来社会に出てからも役立つ本当の力をつけましょう。
  ※センター試験では、数学A範囲の「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」については、選択の形での出題となりますが、国公立大二次試験や私大入試を視野に入れて、すべて学習しておくことが望ましいです。

◆数学Ⅱ・B

◆全体概観
 数学Ⅱ・Bは、16年度と同様、必答問題2題、選択問題3題から2題選択の計4題を解答する形でした。16年度より計算量がやや減少し、総じて易化したといえます。第1問は、16年度に引き続き「三角関数」と「指数・対数関数」の組合せでした。第2問は、放物線と接線、座標平面上の図形の面積に関する微分・積分の問題でした。第3問は、等比数列の項の積と和に関する問題で、対数の形で定義された数列の一般項を対数の性質を用いて求める設問がやや目新しいものでした。第4問は、15年度以来2年ぶりに平面ベクトルの問題で、座標平面上の六角形を題材とした点の位置の決定がテーマの問題でした。16年度は、一部の大問で他分野との融合問題も見られましたが、全体に誘導が丁寧であるため、時間配分に注意しつつ、解きやすい問題から解き進めていければ、高得点が狙いやすい問題のセットでした。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験数学Ⅱ・Bでは、数学Ⅰ・Aよりも発展的な出題がなされるため、そういった問題にも対応できるように準備しておく必要があります。数学Ⅱ・Bは、数学Ⅰ・Aを土台としているため、数学Ⅰ・Aが未完成な状態では高得点は望めません。まずは数学Ⅰ・Aの基礎を完璧なものにしましょう。その次に、数学Ⅱ・Bの基礎を固めていくことが、効率よく学力を伸ばす道です。学習の順序として、いきなり入試レベルの問題に取り組むのではなく、教科書の例題、練習問題、節末問題、章末問題と、少しずつステップアップしていくのが一番の近道です。「計算を最後までやり抜くこと」や「図やグラフを描いて考えること」などといった基本動作を地道に積み重ねることによって、基礎を確固たるものにしましょう。また、解法の暗記に頼るのではなく、公式や解法の原理を理解してから先に進むような勉強を繰り返しましょう。物事を理解するとは、その道理や筋道がわかり、自ら考えることができるようになることです。数学Ⅱ・Bの問題は、数学Ⅰ・A以上に抽象的に考えさせる問題が多く、また計算量も多いため、練習を充分に行う必要があります。センター試験の傾向や自分の現在の力を知り、さらに不得意分野・弱点を明確にしてセンター試験対策を早めに進めていきましょう。

◆国語

◆全体概観
 17年度本試験の出題内容は、現代文の評論が科学論、古文が和歌を含む江戸の擬古物語、漢文は日本人の漢文でした。
 第1問の評論は硬質な科学論で、文章量は16年度よりも多く、内容的にも専門的な話題について述べられており、読解に手間取ったかもしれません。
 第2問の小説は、4年連続で女流作家の作品でした。文字数は16年度とほぼ同じで、設問数・形式に変化はありませんでした。ただ、書かれた年代が100年以上前であり、場面状況を正確に追い、心情を読み取るのがやや難しかったかもしれません。
 第3問の古文は、センター試験でもっともよく出る物語類でした。16年度の説話に比べるとやや読解力を要しますが、複雑な内容ではありません。
 第4問の漢文は、日本人の漢文という目新しさはありますが、ここ数年と同様で随筆的な内容でした。日本人の漢文は、12年度の追試験で江戸時代の儒者・詩人である頼山陽の文章が出題されたことがありますが、本試験では初めてでした。設問形式は例年の傾向と大差はありませんでした。国語は全体として難化しました。
◆高3生へのアドバイス

 センター試験は安易な考えで点数は取れないと肝に銘じ、計画的に勉強を進めましょう。時間配分を念頭におき、4題を80分で解く訓練をしましょう。

■現代文
「評論」は抽象的な内容が多いので、苦手意識がある生徒は早期に漢字・語彙などの知識事項を習得しましょう。知識事項は、読解力を根本から支えます。「小説」は客観的に読むことを心がけましょう。感情移入して読むと得点は安定しません。客観的に事実と心情を捉え、選択肢を吟味する読解法を身につけましょう。小説の語句問題は辞書的な意味が問われますので、語句は辞書を引いて覚えましょう。センター試験は時間制約の厳しい試験です。筆者の主張を的確に捉え、解答根拠をすばやく見つける訓練をしましょう。

