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TOP東進タイムズ 2016年2月1日号

西武グループ再生
〜峻別と集中〜

西武ホールディングス
代表取締役社長

後藤 高志先生

日本経済を牽引する経済界のトップリーダーを招き、高校生に「仕事」や「生き方」、「これからの日本に求められるもの」を御講演いただく、東進の「トップリーダーと学ぶワークショップ」。今回は西武ホールディングス代表取締役社長の後藤高志先生にお越しいただき、経営危機にあった西武グループの再建や米投資ファンドとの攻防、リーダーに必要な資質や精神について教えていただいた。講演後はワークショップを行い、「リーダーシップについて考える」というテーマに沿ってグループで議論。講演の内容を踏まえて自分たちのリーダー像、組織論について語り合い発表した。先生の熱い講演とワークショップの一部をご紹介する。

講演者プロフィール

1972年東京大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に入行。2003年みずほフィナンシャルグループ発足後、常務執行役員、みずほコーポレート銀行常務、取締役副頭取を経て、2005年2月に西武鉄道特別顧問、5月に同代表取締役社長に就任。2006年2月から現職。 2004年に上場廃止となった西武鉄道を、2014年に西武ホールディングスとして再上場に導いた。西武鉄道取締役会長、埼玉西武ライオンズ取締役オーナー。

侠気とラグビー精神で
再建の陣頭指揮に立つ

西武グループは鉄道やホテル、球団などを経営する企業グループとして多くの人々から親しまれています。

かつて1980年代には、現在の2倍以上となる120もの企業を傘下に、日本を代表する一大コングロマリットとして隆盛を極めました。しかし、2004年に総会屋への利益供与、有価証券報告書の虚偽記載が発覚して西武鉄道株は上場廃止となり、逮捕者も出る事態となりました。

私はちょうどこの事件が起きたとき、西武のメインバンクであるみずほコーポレート銀行の副頭取でした。そして、西武グループは再建に向けてみずほグループの管理下に置かれている状況。このままでは多くの社員やその家族を抱えている西武がつぶれるかもしれない――。誰もがそう思い、危機感を抱いた私は、自身がトップに立って西武の再建を果たそうと決心しました。

もちろん自信があった訳ではありません。ただ、外部の人間が出ていって支えなければ、この会社はもたないと思ったのです。

このとき、私を動かしたのは侠気とラグビー精神です。侠気とは面倒なこと、リスクの高いことも頼まれれば引き受ける心意気で、いわば「強きをくじき弱きを助ける精神」。また、私は大学時代ラグビー部に所属していました。ラグビーはトライした人にスポットが当てられがちですが、最初にボールをもって相手の陣地に飛び込んでいくプレイがなければトライには結び付きません。

危険を冒して相手に向かっていく気持ちはリーダーに限らず必要な心意気であり、これから社会に出ていくみなさんにもぜひ覚えておいていただきたいと思います。

全国を飛び回り
社員の声を聞き続けた日々

西武の再生プランは、ハードとソフトの両面から立てました。

ハード面の改革は企業再編です。

まず西武ホールディングスという持株会社をつくって事業の峻別と集中を加速しました。子会社を再編する中で、グループの子会社を53社へ縮小、従業員数も3万人から2万2000人まで減らしました。このとき、売却先企業には従業員の雇用をしっかり守ってもらう約束を取りつけました。

ソフト面の改革は社員のモチベーション向上です。

毎週末に全国の事業所に訪問し、現場の社員から声を聞きました。すると、それまでの西武は男性中心の組織でしたが、全国には有能な女性社員が数多くいることを知りました。そこでビッグ・プロジェクトに女性社員を積極的に起用し、女性目線での新車両の開発やサービス向上を実現。彼女たちのアイデアを盛り込んだ「スマイル・トレイン」は、2008年のグッド・デザイン賞にノミネートされ、お客様からも好評です。男女問わず、今でも社員の声は大切にしています。

この10年間は困難の連続でした。特に2013年、米投資ファンドのサーベラスが西武ホールディングスに対して敵対的TOB(株式公開買い付け)を開始したときは地域社会を守るうえで最大の危機でした。そのため徹底して守るべきものは守り、株主総会でファンド側の提案は否決され、その後はサーベラスのトップと友好関係を構築しました。そうした経緯により、翌年大きな目標の一つであった東証一部への再上場を果たすことができました。

