2020年6月30日 17:54

東大生と「モグリ」

お久しぶりです......と言おうとしたら、実は先々週も記事を書いておりました。二週間ぶりでございます。まあどっちにしろお久しぶりか。理科二類2年の石川です。


学校の授業も段階的に再開しているほか、都立高校も全面再開したようですね。かつての日常をすぐに取り戻すことはなかなか難しくても、一歩一歩進んでいけば、いつかは元通りの暮らしができるようになる、と信じてやっていくしかないのでしょう。不安に思うのはあなただけではありません。誰だって同じです。

方、大学はどうなんだ、と申しますと、少なくともSセメスター(4月~7)の間は、全ての授業がZoomを用いたオンライン形式で行われ、成績評価についても一部を除いてオンライン試験、または期末レポートによる評価で行うことがすでに決定しています。なんで高校より再開遅いの、と言う声も聞こえてきそうですし、特に今年入学した1年生はまだ1回しか駒場に行けておらず、友達にも会えていない、ということで非常にかわいそうな状況なのですが、大学が決めたことですのでどうしようもありません(もちろん、大学側としても苦渋の決断だったであろうことは想像に難くありません)。いつかはかつての日常が帰ってくる、と信じて日々を過ごすしかない、というのは、結局大学生にとっても同じことなのです。


て、暗い話はこのへんにして、ここからは明るい話をすることにいたしましょう。先週書いた、2Sセメスターについての記事はお読みいただけましたでしょうか?「東大に入ったら遊びつくすぜ!!」というモチベーションの方にはうってつけの内容かもしれません。小山くんがここからさらに話を広げ、特に文科生について詳細に記事を書いてくれたので、そちらも未読の方はぜひ。

いよいよ本題です(遅筆なクセに前置きが長くなる悪癖は一生治りそうにありません。もうあきらめました)

今回のテーマは、履修登録をしていない講義に出席して授業を受ける、いわゆる「モグリ」とよばれる受講方法についてです。「なんでわざわざそんなめんどくさいことするの、おとなしく履修登録すればいいのに」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、ところがどっこい、話はそれほど簡単ではないのです。

東大の教養学部前期課程では、文一~理三の学生向けに、とんでもなく多種多様な授業が開講されています。それゆえ、興味が少しでもあるものを片っ端から受講登録していると、早かれ遅かれ自分のキャパシティーを超え、にっちもさっちもいかなくなってしまいます(もっとも、実際には、そのようなことに陥ることがないよう、週の履修上限が設けられているのですが)。それだけではありません。このブログでも前々から幾度となく取り上げてきましたように、推薦入学以外の東大生は、2年の夏に進学選択(進振り)を受けることになります。この進振りと言うシステムの存在が、モグリについての話をさらに複雑にしています。

 ずいぶんともったいぶった話し方をしてしまいました。では、一部の東大生はなぜ、履修登録をあえて行わず、わざわざ授業にモグるという、一見非効率的な方法をとるのでしょうか?

代表的な理由は、以下のようなものです。

 

・進振りの戦略上、履修登録しない方が有利

上でも述べましたように、前期課程の学生向けの授業は、数がとても多いです。あまりに多いがゆえに、中には、高成績が期待できるにもかかわらずあまり興味をそそられない授業や、逆に、非常に面白いにもかかわらず、テストが難しかったり、課題が重かったりして、得点が期待できない授業も存在します。前者は点数が欲しい人だけ黙って取ればよいので特に問題はないのですが、後者を履修するかどうかは大変な悩みどころです。下手をすれば、面白い授業を楽しく受けたし勉強も頑張ったのに、この科目のせいで進振り点が下がって、行きたい学部に行けなくなった、なんてことにもなりかねないわけですからね。

 「授業は興味があるから受けたいけれど、点数は取れなさそうだから試験は受けたくない......」そのような悩める人にとっての最適解が、他ならぬ「モグリ」なのです。

 ただし、モグリに頼りすぎると必要な単位が足りなくなり、別の方向で苦しみがちなので、履修計画はちゃんと立てておきましょう。時には、「この授業は点数のために取ろう」というような割り切りも必要になってくるかもしれません。

 