■古文・漢文
古文・漢文は、知識・基本事項の比重が大きい科目です。古文なら、古典文法・古文単語・古典常識・敬語法など、漢文なら、返り点・重要句法・漢字・重要語など、読解の土台になる知識の完成度が大きなカギを握ります。遅くとも夏休み終了までに知識・基本事項を習得し終えましょう。
 夏以降は、時間配分に留意しながら解く訓練をしましょう。模擬試験は、点数よりも学習の進捗度・定着度を測定・認識することが重要です。「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験し、着実に実力をのばしましょう。

◆世界史B

◆全体概観
 大問は4問、設問数は2005~2016年に続いて各9問と例年通りであり、グラフの読み取り問題が16年度に続いて出題されました。一方で、地図を用いた問題は、16年度の2問から4問に倍増し、そのうち1問は河川や運河の位置を判定する問題となっており、近年見られない傾向でした。資料・地図などを使った多角的な学習がますます求められているといえます。また文化史の出題が3問にとどまり、16年度の10問から大幅に減少しました。日本に関する選択肢を含む設問も2問見られました。時代・地域混合の選択肢からなる設問も昨年と同様に多く、例年どおり、地域・時代ともに幅広い基礎力が問われる標準的な問題でした。
◆高3生へのアドバイス

 「全体概観」からも分かるとおり、センター試験では奇をてらった問題ではなく、基本事項をいかに整理して定着させているかが問われています。まず基本事項を押さえることが学習の出発点となります。教科書をしっかりと読み、太字の部分を中心に歴史の大きな流れをつかみましょう。同時に資料集を利用して視覚的に捉えるとさらに効果的です。この「通史のインプット」を夏までなど、できるだけ早い時期に完了させましょう。
 次に、語句を暗記するのではなく、歴史のタテ(時間的な前後関係)・ヨコ(同時代の出来事)の関係に注目して学習をすることが大切です。センター試験では同時代(世紀)の出来事について問う問題が複数ありますので、年表などで世界全体の動きについて把握し、さらに自分で年表を作成してみましょう。教科書では簡潔に述べられている周辺地域史や文化史なども出題される可能性があります。苦手意識を作らず、広い分野に関心を向けましょう。
 「アウトプット」も大切です。独特の出題形式に慣れておくためにも、過去問をできるだけ多く解いておくことはもちろん、東進の「センター試験本番レベル模試」を毎回受験することをおすすめします。全回で全範囲がさまざまな設問形式で出題されますので、苦手分野や弱点が多角的に分かります。

◆日本史B

◆全体概観
 大問6題、小問36問の問題数は例年と同様で、配点は16年度の変更が踏襲されました。リード文は例年(第1問会話文・第6問人物史)とは異なり、第1問は手紙・第6問はテーマ史からの出題でした。ただし、第4問で人物史がみられました。時代別では、戦後史からの出題が少ない傾向が続いた他、第5問で幕末からも出題されました。分野別では、政治史の出題が増え、文化史が減少しました。出題形式別では、文字史料の読解問題は減少した一方、表の読み取りが復活しました。年代整序問題は6題に増加し、図版を読み取って年代整序をおこなう形式の設問も出題されました。リード文中の空欄と地図中の場所を組み合わせる問題が出題されました。
◆高3生へのアドバイス