改革が成功したのは、「でかける人を、ほほえむ人へ。」をスローガンに、安全・安心、お客様目線、きれいな利益といった基本理念をぶれずに継続してきたからです。それを社員に押し付けるのではなく、なぜ必要なのかをきちんと説明して目標を共有できたことで、一丸となって改革に取り組むチーム力が育まれました。

「朝の来ない夜はない」。高校生のみなさんも大学や社会でたくさんの困難に出合うと思いますが、必ず朝が来ることを信じて頑張ってください。

ワークショップ 【探る・話す】

テーマは「リーダーシップとは何か」

冒頭では、後藤先生のこれまでの取り組みや今日のワークショップの意義・目的を、東進ハイスクール・東進衛星予備校の永瀬昭幸理事長よりお話をいただいた。

ワークショップ 【練る】

「リーダーシップ」について考える

ワークショップのテーマは「リーダーシップについて考える」。参加者は6人1組でチームを組み、司会・書記・発表者などの役割分担を決めた上で議論に望む。時間は40分。後藤先生のお話と自身の経験や考えをもとにリーダーの定義、必要な資質などをまとめていく。

ワークショップ 【発表する】

予選に挑む

決勝大会に進むチームを決める予選会。全20チームをA~Fの6グループにまとめ、グループ内で各チームが1分30秒で発表。限られた時間の中で要点を伝えるのが腕の見せ所だ。最後にもっともよかったと思うプレゼンについて挙手で投票し、代表チームを選抜する。

ワークショップ 【決勝】

予選を勝ち抜いて、いよいよ決勝。

グループ代表による決勝大会。各チームの代表者1名が壇上にあがり、プロジェクターに写したワークシートをポインタで示しながら発表を行う。時間は5分。原稿なしの一発勝負とあって発表者の緊張は最高潮に。発表ごとに後藤先生が講評を行い、発表者の労をねぎらった。

ワークショップ 【結果】

表彰式

後藤先生が最優秀チームを発表。栄冠に輝いたのは、リーダーに大切なことは「人間性・発信力・先見の明」であり、それらを高めていくことでリーダーに必要な要素である「運」を呼び込むことも出来る、と説いたAグループ。表彰の際はひときわ大きな拍手が鳴り響き、最後に後藤先生と記念撮影を行った。

参加した高校生の

千葉県 私立 成徳大学附属女子高校2年生

西田 えり佳さん

これまでリーダーについてあまり考えたことがなかったので、後藤先生の講演やディスカッションを通じて、理想のリーダー像について理解を深められたことが最大の成果です。将来、リーダーになるかどうかはわかりませんが、率先して周りを引っ張ったり、意見をまとめたりする場面もあると思うので、今日のイベントは貴重な経験になりました。

東京都 私立 鷗友学園女子高校2年生

中田 柚貴子さん

大企業のトップがどのように会社を動かしているのか、時には心を鬼にしてリストラもしなければいけないことがわかりました。私は積極的に話せる方ではないのですが、ワークショップでは率先して仕切ってくれるメンバーがいて、とても刺激を受けました。これからは私もいろいろな機会を見つけて、積極的に発言できるようにしていきたいと思います。

東京都 私立 高輪高校1年生

塚田 貴博くん

私は普段友人から「人の意見を聞かない」と注意されることが少なくありません。後藤先生のお話で、良いリーダーにはしっかりと人の意見に耳を傾ける力が不可欠だということがわかりました。一方、自分の考えもぶれてはいけないというお話もあり、人の意見を聞くべきところと、自分の意見を通すべきところのバランスを取ることの大切さを感じました。

千葉県立 船橋東高校2年生

都築 政憲くん

私は大学で交渉学を学びたいと考えています。サーベラスと真っ向勝負を挑んだという後藤先生のお話から、ピンチの際の身の心の持ち方、交渉の際は自分自身をしっかりと持って臨む姿勢が大切であることがわかりました。後半のワークショップでは、自分と異なるさまざまな考え方や価値観に触れられたのがとても楽しく刺激的でした。

埼玉県 私立 秀明高校2年生

大石 晃平くん

父から後藤先生の話はよく聞いていたので、今日は先生の思想や生きざまに触れられて感激しました。なかでも、銀行員というエリートコースにいながら、率先して倒産危機にある企業の再建を買って出た心意気に心を打たれました。大学でしっかりとビジネスについて学び、後藤先生を越えるリーダーになるつもりで努力していきたいと思います。

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教育力こそが、国力だと思う。