


日本の18歳人口が205万人を数えピークに達したのは、約30年前の1992 年。ご父母の多くがこの時代に受験を経験されたのではないでしょうか。現在、2024年の18歳人口は前年から約6万人減少して106万人。日本は今、生産年齢人口の減少やグローバル化の進展、技術革新のスピード化など、世界を相手にさまざまな課題と向き合っています。社会が激変する中、キャリアや学力の価値や評価もご父母の時代から大きく変わりました。お子様の受験サポートに入る前に、ポイントをチェックしておきませんか。
記事の中身をチェック↓
・大学入学がゴールではない時代に高校で備える学びとは
・新課程の学びを測る2025年度共通テストはどう変わる?
・総合力が多面的に試される共通テスト、親はいかに備えるか
・東進の共通テスト対策、3つの力
2022年度に改訂された新学習指導要領。そのねらいは知識偏重型の受動的な学びからの脱却です。分野を限定できない複合的な問題や、様々な力を結集して立ち向かうしかない課題など、正解が一つではない世界に対応していくのは、知識や技能を生かして問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造する力。これを「学力の3要素」として掲げ、新しい教科やカリキュラムで構成した能動的な実践応用型の「主体的・対話的で深い学び」による教育改革が進みました。
「情報」の科目が再編され、必修科目として「総合的な探究の時間」が加わるなど、社会の変化に対応する資質・能力の育成が求められたのです。
その前に、ここをチェック!
●親世代のキャリア観●
・入った大学や会社が育ててくれる
・会社の配属や年功序列評価に合わせる
・新卒入社した会社で定年まで働く
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●子ども世代のキャリア観●
・大学や会社を選んでなりたい自分になる
・課題解決や協働創出でキャリアを切り拓く
・転職、複業、起業など働き方は多様に
だから変わった!
「高等学校のカリキュラム」
教育が変われば、試験も変わります。大学入試センター試験が大学入学共通テストに変わったのは2021年度。これを機に、知識のみで答えられる問題は減り、複数の資料や長文を読み込み、論理的な思考・判断のプロセスを経て答えることで、学力の3要素も試される内容へと移行しました。
5年目を迎える2025年度入試からは、新学習指導要領で学んだ生徒を対象とした共通テストが始まります。新設の「情報Ⅰ」が追加され、情報を活用し役立てる力が問われることに。もちろん、探究する力や、大量の資料やデータを並列に高速処理する力は欠かせません。短期的な詰め込みではカバーしきれない情報リテラシーは、高校生活の取り組みや日頃の学習習慣から備えておきたいものです。
その前に、ここをチェック!
●親世代の大学入試●
・現役大学・短大進学率37.5%(1992年文部科学省)。偏差値ファーストの受験戦争の一面も
・大学入試センター試験→科目毎に知識・技能の正解の再現を求める内容
・AO入試→知識・技能以外の個性や意欲で選抜される
・推薦入試→高校での成績や実績が評価され、学力検査は免除
◎試験の質と内容が差別化されており、入試別に対策を絞りやすかった
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●子ども世代の大学入試●
・現役大学・短大進学率60.9%(2023年/文部科学省)。過半数が大学進学するのでマッチングが重要
・共通テスト→全科目で学力の3要素の総合力を多面的に求める内容
・総合型選抜→学力の3要素と各大学の評価方法で選抜。アドミッションポリシーとのマッチングを評価される。体験授業参加や共通テスト、学科試験を課す大学もある
・学校推薦型選抜→学力の3要素、高校発行の調査書、各大学の評価方法で選抜。共通テストや学科試験を課す大学もある
◎すべての試験で知識を土台とした学力の3要素が測られ、子どもの強みや個性と大学の学びがマッチするように工夫されている
ここが変わった!
出題教科・科目
今、保護者が備えるべきは、過去の認識のアップデートです。社会が求める資質や力の変化に合わせて、学びの内容や領域が変化し、当然ながら大学の選ばれ方や入試の行われ方も大きく変わりました。入れる大学や学部を偏差値や試験科目主体で探したり、一斉に同じ知識を競い合ったりするイメージは過去の一面と捉えておきましょう。
大学のアドミッションポリシーに応える一人ひとりとのマッチングが重視され、様々な試験方式が用意されている新課程の大学受験。その主旨や取り組みを理解し、お子様のキャリア形成の方向性に照らして最適な進路とその手段を検討することで、これまで選択肢になかった大学やあきらめていた学部を視野に入れた大学選びに挑戦できるチャンスでもあると言えるのです。
ぜひお子様と最新情報を共有し、的確なサポートを。「受験勉強でやるべきことはいつの時代も同じ」「共通テストの内容は基礎力を試すもの」などといった考えは今すぐリセットを。実際に共通テストの問題を見て、難易度の変化や、問題の増加量、問われる内容などを確認しておくことをおすすめします。
その前に、ここをチェック!