 日本史は暗記的要素が強い教科ですが、単純な暗記だけでは、知識は定着しません。センター試験では、限られた時間で正確に解答する力が求められます。「考える」日本史学習の基礎力をつけるため、教科書の「精読」を習慣にしましょう。文化史を例にとれば、仏像彫刻が登場した際に、(1)他の時代の仏像と比較する(2)資料集を見て特徴を考える(3)当時の仏教の性格を把握する(4)他分野(政治・外交・社会史)との関連を整理する、など、多面的・重層的な読み方を試してください。精読中に考えたことをノートにまとめれば、自分専用のサブノートができます。
そして、通史=インプットと演習=アウトプットを組み合わせて学習を進めてください。第1問(テーマ史)は、通史を終えないと難しいかもしれませんが、第2問以降は時代順の大問構成です。さまざまな形式の良問を解く中で、通史学習の際に意識すべきポイントが分かります。センター試験の過去問は、自分の学力のレベルを判定するための貴重なツールです。過去問演習に加えて模擬試験の受験を勧めます。東進の「センター試験本番レベル模試」は、「全国統一高校生テスト」も含めて年6回実施されます。これらは、受験日本史に精通した作題者により作られています。学習のペースメーカーとするためにも、定期的に受験しましょう。

◆地理B

◆全体概観
 分量については、大問6題構成が連続しており、設問数とマーク数は昨年と同じ35でした。例年同様に統計資料や図版が多用されており、地理的な考え方や理解を問う問題が中心となっています。出題内容については、「都市・村落と生活文化」の配点が減少し、代わりに「地域調査」の配点が増加しています。すなわち、地理的技能を重視する方向性が現れているといえます。難易度については、判断に苦しむ難問が減少した一方で、平易な問題が増加しており、16年度に比べてやや易しくなったといえます。
◆高3生へのアドバイス

 地理は暗記科目と考えられがちですが、センター試験の地理Bにおいては、むしろ思考力が大切といえるでしょう。したがって、地理的な事象について「なぜそうなるか」を十分に理解した上で、基本的な知識をコツコツと積み上げていくことが何より重要です。毎年多くの地図、図、写真や統計表が用いられます。自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する学習を徹底するようにしましょう。教科書や資料集を用いて、主題図や写真などに見慣れておくことも重要です。また、統計についても、順位や数値の暗記ではなく、統計の背後にある地理的事象を読み取る意識で、最新の統計データをこまめにチェックするようにしましょう。学習指導要領の改訂にともない、歴史的背景や経緯を問う出題がみられるようになっていますので注意してください。独特な出題形式への慣れも欠かせません。問題の質や量と試験時間を見比べると、決して時間的な余裕はありません。10年分程度の過去問演習はもちろんですが、東進の「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験して、頻出項目のマスターと最新傾向の把握、出題形式への順応、時間配分のトレーニング、といった点を強化することをおすすめします。

◆現代社会

◆全体概観
 出題形式は大問6問、小問36問と、過去5年と同様でした。16年度と同様、第1問と第3問の小問が8問、その他が5問という形式でした。統計を読み取る形式の設問も例年通り2問出題されました。そのうち第3問の問6では与えられた条件による判断推理が必要となっていますが、グラフや統計の数値、および与えられた条件をもとに計算や推理をして選択肢を吟味すれば正解にたどりつける内容でした。格別の知識は要求されていないので、若干吟味に時間がかかる出題もありましたが、慌てずに解けば解答に至ることができます。なお第4問の問1で選択肢ごとに写真が付く珍しい形態の出題がありましたが、写真は解答には影響を与えないものでした。
◆高3生へのアドバイス

 センター試験の現代社会は、よく一般常識で対応できるという印象を持たれています。以前は確かに、新聞を漠然と読んでいるだけで得られる常識レベルで判断できる設問も存在しましたが、ここ数年は常識で解ける設問や時事的知識のみで解ける設問がほぼなくなり、着実な学習成果を試される科目となっています。つまりセンター試験の現代社会は、さまざまな観点・分野から法律や制度の内容や確立の背景・流れを問う問題や第6問のように経済分野の理論を問う典型的な問題が出題されていて、その難度も上がっています。その傾向は今後も続くものと考えられます。
 センター試験では限られた時間内で、正確に解答する力を求められます。今後の1年でただ暗記をするのではなく、正確な理解をしていく学習をしなければ、試験本番で対応することは困難となっています。そのためにも、「教科書やテキストの学習」「センター試験の過去問を解く」「時事への対応」の3本柱が必要となってきます。現代社会を得意科目にすることで幅広い常識が養われ、他の科目はもちろん、推薦、AO入試を含めた、小論文などにも通用する学力を育成することができます。

