『多様化する進路観 今見直したい志望校選びのポイントとは』
大学進学率が50%を超える現在、志望校選びは、多くの高校生と保護者が向き合う課題です。2025年は入試制度の転換点でもあり、共通テストの見直しや探究活動の評価導入など、大学が求める人物像や能力も変化しています。志望校選びには、高校生の価値観や、押さえておくべき最新動向をふまえながら、これまで以上に多角的な視点を備えて臨みましょう。
記事の中身をチェック↓
・視点①「偏差値」だけでなく「将来」とつないでみる
・視点②「自分に合うかどうか」を軸に置く
・視点③「探究活動」「ポートフォリオ型評価」を視野に入れる
・視点④「デジタル」「SNS」の情報収集を活用する
・視点⑤「家計」と「学費」まで含めた現実的な選択
これまでの志望校選びは、お子様の成績や偏差値、大学の知名度やイメージからスタートすることが多くあったかもしれません。しかしこれからは、学部・学科ごとの専門性や社会とのつながりもチェックして、独自の選抜方式やキャリア教育の方針なども確認しておきたいものです。
視点①
データサイエンス・AI・情報
入試や教育課程で文理選択自由な学部・学科が増加
グローバル・国際
留学支援や英語プレゼン、課題解決プロジェクト型学習を展開
地域創生・社会課題解決
企業や自治体と連携したフィールドワークや研究が進む
教育・福祉・心理
感情知性や非認知能力・コミュニケーションを活かす人材の育成
専門の学びだけでなく、学際的な視点から複雑な課題と向き合い社会で生きる力を育成する学びが登場してきています。
競争や上下関係よりも「フィット感」や「共感」を大切にする高校生世代。大学生活も、自分らしく過ごせそうか、居心地がよさそうかなどを重視する傾向にあるようです。日常の対話では、お子様の「自分軸」を明確にするサポートを。
・どんな仲間と学びたい?
・どんな環境だとやる気が出る?
・どんな学び方に興味がある?(講義・ディスカッション・実践・インターン・留学など)
・将来どんな生き方をしたい?
このような問いは、面と向かって一度に詰めるのではなく、日常で何気なく何度でも気軽に重ねていくことでお子様の考えも明確になっていきます。その際に、中身で大学を見る視点を親子で育んでいきましょう。この大学なら安心、と思える感覚を尊重することが大切です。
2025年度以降、多くの大学が学校推薦型選抜・総合型選抜において、「探究活動」や「思考力・表現力」の可視化を重視する傾向にあります。高校でも「総合的な探究の時間」での活動記録や、レポート・プレゼン資料、地域活動、課外活動などが評価対象になるケースが増えています。志望校選びではそれらの点にも注目が必要です。
・その大学は探究活動のどんな内容を評価するのか
・出願時に「活動報告書」「志望理由書」「課題文」などどんなポートフォリオが必要か
・面接やプレゼンなど、表現力をどう見ているか
どの大学がお子様の活動に合った評価軸を持っているかは、進学してからの大学生活の満足度にも直結する判断ポイントとなりそうです。
大学についての情報は公式パンフレットだけでなく、ホームページをはじめ様々なデジタルメディアで展開されています。お子様といっしょにのぞいてみると、知りたかった情報や思わぬ発見に出会えるかもしれません。
・YouTubeの「大学紹介チャンネル」「先輩の1日密着動画」など
・TikTokやInstagramの在学生投稿(サークル、食堂、寮などの様子)
・Xのリアルな口コミや体験談
・Toshin.comの「大学について志望校選びのポイント」東進TVの「新着動画」「大学・学部特集」「3分でわかるオープンキャンパス」など
もっと詳しく!
「大学について志望校選びのポイント」
これらの情報は、「誰が発信しているか」「どんな情報を探すか」が大切です。それらを踏まえて、“推しの大学”を見つける感覚で大学を探す受験生も増えています。 保護者としては、情報の信頼性を確認する視点を持ちながら、「こんな動画あるよ」と子どもと共有することで、自然な対話に続けましょう。
忘れてはならないのが、学費・生活費・通学費など経済的条件とのバランスです。特に地方からの進学や一人暮らしには、年間数十万万円以上の差が生じる場合もあります。2025年度は「給付型奨学金」「高等教育の修学支援制度」の拡充もあり、制度の理解が進学可能性を左右することもあり得ます。しっかり調べておきましょう。
・大学入学から卒業までにかかる費用はいつ、何に、どれくらい?
・現代の大学生の半数近くが活用する奨学金を知る
・なりたい自分になることをあきらめないための対話を
保護者が子どもに伝えたいのは、「応援してるよ」「現実も一緒に考えよう」というメッセージ。奨学金制度や家計負担の見通しについて話せる環境が、子どもの安心や信頼につながります。
◆この記事のチェックポイント
□志望校選びは「どこで何を学ぶか」だけでなく「人生をどう生きたいか」までを考えるライフデザインの第一歩
□親の役割は、「決めてやる」のではなく、「一緒に考える」こと