●ぜひ見てほしい、共通テスト問題●
親も知るべき! 新教科「情報」が追加! 試験時間は60分、100点満点の試験となります。試験問題「情報I」は、以下の構成で作成されています。2022年11月試作問題では、プログラミングの出題は46点分でした。(100点満点) また、試作問題ではこのように出題されています。 大問4「情報通信ネットワークとデータの活用」 図をタップして拡大 (令和7年度共通テスト試作問題 情報) ポイント リーディング 2022年11月 試作問題より 英語 リーディング 第A問 図をタップして拡大 (令和7年度共通テスト試作問題 英語) ポイント ①数学Cが受験科目に加わる 数学C:ベクトル、平面上の曲線と複素数平面 ②数学ⅡBCの試験時間が60分から70分へ 現行 試験時間:60分 配点:100点 新課程 試験時間:70分 配点:100点 ポイント ①現代文に「実用的な文章」が追加 ②国語の試験時間が80分から90分へ
2022年11月試作問題より 国語 第3問「実用的文章」 第A問 【資料Ⅰ】文章+図+グラフ1+グラフ2+グラフ3 【資料Ⅱ】 図をタップして拡大 実用的な文章を含む多用な資料が複数提示される。 ポイント 「理科基礎」と「理科」が同じ時間帯で実施
2025年共通テスト教科別変更点
様々な題材や資料に示された事例や事象について、情報の科学的な理解を基に考察する力を問う問題や、課題の発見・解決に向けて考察する力を問う問題が出題される。
探究的な傾向が強まる
第A問:「授業中のスマートフォン使用の是非」というテーマで、異なる立場の5人の意見を読み自分の意見を構築するプロセスを問う問題が出題された。
従来測っていた力に加え、「情報や自分の考えを適切に表現したり伝え合ったりするために、理解した情報や考えを整理したり、何をどのように取り上げるかなどを判断したりする力」を重視する。
科目名が数ⅡBCとなり、「平面上の曲線と複素数平面」が出題範囲に追加されたが、文系が共通テストのためにこれを勉強するのは非現実的。
→事実上文系は「統計的な推測」の解答が必須。
第A問:「気候変動と人間の健康」のレポートを図やグラフを含む様々なデータを読み解きながら作成し他者の意見を聴きながら推敲する問題が出題された。
複数の文章および概略図や裏府などが提示され、文章と図表を関連付けながら的確に読み取る力や、レポートの作成に向けて、内容や構成について分析したり検討したりする力が求められる。
東進では、新課程共通テストに備えるべき3つの力に着目しています。いずれも、お子様が見通しを立てて取り組み、自分にとってベストの方法を身につけたい大切なテーマ。良質な教材や信頼できる環境を、ご父母と共に考えます。
POINT① 科目ごとの学習法だけでは解けない新傾向の出題で問われる「探究力」
多くの科目で、知識を活用した思考力・判断力・表現力を問う「探究」のプロセスを含んだ新傾向の問題が出題されます。正解がない未知の課題に対して、論理的に自分の最適解を見出すことを求めています。
POINT② 文理を問わずに試される「データを扱う力」
探究の過程では、文献や資料を読解するだけでなく、図表やグラフから情報を読み取ったり、データを統計的に判断したりする活動も必要です。このような「データを扱う」問題が文理を問わずに登場します。
POINT③ 増える試験時間・問題分量に対応する思考・判断・表現の「高速処理力」
何が問われているのかを考えながら資料をインプットし、適切な解答を導き出す思考・判断・表現プロセスの安定したアウトプットを、時間内で最大限に発揮する情報処理の高速化がポイントに。
社会が変わり、学びが変わった今、大学共通テストの取り組みと内容に即した力を有意義に備えて、2025年新課程共通テストを迎えましょう。最新の認識で大学受験を自分ごとと考えてくれるご父母のサポートほど、お子様にとって心強いことはありません。東進は、親子で取り組む大学受験を全力で応援します。
続いての記事「親が知るべき新課程共通テスト」では、共通テストで実力を発揮する3つの力と、各教科ごとのアドバイスをお届けしています。併せてお読みください。
→親が知るべき新課程共通テスト②
「新時代の大学入学共通テスト 新傾向問題に挑む!3つの力」へ続く