◆政治・経済

◆全体概観
 大問4、小問34での構成は16年度と全く同じでした。図表・グラフも計6問で16年度同様です。典型的、基礎的な問題が中心でした。ただ、今回の特徴的な設問として、複数の課題をクリアしないと正答できないものがいくつか見られました。たとえば、第2問の問2は所得再分配比率と相対的貧困率の数値と、各国の歴史的事実とを重層的に絡ませた問題。用語概念と歴史的知識が相まって正答できる問題です。第3問の問6は選挙やデモの国政への影響についての問題。これも歴史的な知識と用語の知識が備わっていないと正答できないものでした。第4問の問4は公債依存度と基礎的財政収支という用語の概念を完全に理解し、選択肢文の内容の正誤を読み取るという多次元的思考が必要になります。単なる用語の知識や表の計算だけでは太刀打ちできない問題が目立ちました。
◆高3生へのアドバイス
 センターの試験の内容は、教科書の範囲内の基礎知識が中心で、図表・グラフ読み取りなどの応用力と思考力を試す問題も出されます。「政治・経済」は、専門用語を理解していないと解答できない問題もあり、基本的な用語の理解が必須となります。したがって、単なる丸暗記は通用しないことも多く、完全な理解と把握が要求されます。「政治・経済」は理解が前提の科目とはいえ、その知識を定着させるためには演習問題を行い、知識を活用する学習が必要になります。
 政治分野では、政治現象や制度・機能とともに社会制度を形づくる諸法規、とくに日本国憲法にからむ諸事項および判例などは頻出項目です。折に触れ憲法の条文を参照して熟読するように心がけましょう。
経済分野では、計算問題などは実際に解いて慣れる必要があります。出題される項目は限られており、しかもそれほど高度なものではなく、一度理解すれば完全に身につきます。他者との差が出る分野でもあり、完全に理解するまで取り組みましょう

◆倫理

◆全体概観
 大問4、小問37の構成は16年度通りでした。形式も、特に目新しいものはありません。全体としては典型的な出題が目立ちました。ただし、第1問では、小此木啓吾、アリエス、アドラーのそれぞれについて正誤判定することが求められる設問や、ボッティチェリ、雪舟、ピカソという美術家についての知識が求められる設問、さらに情報化に関連して、ボードリヤール、リップマン、ブーアスティン、マクルーハンについての知識が求められる設問が出題され、受験生は苦しんだかもしれません。また第2問で出題されたプロティノス、第4問で出題されたクーン、フッサール、メルロ=ポンティなども、深く学習していない受験生は対応できなかったものと考えられます。資料読解問題では、トクヴィル、マテオ・リッチ、荻生徂徠、カントについて出題されました。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験倫理は決して易しくありません。思想の本質的な理解を問う問題、具体的事例を用いて考えさせる問題、現代社会分野からの問題、図表の読解問題など、出題形式もバラエティに富んでいます。また、難解な現代思想分野からの出題が増えていますので、きちんと対策をしないと高得点は難しいでしょう。ただし、奇をてらった悪問が出題される訳ではありません。教科書の範囲を超えた問題はほとんどありませんから、基本を押さえてきちんと学習すれば、確実に正解できる良問ばかりです。倫理は「努力」が報われる科目です。「努力」が得点に直結します。1年間、それを信じて勉強に励んでください。
センター試験倫理の特徴として、「読解力の重視」ということが挙げられます。まず、選択肢が地歴・公民の他科目と比べてはるかに長く、人名や用語についての知識だけでは正誤判定のできない設問が多くなっています。つまり、思想内容についての本質的理解が問われているのです。したがって、単なる断片的知識ではなく、とにかく内容理解を深めていくことが求められているのです。
センター試験では、限られた時間内で正確に解答する力を求められます。模擬試験を積極的に受験して感覚を身につけ、ライバルに差をつけてください。

