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公開日 : 2024/04/26

Q.熱中して打ち込めるものがありません。どうすればいいでしょうか

友達もおり、今の生活に不満があるわけではないのですが、何か熱中して打ち込めるものがなく、このままでは僕の高校生活は勉強だけで終わってしまうような気がします。どうすればいいでしょうか。 (高1・男性)
自分のスキルより難しいチャレンジをしてみよう

この方が回答してくださいました!

公認心理師
さとうせい
佐藤セイ 先生

公認心理師・臨床心理士。大学院修了後は、精神科や児童相談所、刑務所などで勤務。現在は中学校・高校のスクールカウンセラーを勤めつつ、大学の非常勤講師やライティングの仕事にも取り組んでいます。



不満のない生き方で熱中するのは難しい


 あなたが、今の生活に不満がないのは、「今の自分にできる/できそうなこと」の範囲で行動を選択しているからかもしれません。これは大きな失敗も予想外の出来事も起こらない安全な生き方です。しかし、問題なのは、熱中は「今の自分を超えていく瞬間」に発生するということ。「今の自分にできる/できそうなこと」しか選ばないなら、熱中には出会えないのです。  


 1930年代に、ミハイ・チクセントミハイという心理学者が「フロー」という概念を生み出しました。フローとは「活動に完全にのめりこんで熱中している状態」のこと。フローに入るためには、・難易度(スキルとチャレンジ) ・行動の目標 ・フィードバック という3つのポイントがあるとされています。 



フローへの道1:難易度(スキルとチャレンジ)のバランスをとろう 


 フローに入るためには、自分のスキルよりも少し難しいチャレンジを続けることが大事です。例えば、ゲームでは自分のレベルが上がるごとに、敵が強くなったり、ステージが難しくなったりします。だからこそ、ゲームは熱中できるのです。まったく苦労することなく攻略できるゲームは退屈ですし、急に強敵が出てきて手も足も出ないゲームも面白くありません。「今の自分ではできないかもしれない。でも頑張ればできるかもしれない」という難易度のとき、私たちは熱中しやすくなります。 



フローへの道2:やってみたい行動と目標を見つけよう


  それでは、どんな行動をするのか。これは何でも構いません。ただ、「今の自分にできること」ではなく「今の自分がやってみたいこと」を探してみてください。もし、勉強を頑張りたいなら、それでも構いません。「このままでは僕の高校生活は勉強だけで終わってしまう」と心配されていましたが、勉強だけで終わると表現できるほど、勉強にのめり込む高校生活も素晴らしいものです。なにせ大人はたいてい「もっと勉強しておけばよかった」と悔いていますから。


 ただ、目標は具体的にしましょう。例えば、ゲームで「自由に旅立ちなさい」なんて言われると、「何から始めればいいかわからない」と感じ、つまらなくなります。「まずは隣の村に行ってみるといいよ」など具体的な指示がもらえるから夢中になれる訳です。「いつ・何を・誰と・どこで・どのように(5W1H)」の形に沿って考えると、取り組みやすい目標になります。



 フローへの道3:すぐにフィードバックが得られる工夫をしよう


  フィードバックとは、行動の結果や評価のこと。フローに入るには、フィードバックが早く得られる工夫が必要です。ゲームなどでは「CLEAR!」「LEVEL UP!」などの文字が出て、フィードバックがなされていますよね。


  先ほど立てた目標も実施したら、すぐにフィードバックが得られるように工夫しましょう。勉強であれば「丸つけをする」も十分なフィードバックです。料理なら、自分で食べて「おいしい」と思えたり、家族が「おいしい」と言ってくれたりするのがフィードバックでしょう。頑張ったご褒美の「おやつ」や「ゲーム時間」を用意するのも良い方法です。  


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