・履修の都合上、登録できない授業を受講できる

前期課程の学生向けの授業が非常に多い、というのは再三申し上げている通りですが、そうはいっても、全ての授業が、全ての学生向けに開講されているわけではありません。例を挙げれば、総合科目(必修ではなく、ある程度自由に選択できる授業)の「ベクトル解析」や「有機反応化学」は2年生向けの授業なので、制度上、1年生は履修することができません。また、「法」「ことばと文学」などの文科生向けの授業を理科生が受講することも、現行の制度では認められていません。

 このような授業に興味がある方が、履修登録をせずに(≒できずに)モグリに行くケースもたまに見受けられます。実際、これらの授業のうちほとんどは通常の講義形式であり、なおかつ多くが大教室で行われるため、数人増えたところで迷惑がかかることはほとんどないのでしょう。

 

もう1つ、東大の前期課程には、「同一曜限に複数の授業を登録できない」という規定があります。例えば、自分のクラスの時間割で、月曜1限に必修授業が入っていたとすれば、月曜1限に開講されている、その他の講義を履修登録することは許されていません。2019年度の時間割でいうと、火曜2限や金曜2限などは、特に人気の総合科目がひしめく激戦区だったため、そこに必修がかぶって、狙いの授業を履修登録できず、悔しい思いをした人もいたんだとか。

 そんな中で、必修の授業に出席せず、わざわざ自分の聞きたい授業にモグリにいく猛者もいらっしゃるようです。出席が取られる授業や、少人数でのディスカッションのような授業を欠席するのはさすがに許されないでしょうが、中には、「授業内容をすでに理解しているなら、別に授業の出席は義務ではない、試験だけ受けに来ればよい」というようなスタンスの先生もいらっしゃいます(特に数学や物理系の授業はこの傾向があります。もちろん全員ではありませんが)。そのような場合に、熱意のある学生が興味のある授業にモグリに行く、ということも、無いわけではありません。実際、数学徒であることが知られている、スタッフ同期かつ同じクラスの某T永氏は、2019年のAセメスターに、「まあわかるから大丈夫っしょ」などと供述して微分積分学の授業を全欠席し、その裏で行われている理学部物理学科内定生向けの統計力学の授業に潜っておられました。それでいて微積のテストも満点に近い点数を取っているわけですから、世の中すごい人はいっぱいいるってもんです。

 ただ、必修を切って他の授業にモグリに行くことをお勧めできるか、と言われれば、答えは間違いなくNOでしょう。自分の興味を優先するあまりに必修を落として留年、なんてことになったら元も子もないですし、必修授業の単位を落とした理由が「他の授業にモグってました」だったら、救済を受けられる望みはほとんどないでしょう。よほどの自信が無い限りは、おとなしく必修に出席しておいた方が良いですよ、と一応アドバイスしておきます......というか、「必修授業」というのは本来そういうものであるはずです。

 

さて、なぜ東大生の一部はモグリを行うのか、および、前期課程においてモグリを行うメリットは何なのか、について、お分かりいただけましたでしょうか?

 東大生はちゃんと東大に授業料を納めていますし、大学側からも「モグリはいけません」とのお達しは今のところは下っていません。別に不正な行為をしているわけではないので安心してください。

 ただし、「モグリでもOK、よくぞ私の話を聞きに来てくれた」というスタンスの方もいれば、教員によっては、「受けるならちゃんと履修登録してほしい」という考えの方もいらっしゃいます(それが良い悪い、という話ではなく、授業の方式や参加人数にもよるので、どちらの考えも理にかなっている、ということを言いたいだけです)ので、そこは必ず気をつけるようにしてください。

 あと、モグリは禁止こそされていませんが、別に褒められた行為ではなく、特に推奨されているわけでもありませんので、モグった授業はきちんと真面目に受けましょう。態度があまりに悪いと、今後のモグリが禁止されたり、出欠確認が徹底されたりして、モグリ業界(?)への風当たりが強くなりかねません。プロのモグリストたるもの、慎みをもってモグるようにしましょう。

 

また、最後に、読者の方がこの記事に従ってモグリを行ったことによって発生した(もしくは発生しうる)、いかなる被害、不利益その他につきまして、こちらでは一切の責任を負いかねる、ということをいちおう申し添えておきます。

 

では、また。

 

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