◆倫理、政治・経済

◆全体概観
 出題形式としては、倫理分野、政治・経済分野から大問が各3問ずつ計6問、小設問はすべて「倫理」「政治・経済」単独科目と共通でした。また政治・経済分野で過去にあった「倫理、政治・経済」オリジナルのリード文は17年度もなく、リード文もすべて「倫理」「政治・経済」単独からの流用でした。また、出題数は37問であり、こちらも16年度と比べて変化はありませんでした。
17年度も「倫理」と「政治・経済」の全分野から網羅されるように設問が選択されています。したがって、倫理分野、政治・経済分野ともに十分な準備をしておかないと高得点は取れないでしょう。全体としてはオーソドックスな問題が多く出題されました。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験対策で基本となるのは教科書の内容です。「倫理、政治・経済」では「倫理」と「政治・経済」の2科目を学ぶ必要があるので大変ですが、両方合わせても世界史や日本史の教科書1冊程度ですから、格別に負担が重いということはありません。できるだけ早くから教科書の内容をしっかりマスターし、実践的なトレーニングを進めることが求められます。
 「倫理」と「政治・経済」では、知識よりも一つひとつの内容の理解が大切です。倫理分野でも政治・経済分野でも、常に「なぜそうなるのか」という問題意識を持って学習を進める必要があります。まずは手垢で汚れるくらい何度も教科書や参考書を読み、用語の意味が分からなければ用語集を参照して、最終的には教科書の巻末の索引にある用語を見たらその内容を容易にイメージできるくらいにまで到達しましょう
センター試験では限られた時間内で正確に解答する力が求められます。東進の「センター試験本番レベル模試」は、年間のカリキュラムでセンター試験と同一レベル・同一形式の問題演習を繰り返します。積極的に受験して、自らの学習進度を測る物差しとして利用してください。

◆物理基礎

◆全体概観
 16年度と同様、第1問は小問集合、第2問は波動と電気、第3問は力学についての出題でした。16年度はかなり基本的な問題が多かったため、17年度は16年度よりは平均点は下がりますが、難易度は標準的な問題が多くなっています。また、次元解析の問題が出題された第2問問3では、部分点が与えられました。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験の物理基礎では、複数の答えの組合せを答える問題やグラフの選択問題など独特の出題が見られ、物理現象を理解、説明する能力がさまざまな側面から問われます。普段から問題の答えだけでなくそれに関係した考察をする習慣を身につけておきましょう。また、物理基礎の解答時間は他の基礎科目と合わせて60分なので、時間配分に慣れておく必要があります。時間配分のコツをつかみ弱点を洗い出すために、本番形式での模擬試験を通じて経験を積みましょう。

◆化学基礎

◆全体概観
 出題形式は16年度と同じでした。マーク数は、正誤選択が4、物質や図の選択が5、組合せの選択が3、計算が4でした。やや解答しにくい計算問題があったものの、全体の難易度は16年度並みでした。過去問と類似したものがいくつかあり、例えば第2問の問2は08年度センター試験化学Ⅰの追試で出題された単分子膜の断面積とアボガドロ定数に関する問題によく似ていました。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験では理科2科目を60分で解かなければならないため、迅速な判断力と計算力が必要です。他科目の学習に費やす時間も考慮し、物質量(mol)や酸と塩基・酸化還元の計算問題を早い時期から解けるようにしておくことが重要です。日頃の学習で計算問題を解く際には本番の試験だと思って電卓を使わず、速く正確に解答するようにしましょう。
 センター試験では、過去のグラフ問題、実験問題に類似したものが出題されています。センター試験本番で解答時間が足りなくなることがないように、過去問や模擬試験を多く解き、出題形式に慣れておきましょう。過去問の学習は重要です。

◆生物基礎

◆全体概観
 大問数3題、設問数15問で16年度より1問減少しましたが、マーク数は16年度と同様でした。
 第1問で出題された細胞周期の計算は、多くの受験生が苦手意識を持ちやすい問題ではありましたが、設問の大半が知識問題であり、16年度より易化しました。
◆高3生へのアドバイス
 表面的な知識を覚えるのではなく、理解することが重要です。教科書に載っているグラフや表を自分で描き、流れを説明できるようにしましょう。また、アウトプットする練習も重要です。センター試験で求められているのは、「どれだけ多くの知識をインプットしているか」ではなく、「インプットした知識をいかに早くアウトプットできるか」です。「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験し、インプットした知識を制限時間内で素早くアウトプットする練習を重ねましょう。

