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トップリーダーと学ぶワークショップ
TOP東進タイムズ 2017年6月1日号

22世紀まで生きる君たちへ

東京大学 教授
慶應義塾大学 教授
文部科学大臣補佐官

鈴木 寛先生

 ビジネスや研究、政治の最前線で活躍する「現代の偉人」を講師に迎えて行っている「トップリーダーと学ぶワークショップ」。今回は東京大学、慶應義塾大学教授、そして文部科学大臣補佐官として「高大接続改革」を推し進めている鈴木寛先生にご登壇いただいた。はたしてこれから必要な教育、そしてリーダーシップとは何か?―― 37チーム、200名を超える参加者たちと鈴木先生との熱気に満ちたワークショップの模様をお届けしよう。

講演者プロフィール

1964年兵庫県明石市出身。東京大学法学部卒業後、1986年通商産業省に入省。慶應義塾大学助教授を経たのち、国会議員を12年間、うち文部科学副大臣を2期務める。東京大学大学院教授、慶應義塾大学大学院教授に同時就任するほか、日本サッカー協会理事やNPO法人日本教育再興連盟代表理事、JASRAC理事なども務め、教育、医療、スポーツ・文化、科学技術イノベーション、IT政策の分野を中心に活躍。2012年には「人づくり」「社会づくり」にいっそう邁進するべく、一般社団法人社会創発塾を設立。若い世代とともに、世代横断的な視野でより良い社会づくりを目指している。日本でいち早くアクティブ・ラーニングの導入を推進し、2016年には「教育改革先取り対応セミナー」にもご登壇いただいた。

"好きなこと"を大事にすれば未来の
"ライフワーク"になる!

私は高校時代、サッカー部に所属していました。地元の一部リーグで優勝したこともあります。それから文化祭や体育祭の実行委員もやっていました。とにかくお祭りが大好き。周りからは「エンジョイ鈴木」などと呼ばれたものです。

東京大学を卒業後、私は通商産業省に入り、石油や地域振興、ITなどさまざまな仕事をしてきました。また国会議員を12年、そのうち文部科学副大臣を2期務めました。現在は文部科学大臣補佐官であると同時に東京大学と慶應義塾大学で教授をしています。また、日本サッカー協会の理事でもあります。

どうして私が日本サッカー協会の理事をしているのか。きっかけのひとつは、通産省でJリーグの立ち上げに携わったことです。本場ブラジルに負けないようなレベルの高い試合を日本のひとたちに観てもらいたい。その思いで日本初のサッカー専用のスタジアムを建設し、ブラジルからはのちに日本代表監督となる名選手ジーコを招きます。

その後、私は2002年日韓ワールドカップ、2019年ラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致も手がけます。その原点は、高校生のときにサッカーが大好きで、サッカーのために何か貢献したいという思いがあったからです。そのためには英語力やプロジェクトを組み立てていく力、そして本当に信頼できる多種多彩な友人のネットワークが必要です。皆さんもぜひ好きなことを大事にして、それに向かって今から精進してほしいと思います。

300年ぶりの激動の時代を
生き抜く術とは?

一方で私は今、文部科学大臣補佐官として教育改革を進めています。日本の教育水準は15歳の段階では世界一なのですが、高校、大学と進むにつれて相対的に下がっています。ですから学校教育のベースとなる学習指導要領を抜本的に変えていく必要があります。それはつまり、20世紀型の教育を見直すということです。

18世紀に「近代化」を迎え、大量生産・大量流通・大量消費を推し進めてきました。そして日本は「モノを作る」という点において世界一の教育を成し遂げます。それ自体は素晴らしいことですが、そのやり方を卒業する時期に来ています。なぜなら人工物の大量生産に必要な「作業を記憶して正確に再現する」という仕事は、人工知能(AI)に取って代わられようとしているからです。

皆さんがこれから生きていく時代は、世界で近代化が始まって以来300年ぶりの激動の時代です。思いもよらないリスクとチャンスがあります。「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉のとおり、未来は仲間と一緒に作るものなのです。

これからは、多様なバックグラウンドを持つ人たちとコミュニケーションを取りながら協働していく必要があります。求められるのは、不条理や板挟みと向き合い、それを乗り越えていく力です。

かつて、わずか二間の小さな塾に集った100名足らずの若者たちが日本を変えました。吉田松陰の松下村塾の塾生たちです。若者の力は無限です。新しい時代の新しい仕事を生み出して、その第一号になってください。皆さんはこれからの時代を作る主役なのです。

