2015年8月20日 14:57

経済学部(完結編)

暑くない......いやまだ暑い。伊沢です。


夏休みももう終わりと言うことで、今まで長々と書いてきた学部紹介にケリをつけたいと思います。もう誰もまわり書いてないし!
前篇では学部全体について、中篇では基礎的な経済学について書いてきましたが、後篇では経済学に属する様々な分野を連ねておきたいと思います。


前回は経済学についてお話したので、次は経営学について簡単に。
とても簡単に経済学と経営学を分けるなら、経済学は「社会や国にとっての最大利益を追求する」ことを目標とし、経営学は「その会社にとっての最大利益を追求する」ことを主眼とします。この言い方は経営学が嫌な学問に思えるので、ふさわしくないといえばそうなのですが......。
経済学は利益最大化の手段として数式を使ったモデリングを用いることが多いのに対し、経営学の手法は多岐にわたります。表を用いて会社の成長段階ごとの戦略を示したポートフォリオ分析が代表的なものですが、様々な方法を、どちらかといえば「理念的」に積み上げたのが経営学と言えます。

数年前に流行ったドラッガーは経営学者です。アメリカではMBA、つまり経営学修士の資格は重宝されています。日常に接点の薄い経営学ですが、女子を中心に人気のある学科となっています。


これら経済と経営は学科としての歴史が長いのに対し、第三の学科・金融学科は今年できたフレッシュな学科です。

金融学というのは、主に経済学的な手法と理論を用いて、様々な金融商品、システムに関しての理論を構築していく分野です。
これ!と一言で言い表すのが何とも難しいのですが、とっても簡単に言ってしまうと、保険や投資のリスクと収益について、グラフと数式を用いて分析する、という感じです。

いかにも経済学部!といった感じの金融学科には、やはり数字や経済学が好きな人が進むという印象です。ビッグデータを用いた金融工学などは現在注目されている分野でもあり、今後、より学科として拡大していくことが予想されます。



さて、ここまで三つの学科とその概要を解説しましたが、ここからはエゴに走り、普段私が何を勉強しているかを滔々と書いていきます。

普段私がゼミで学んでいるのは「財政学」です。いきなりピンときませんが、要するに政府がどのように資金を調達し、どのように民間へと流すのかを研究する学問です。
現在政治における一大争点となっている消費税の問題も財政学の範囲です。消費税は、数ある税制の中でも福祉政策との相性が良い徴税方法であり、公立性の面からも歪みの少ない税だという特徴があります。しかしその反面、よくニュースで言われているように逆進性を持っており、低所得者へのケアが必要になっても来ます。などなど、こう考えると、意外と身近な学問です。

このような税制だけでなく、公共財の分配方法(ある湖で漁業を許可制で行うとき、許可料をいくらとれば効率的かなど)やら、最適な福祉保険制度をモデルで求めるやら、政府(国の政府&地方の政府)が主導となる経済学はその多くが財政学の範囲内です。

財政学を学んでいる人は、その性質上公務員になる人が少なくありません。ただ、それと同数かそれ以上に民間に就職する人もいます。財政学は、国と地方、地方政府と個人、というような面だけでなく、サービス提供者と受益者という関係におけるシステム一般に応用が可能であり、その点で民間に進んでもその力を十分に生かすことのできる学問なのです。実際に私も院進後は民間を目指しています。会員制サービスの使用料金をどのように徴収すればいいのか、全てのユーザーが使えるシステムにはどの程度お金をかければいいのか、予算に組み込めばいいのかなどなど、応用範囲は無限とも言えるのです!


......ところで、今いるゼミは本業で財政学をやっているのですが、ゼミ終了後、有志による勉強会という形で統計分析を学んでいます。体的には、"stata"という統計解析ソフトに統計データを読み込んで処理し、それについて検証するという形です。
統計は大学に入ればほぼ全ての生徒が勉強することになる科目ですが、その面白さは通り一遍の勉強ではいまいち得られません。ソフトを使って複雑かつ大量のデータを簡単に処理し、統計の面白さに直に触れられるのがこの勉強会の面白い所です。

一学期のラスト、私にこの勉強会での発表の順番が回ってきました。ここで私が分析し発表したテーマは「プロ野球の結果は、開幕前にどの程度決定されているのか?」というものです。複雑なお金のやり取りだけではなく、このような事も全て数字で解決できてしまうのです。統計の応用範囲の広さたるや!少し興味が湧いてきませんか?

この研究では、1980年から2014年まで、プロ野球12球団の勝ち星をその年の強さの指標として定めて検証を行いました。前年度の勝ち星の数と、その年の年俸総額を説明変数として定め、この二つの「開幕前に決定済みの要素」(年俸総額は年度内の補強などで若干動きますが、今年の巨人フランシスコのようにあまり大勢に影響がないように思えるので省きました)の多寡がどの程度その年の勝ち星に影響するかをソフトで検証してみました。

この時、これら説明変数と当該年度勝ち星の相関係数を調べ、導出した自由度調整済み決定係数の大小が、「開幕前に決定済みの要素」がその年の結果に与える影響を指しています。なんのこっちゃですが説明してもさらにややこしくなるので、そのような用語があるんだな程度に。
これで簡単に結果が出るのですが、答えを出しただけでは半分しか終わらないのが統計学です。ここから更に色々な検定と分析をして、果たして導出した値が正しいのかどうかを入念に検証します。F検定、ハウスマン検定といった値の確からしさの確認や、固定効果モデル、変動効果モデルなど各種エフェクトを交えた他モデルでの検証などを経て、ついにその値が統計学的にある程度確からしいことが証明されます。ここまでに数式を7,8本使ってごちゃごちゃと作業していきます。



......で、結果。
日本のプロ野球は、シーズン前の段階で既に、結果の約三割が決定済みなのです!
自由度調整済み決定係数R^2の値は0.33くらいになり、検定結果も十分に確からしい値です。
じつに43試合もの結果がシーズン開始時に決まっているのです。昨年度の勝ち星が多いチームほど、そしてお金を持っているチームほど、43試合のうちに占める勝数は多くなります
(ちなみに、データを1995年以降に限定すると、5パーセントぐらい結果が下がります。昔に比べるとお金を掛けても勝てなくなっている、ということです)。


......なーどという遊びが、統計で出来てしまいます。しかも一人で。
ちょっと面白くないですか!?別に野球でなくても、データが決まっているものであれば何でも大丈夫です。CDの売り上げとライブの回数の相関、テレビ出演回数と視聴率の相関などなど、応用は無限です。
気になったことを自分で調べられる」「世の中の常識が正しいかどうか自分で見極められる」、という統計の面白さ。数字に踊らされる側ではなく、数字を躍らせる側に回ろうではありませんか!!

細かい用語は正確性を期すため抜かさずに書きましたが、そんなものはどうでもよいのです。知らなくても統計は出来ます。日常に溶け込んだ真理の数学たる統計の素晴らしさは、どうでもいい単語によってゆがめられることはありません。特に理系の方、経済学部に来れば数字の力で世の中をダイレクトに変えられます!是非統計で真理を探究して下さい。


興奮が最高潮に達したところで、いつ終わるともつかぬ私の経済学部三部作を終わりたいと思います。正直全部真面目に読んだ方はまずいないと思いますが、少しでも経済に興味を持っていただけたなら幸甚です。では。
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