◆地学基礎

◆全体概観
 大問数が3題から4題に変わりましたが、設問数やマーク数に変化はありませんでした。また、地学基礎の全範囲からまんべんなく出題されることについても変わりはありませんでした。全体を通して16年度とほぼ同じ難易度でした。
◆高3生へのアドバイス
 まずは教科書を繰り返し読み、内容を理解しましょう。教科書の実験・考察にもじっくり目を通しましょう。基本的な知識を頭の中で「モデル化」した後は、過去問を解いてみましょう。教科書の傍用問題集はセンター試験の過去問を中心とした問題集ですから、ある程度学習が進んでいる人は積極的に問題演習に取り組んでみましょう。まだ学習が不足している人、教科書や過去問を見てもイメージがつかみにくい人は、基本に戻って、教科書などを読み直しましょう。

◆物理

◆全体概観
 大問数は選択問題を含めて6題で16年度と変わりませんでしたが、16年度まで選択問題であった熱力学が必答問題となり、第3問Bで出題されました。一方、第3問A、Bの出題であった波動は、第3問Aと選択問題である第5問の合計2大問での扱いとなりました。また、小問集合が16年度の5設問20点から5設問25点と配点が高くなり、2設問あった組合せ問題の部分点がなくなりました。全体として見ると分野の偏りはなく、多くのテーマから基本的な問題が出題されています。しかし16年度に比べてマーク数が増加し、1問あたりにかけられる時間は減りました。総合すると、難易度は標準的といえるでしょう。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験の物理では高等学校における基本的な内容がきちんと理解できているかどうかが問われます。各分野は満遍なく出題されますから、学習分野が偏ったり、苦手分野を残したりすることは避けなくてはいけません。したがって高3生の皆さんは、まず教科書の内容を習得することを目標にしてください。また、形式はマークシート方式ですが、数式や数値の計算だけでなく、短文の正誤を選ぶもの、正しい図やグラフを選ぶものなど、物理現象を理解、説明する能力がさまざまな側面から問われ、限られた時間内に正確に解答していくことが求められています。さまざまな形式の問題を解くためには、普段から問題の答えだけでなくそれに関係した考察をする習慣を身につけておきましょう。具体的には変数を変えて結果を吟味する、グラフを作ってみる、用語の約束を教科書で確認する、などです。センター試験の題材は教科書に載るような有名な現象が扱われることが多いので、こういった対策は非常に有効です。さらには本番形式での模擬試験を通じて経験を積むことです。時間配分のコツをつかみ弱点を洗い出すには最適です。東進で実施する「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験し、合格に向けて活用するとよいでしょう。

◆化学

◆全体概観
 16年度と同様に第6問と第7問が高分子化合物の選択問題で、大問数は6題でした。設問数は27で16年度と同じ、マーク数は35で増加しました。また、有機化合物の分野の配点が31点から28点にわずかに減少しました。
 計算を要する問題が多く、解答する時間に余裕はあまりなかったと思われますが、標準的な内容の問題が多く、難易度は16年度並みでした。ただ、問題の分量が多いため、手際よく正解を導く必要がありました。選択問題による有利不利はなかったと考えられます
◆高3生へのアドバイス
 センター試験の化学は、教育課程が変わってから3回目の試験なので、過去問などの情報は多くありません。センター試験で問われる内容は、教科書や模擬試験などで日頃から習得して、その形式にも慣れておいてください。
 センター試験では60分間で多くの問題を解かなければならないため、迅速な判断力と計算力が要求されます。センター試験の直前期には、無機化学と有機化学の暗記に時間を割かれてしまうため、計算問題には早い時期から対応しておく必要があります。日頃から計算問題を解く際には本番の試験だと思って電卓を使わず、速く正確に解答するようにしましょう。
 センター試験の化学の過去問は3年分しかありませんが、センター試験と同様の出題内容とレベルで構成された東進の「センター試験本番レベル模試」と「全国統一高校生テスト」を活用することで、十分に演習を積むことが可能です。センター試験ではここ数年間、過去のグラフ問題、実験問題に類似したものが出題されています。センター試験本番で解答時間が足りなくなることがないように過去問や模擬試験を多く解き、出題形式に慣れておきましょう。過去問の学習は重要です。

