骨抜きとなった大学入学共通テスト。
いま保護者が備えるべきは?

2021年4月の入学者(現高2生)から実施される「大学入学共通テスト」で、文部科学省は大学入試英語成績提供システムの導入延期に続き、国語と数学の記述式問題の導入延期を発表しました。2020年度大学入試改革の2つの柱となるはずだった制度の相次ぐ延期により、英語は「聞く・読む」の2技能を測るものに戻り、全教科でマークシート方式の出題となったことで、大きく変化するのは英語リスニングのみとなりました。

先の見えない激動の時代に備える教育改革は待ったなし

2013年より文部科学省が進めてきた大学入試改革の目的とは、既存の価値観だけでは予測できない大変化の時代を生きる子どもたちの学力の育成と評価でした。少子高齢化、グローバル化、情報化が進み、価値観が斬新にクロスする第4次産業革命時代には、テクノロジーを使いながら、他者と協働して目の前の課題を突破し、新しい価値を創造していく力が求められるのは明らか。そこで、目指す学力の3要素として


①「知識・技能」②「思考力・判断力・表現力」③「主体性・多様性・協働性」

を掲げ、「高校教育」での育成、「大学入試」での評価、「大学教育」での伸長を一体とした「高大接続改革」がスタートしたのです。「知識・技能」の正確さが問われたセンター入試は廃止され、2019年度から「高校生のための学びの基礎診断」が、2020年度からは「大学入学共通テスト」が導入される予定でした。

大学入学共通テストの情報は正確に把握して共有を

2019年11月、文部科学省は大学入学共通テストで実施予定だった大学入試英語成績提供システムの導入見送りを決定しました。続く12月には、国語と数学の記述式問題の導入見送りも発表される事態に。いずれも、目指す改革理念と実際の試験体制とが噛み合わず、様々な問題点を解決しきれなかったことによります。英語民間試験と記述式問題の今後の対応としては、萩生田文科相が設置する検討会議において、受験生が等しく安心して受けられるようにするための新たな方針が議論される予定です。英語民間試験については24年度からの導入を目指しますが、記述式問題については期限を定めず、当面は大学の個別試験での積極的な活用を要請することで対応していく模様です。今回、大学入学共通テストの改革が相次いで見送られたことで、各大学の個別入試にも影響がありそうです。今後の入試全体の大きな流れの把握や、各大学の対応については、しっかりと注視していきましょう。再検討に入った大学入学共通テストの現状は、以下の通りです(12月17日現在)

① リスニングの出題比率が高まる 試行調査のリスニングでは、問題数・ページ数の増加に加え、読み上げられる英単語数も3割増加。問題後半では1回の読み上げとなり、実生活に基づく内容の問題が多くなっているのも特徴です。

② 国語・数学での記述式問題導入 延期 民間事業者による採点の公平性や、自己採点に関する受験生の不安を解消しきれないことがその理由。当面、各大学への個別試験による活用が要請される予定です。

③ 大学毎の試験では個人の能力評価が増える 特色入試をはじめ面接や小論文、実技、プレゼンテーション、集団討論や口頭試問など、大学毎の試験では個人の能力評価が増える見通しです。これまでのAO入試は「総合型選抜」に、推薦入試は「学校推薦型選抜」に名称が変わります。

学力の3要素は今後どう測られるのか冷静に注目を

大学入試における改革は振り出しに戻ったものの、教育が子どもたちの「生きる力」の育成に舵を切った今、英語4技能や「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」が測られる流れは変わりません。これまで努力してきたことを力に変える行動を心がけましょう。入試制度改革をめぐる混乱に、驚きや不安を覚えるお子様は少なくありません。


思い込みを押し付けてお子様の心配を煽ることを避け、お子様と心を一つに、正確な情報の共有を。文部科学省、大学入試センター、英語成績提供システム参加予定であった団体、各大学の公式HP等、信頼できる情報源の確認が大切です。東進ドットコムでは常に最新の重要情報を発信しています。

早めの受験対策スタートで実力を伸ばし、活かす受験に

受験期のお子様は、親に守られて過ごす時代から、なりたい自分に向けて自立する時代へと移行していく大切な時期を過ごしています。親の出番は、この期間をかけがえのない成長の時間と捉えて、何が好きか、何がやりたいか、何を目的に大学へ進むのかをお子様と共に考えサポートするところにあります

部活との両立や健康面、精神面のケア、なりたい自分探しをフォローするのに早すぎるということはありません。「将来こうなりたい」「この大学のこの学部で学びたい」というお子様の夢や志を、お子様に合った方法でアシストすることは、親の大切な役割です。目標について話し合うタイミングが早いほど、志望校対策に十分な時間を充てられるだけでなく、お子様の自信を引き出しお互いの信頼関係を深めることに時間を充てることができます。心と時間にゆとりをもって臨みましょう。