ワークショップ 【探る・話す】

テーマは「君たちは2050年に向けてどんな仕事を生み出すか」

ワークショップテーマは「君たちは2050年に向けてどんな仕事を生み出すか」。AIの進出によって消えてしまう仕事がある一方で、新たに登場する仕事もあるはず。現状の分析力と未来への想像力が問われるテーマだ。まずは自分の考えを予備シートに記入してから議論に臨む。各チームの様子をうかがいながら鈴木先生も気さくに声をかける。

ワークショップ 【練る】

「2050年に向けて生み出す仕事」について考える

それぞれの意見をひとつにまとめてワークシートに記入していく。「AIにこだわり過ぎないで新しい問題を発見してみてください」という鈴木先生のアドバイスを受け、急きょ変更を加えるチームも。イラストを使ったり、文字の大きさにも気を配ったりして、見やすくなるように工夫を施す。チーム一丸となって、狙うは予選突破だ。

ワークショップ 【発表する】

予選に挑む

総勢37チームが6つのグループに分かれて予選会に挑む。「少子高齢化」「地球温暖化」「AIとの共存」――各チームの論点は三者三様。他にない提案で聴衆を引きつけることはもちろん、声の大きさやスピードにも気を配り、身振り手振りを交えながら論理的に話すことも重要。大勢の前で自分たちの意見を主張するためにはさまざまな能力が必要だ。

ワークショップ 【決勝】

予選を勝ち抜いて、いよいよ決勝。

いよいよ決勝戦。参加者全員が見守るなか、グループの代表者が壇上でプレゼンを競う。「カウンセリングの重要性が増す」「未来を予想する仕事が生まれるのでは?」「AIを管理する仕事が必要になる」「人間とAIとの協力が不可欠」――5分間の持ち時間のなかで各チームがしのぎを削る。鈴木先生の講評にも力が入る。

ワークショップ 【結果】

表彰式

栄冠に輝いたのは「夢プランナー」を提案したチーム。「2050年の仕事」というテーマに即していたこと、人間に最も必要な「夢」というキーワードを考えた点が評価された。「夢を作りだす、叶えることはAIにはできません」と強調する鈴木先生。最優秀チームとの記念撮影ののち、ワークショップは盛況のうちに幕を閉じた。

参加した高校生の

東京都 私立 桜蔭高校 1年

木下 舞祐さん

2045年にAIが人間の能力を超えるという鈴木先生のお話にはびっくりしました。無くなる仕事があると聞いて不安を感じる一方、ワークショップで未来の新しい仕事を考えるのはとても楽しかったです。私たちのチームでは鈴木先生の仰るような「生徒のやる気スイッチを押す」とか、夢を後押しできるような授業を学校で増やしていけるといいのではと考えました。私自身、将来の夢に今悩んでいるところです。今日の経験を参考にしながら決めていきたいです。

東京都 私立 桐朋高校 3年

岩下 大地くん

僕もサッカーをやっているので、自分の好きなことを仕事にし続けている鈴木先生の姿にとても感銘を受けました。普段は積極的に発言するほうではないのですが、ワークショップではあえて違う意見を言うように心がけました。そのほうがチーム全体の意見が磨かれると考えたからです。将来は教師を目指していますが、今日のワークショップで出てきた「未来予想家」や「夢プランナー」といった新しい仕事も魅力的に映りました。

茨城県 県立 並木中等教育学校 3年

髙槌 七海さん

ロボットにはかねてから興味を持っていたのですが、AIに関しては知らないことが多かったので驚くことばかりでした。ワークショップは初参加で少し不安でしたが、チームリーダーが私の意見をとてもうまくまとめてくださって、私も見習いたいと思いました。また、決勝戦で登壇した方々を始め、皆さんきちんと自分の意見を言うことができていて、日本の未来を担っていると感じました。私もそんな人間になれればと思います。今は研究者に憧れています。

東京都 私立 日本大学豊山高校 3年

山城 健人くん

このワークショップを通じて、ディスカッションが楽しいという点と、いろいろな人と話すことで価値観を共有できる点に魅力を感じています。鈴木先生のお話では、自分で主体的に考えてみんなの前で発表したり、得た知識を自分なりに噛み砕いていくことの重要性を改めて感じました。僕はまだ鈴木先生の仰る「ソーシャルコンダクター」までには至っていません。コミュニケーション力をもっと磨いて、しっかりと意見が言えるようワークショップを通じて勉強していきたいです。

東京都 私立 早稲田高校 3年

佐藤 孝俊くん

今日は有意義な講演を聴けてよかったです。とくにセンター試験をまるきり変えて新しくしてしまおうとする鈴木先生の大胆な発想力に圧倒されました。ワークショップでは、議論が淀むことのないように進んで話しをする努力をしました。課題としては、頭の回転を速くすることと、自分自身をもっと客観視できるようにならなければいけないと痛感しました。そのほうがもっと大きな視点から議論を展開することができるからです。将来は建築士を志望しています。