◆生物

◆全体概観
 16年度と同様に、大問数は6題で、第6問と第7問が選択問題でした。設問数は第6問を選択すると29問、第7問を選択すると30問で、16年度の25~26問に比べて増加し、マーク数は第6問を選択すると34、第7問を選択すると35で、16年度(32)よりも増加しました。知識問題は、基本的には生物の教科書の内容を押さえておけば解答できます。また、16年度と同様に実験考察問題の分量が多く、時間がかかる実験考察問題が増加しましたが、紛らわしい選択肢が少なく、全体として16年度よりもやや易化しました。
◆高3生へのアドバイス
 センター試験生物では、大問6題を試験時間60分という限られた時間で解答することになります。この6題の大問は、教科書の「生命現象と物質」「生殖と発生」「生物の環境応答」「生物と環境」「生物の進化と系統」の5つの単元からまんべんなく出題されます。つまり、センター試験は、教科書全体から幅広く出題されます。問題の内容ですが、約半分程度は基本的な知識問題です。これは、教科書で学習する用語をしっかりと覚え、教科書に載っている実験内容と結論をきちんと整理していれば容易に解ける問題です。ただし、かなり詳細な知識が要求されることもあるので、細かいところまでしっかりと覚えておく必要があります。残りは、実験考察問題や計算問題です。よく「生物は暗記科目」と思われがちですが、センター試験は教科書の基本的な知識を土台にした実験考察問題が出題されます。これらはまず、問題文を読みこなし、データを解析して、正しい解答を導き出す能力が必要になりますが、一朝一夕で身につくものではなく、周到な準備が必要です。また、計算問題は、数学と同様に、たくさんの演習を行うことで処理速度が上がっていきます。計算問題に時間をとられなければ、他の実験考察問題に時間をつかうことができるので、高得点が狙えます。

◆地学

◆全体概観
 出題分野、大問数と大問の分野は15年度・16年度と同様でした。第1問の小問数が8から7に、第2問の小問数が5から6に、第3問の小問数が8から5に、第4問の小問数が5から8になり、気象分野の出題が減り、天文分野の出題が増加しました。
 基本的な事項の知識問題が大半で、グラフや図も分かりやすいものでした。第4問の計算問題は基本的で容易な問題でした。選択問題の第5問はアイソスタシーの計算、地殻熱流量の分布、海洋底の年代、磁気圏の形についての基本的な理解を問う出題でした。もう1問の選択問題である第6問は気温の鉛直分布と大気の安定・不安定、波についての基本的な理解を問う出題でした。全体として16年度より易化しました。
◆高3生へのアドバイス
◆センター試験地学の特徴
 センター試験の出題範囲は教科書に限られています。高得点を得るためには、「教科書」→「問題演習」→「教科書」という流れの学習で、教科書を徹底理解することが大切です。そのために、教科書の通読から始めましょう。すでに授業を受けている場合も、改めて教科書を通読しましょう。はじめは理解しよう暗記しようとせず、地学の内容を概観することが大切です。
◆これからの学習について
 教科書を通読したら、今度はできるだけ丁寧に教科書を読んでいきます。この時に大事なことは各分野の論理展開を把握することです。どのような観測や観察、実験がされ、そこからどのような考察がされているのかを理解しましょう。そのためには、図・表・グラフを自分でノートに書き、正確に読みとる力をつけてください。書いてみると、見ているだけでは分からなかった重要なポイントが判ります。また、教科書を読むときは用語を暗記するのでなく、その用語がどのように使われているのか、その論理の道筋を理解しましょう。
 学習の進め方と不足点を判定する機会として定期的に模擬試験を受験することも重要です。定期的に「センター試験本番レベル模試」を活用してください。